尾上眞秀、かれんな舞と勇ましい立廻りを披露「團菊祭五月大歌舞伎」開幕

「團菊祭五月大歌舞伎」が、昨日5月2日に東京・歌舞伎座で開幕した。

昼の部は「寿曽我対面」で幕開け。劇中では、工藤左衛門祐経（中村梅玉）の祝宴に、父の仇を討とうとやってきた曽我十郎祐成（尾上右近）・曽我五郎時致（尾上松也）兄弟の物語が展開。傾城・大磯の虎（中村魁春）らが並ぶ前、小林朝比奈（坂東巳之助）の仲介により曽我兄弟は工藤と相対するが……。続く「若き日の信長」は、“十二世市川團十郎十年祭”と銘打ち行われ、当代市川團十郎が織田上総之介信長役で、父である十二世團十郎をしのぶ。なお、東京・歌舞伎座ギャラリーでは、「十二世市川團十郎十年祭 特別展」を開催中。十二世團十郎の舞台写真や「若き日の信長」にまつわる品物などが展示されている。

昼の部ラストには、今井豊茂が脚本、尾上菊五郎が演出を手がける「音菊眞秀若武者」がラインナップ。本作で初舞台を勤める尾上眞秀は、前半では女童に扮しかれんな舞を、後半では岩見重太郎役として勇ましい立廻りを披露した。

夜の部の上演演目には、「宮島のだんまり」「達陀」「梅雨小袖昔八丈」が並んだ。「宮島のだんまり」では、傾城浮舟太夫実は盗賊袈裟太郎役の中村雀右衛門、畠山庄司重忠役の中村又五郎、平相国清盛役の中村歌六らが、暗闇の中で巻物を取り合う“だんまり”を披露。「達陀」は、“お水取り”で知られる奈良・東大寺二月堂の修二会の行を題材に、二世尾上松緑が創作した舞踊劇。今回は、当代尾上松緑が法会を取り仕切る僧の集慶役、中村梅枝が集慶のかつての恋人である青衣の女人役、尾上左近が幻想の集慶役を演じる。物語のクライマックスで、松緑は練行衆とのダイナミックな群舞で観客を魅了した。河竹黙阿弥による「梅雨小袖昔八丈」は、1873年に五代目尾上菊五郎が初演した世話物。黙阿弥の没後130年、五代目菊五郎の没後120年、そして初演から150年という節目の年、尾上菊之助が悪事に手を染める髪結新三を鮮やかに勤める。公演は5月27日まで。