「XXLレオタードとアナスイの手鏡」と「東アジア文化都市2023静岡県」春の式典上演作品「天守物語」が昨日5月3日に開幕した。
本作は、
「XXLレオタードとアナスイの手鏡」はシアター・カンパニー・ドルパグを主宰する韓国の演出家チョン・インチョルが2015年に発表した作品。大学入試への不安と焦りから、ジュノは女性用レオタードを着て自撮りをするようになる。ある日、その自撮り写真が流出してしまい……。初日を終えたチョン・インチョルは「芝居の中にある物語、筋を、日本の観客の皆さんもよく理解してくださったので、ほっとしています。韓国と日本は、やはり社会的な状況が似ているんだなと思います。韓国では若い観客が多いですが、今日は色々な世代の方がいらして、個人的にはとても良かったなと思います。うれしかったです」とコメントした。
また「東アジア文化都市2023静岡県」春の式典上演作品である「天守物語」は、アジアの多様な伝統芸能を織り込んだ
上演時間は「XXLレオタードとアナスイの手鏡」が1時間30分で本日4日まで、「天守物語」が1時間5分で公演は6日まで、また「ふじのくに→せかい演劇祭2023」は5月7日まで開催される。
なおステージナタリーでは「ふじのくに→せかい演劇祭」「ストレンジシード静岡」の特集を展開。宮城と「ストレンジシード静岡」フェスティバルディレクターのウォーリー木下による対談のほか、「ふじのくに→せかい演劇祭2023」の各ラインナップ作品の見どころを紹介している。チョン・インチョル コメント
芝居の中にある物語、筋を、日本の観客の皆さんもよく理解してくださったので、ほっとしています。韓国と日本は、やはり社会的な状況が似ているんだなと思います。韓国では若い観客が多いですが、今日は色々な世代の方がいらして、個人的にはとても良かったなと思います。うれしかったです。
私たちはいろいろな国を回ってきましたが、演劇を上演する劇場の中ではここ静岡芸術劇場はベストだと思います。客席と舞台が近く、障壁なく芝居を見られますし、俳優の声もよく届く。とても丁寧に作られた演劇のための劇場だと感じました。もし自分が劇場を作ることがあったら、静岡に来て、ここをモデルに劇場を作りたいと思います(笑)。
宮城聰 コメント
今年、静岡県が『東アジア文化都市』に選ばれて、日中韓の文化の交流をこの演劇祭のテーマの一つにしているわけなんですけれども、韓国・中国・日本は今、政治的、あるいは軍事的には決して良好な関係ではないわけですよね、むしろ緊張が高まっていると言ってもいい。その中で、なぜ文化交流をするのかという意味は、一層はっきりしてくる。つまり、政治的、軍事的な軋轢は、そんなに簡単に解決することではないわけですね。決定的に価値観が違う、例えば民主主義についての価値観とか、あるいは領土問題ということは決して簡単に解決するわけではないし、文化交流をしてそれらが解決するわけではない。しかし、一方で、相手と自分達の間にコミュニケーションが成り立たないと双方の国民が考えてしまえば、行き着く先は最悪の事態ということになるわけですね。だからどれだけ軋轢があっても、理解し合える可能性はあるんだと、つまり人間はどれだけ立場が違っても、何らか理解しあえる部分を持っているかもしれないんだ、という可能性を示すのが文化の役割だと思います。
『天守物語』は、アジアのさまざまな文化の伏流水、地下水脈のようなものを感じさせる作品だと自負していて。これを見てもらうことで、どれだけ価値観が異なり、あるいは核心的な利益が対立していても、理解し合える部分、理解し合える可能性があり得るんじゃないか、そういう「希望」のようなものを感じてもらえる作品なのではと。今、緊張が高まっている状況ですが上演できてとても良かったなと思っています。
演劇祭が始まり、中国・韓国からとても良い作品が来てくれて、またピィさんの作品も非常に良い芝居でした。どの作品も、全力を出してくれているという感じがひしひしと伝わってきて、今年ここで上演することにものすごいエネルギーを傾注していることがありありと感じられる。それはコロナ禍という中断を挟んだこともあるのかもしれませんが、今の世界の中で”人間の信頼”というものをアーティストが何らか回復したいという切実な願いが感じられる。自分たちがここで全力を出さないといけないんじゃないか、という切実さが背後にあるんじゃないかなということも思います。
「ふじのくに→せかい演劇祭2023」ラインナップ
2023年4月29日(土・祝)~5月7日(日)
「アインシュタインの夢」
2023年4月29日(土・祝)・30日(日)※公演終了
静岡県 静岡芸術劇場
演出:孟京輝
「XXLレオタードとアナスイの手鏡」
2023年5月3日(水・祝)・4日(木・祝)
静岡県 静岡芸術劇場
作:パク・チャンギュ
演出:チョン・インチョル
「Dancing Grandmothers ~グランマを踊る~」
2023年5月7日(日)
静岡県 静岡芸術劇場
振付・演出:アン・ウンミ
「ハムレット(どうしても!)」
2023年4月29日(土・祝)・30日(日)※公演終了
静岡県 舞台芸術公園 野外劇場「有度」
翻訳・演出:オリヴィエ・ピィ
「パンソリ群唱 ~済州島 神の歌~」
2023年5月5日(金・祝)・6日(土)
静岡県 舞台芸術公園 屋内ホール「楕円堂」
作・演出:パク・インへ
※「ふじのくに→せかい演劇祭」の「→」は相互矢印が正式表記。
「ふじのくに野外芸術フェスタ2023静岡」ラインナップ
「東アジア文化都市2023静岡県」春の式典上演作品
「天守物語」
2023年5月3日(水・祝)~6日(土)
静岡県 駿府城公園 紅葉山庭園前広場 特設会場
2023年5月27日(土)・28日(日)
静岡県 浜松城公園 中央芝生広場 特設会場
作:泉鏡花
演出:
音楽:棚川寛子
出演:美加理、阿部一徳、大高浩一、本多麻紀、石井萠水、木内琴子、貴島豪、榊原有美、桜内結う、大道無門優也、舘野百代、寺内亜矢子、永井健二、山本実幸、吉植荘一郎、吉見亮
「ストレンジシード静岡2023」
2023年5月4日(木・祝)~6日(土)
静岡県 駿府城公園、静岡市役所・葵区役所 ほか
【コアプログラム】
「χορός / コロス」
2023年5月4日(木・祝)~6日(土)
静岡県 駿府城公園 東御門前広場
作・演出・構成・美術:
音楽:吉田能
振付・演出・出演:いいむろなおき、金井ケイスケ、黒木夏海、冨田昌則
Creative Dandi「Woman with Flower」
2023年5月4日(木・祝)~6日(土)
静岡県 毎日江崎ビル
演出:アン・ウィスク
振付:キム・ジジョン、アン・ウィスク
出演:キム・ジジョン、パク・ジェヒョンコ・ギョンミン、イ・ミニョン
※毎日江崎ビル「崎」は立つ崎(たつさき)が正式表記。
【オフィシャルプログラム】
- きゅうかくうしお「素晴らしい偶然をつないで」
- 江本純子「おでミずむ(仮)」
- マームとジプシー「break-fast」
- tupera tupera いえやすんぷ プロジェクト「フラワー家康と いっしょに ちょんまげ行列」
- エンニュイ「平面的な世界、断片的な部屋 ストレンジシードver.」
【オープンコールプログラム】
- TACT(TAkasaki Community Theater)「スパイダーの糸の件」
- DANCE PJ REVO「STUMP PUMP SHIZUOKA」
- 安住の地「わたしが土に還るまで」
- ダンスカンパニーデペイズマン「ギガ超獣ギガ」
- お寿司「怪獣回しし」
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【メディア情報①】
ステージナタリーに「ふじのくに⇄せかい演劇祭」後半スタートの記事が掲載されました!
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