新国立劇場バレエ団「マクベス」にウィル・タケット「演劇体験としてもお届けできれば」

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新国立劇場バレエ団「シェイクスピア・ダブルビル」より「マクベス」の公開リハーサルが、昨日3月23日に東京・新国立劇場 小劇場で行われた。

新国立劇場バレエ団「シェイクスピア・ダブルビル」「マクベス」公開リハーサルより。(撮影:阿部章仁)

新国立劇場バレエ団「シェイクスピア・ダブルビル」「マクベス」公開リハーサルより。(撮影:阿部章仁)

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左から福岡雄大、米沢唯、ウィル・タケット。

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「シェイクスピア・ダブルビル」は、シェイクスピアの同名戯曲をもとにした作品「マクベス」「夏の夜の夢」を2本立てで展開する公演。いずれも新制作で、新国立劇場バレエ団委嘱作品で世界初演となる「マクベス」はウィル・タケットが振付、「夏の夜の夢」はフレデリック・アシュトンが振付を手がける。

新国立劇場バレエ団「シェイクスピア・ダブルビル」「マクベス」公開リハーサルより。(撮影:阿部章仁)

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公開リハーサルには、タケット、そしてマクベス役の福岡雄大、マクベス夫人役の米沢唯、魔女の精霊役の清水裕三郎が登場。リハーサル前にタケットは、マクベス夫人のソロと、マクベスとマクベス夫人によるパ・ド・ドゥをお披露目することを報道陣に明かし、「バレエでは、“ここにあるもの”が見えてこないと物語がお客様に伝わりません。そのためマクベスとマクベス夫人のパ・ド・ドゥでは、物語をわかりやすくするため、魔女の精霊役が王冠を彼らのもとに運んできます」と話す。続けて「シェイクスピア作品をバレエ演目にするためには、ストーリーを一部カットする必要がありました。『マクベス』をよくご存知の方にはどこをカットしたかおわかりになるかと思うのですが……先に謝っておきます。すみません」とちゃめっ気たっぷりにあいさつをした。

新国立劇場バレエ団「シェイクスピア・ダブルビル」「マクベス」公開リハーサルより。(撮影:阿部章仁)

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新国立劇場バレエ団「シェイクスピア・ダブルビル」「マクベス」公開リハーサルより。(撮影:阿部章仁)

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米沢はソロパートで、緊張感のある音楽に合わせて、どこか冷たさを感じさせる佇まいで優美に踊り、マクベス夫人をミステリアスで妖艶な大人の女性として立ち上げる。クライマックスのピルエットでは、胸を反らしながら両腕を大きくしなやかに振り、ダイナミックかつエレガントな舞いで魅せた。福岡は、戦から戻ったばかりで興奮冷めやらぬマクベスを、力強いリフトと抱擁で表現。リハーサル中、タケットはたびたび演技を止め、「動きがロマンティックになりすぎないように」「2人とも動きがフォーマルすぎる。もっと、互いを求め合っているように」と、自身も実際に動いてみせながら演出をつけていく。米沢と福岡はタケットの言葉にうなずき、動きを調整すると、タケットは「Lovely!」と笑顔を見せた。

ウィル・タケット

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リハーサル後に行われた質疑応答には、タケット、福岡、米沢が参加した。マクベスとマクベス夫人の関係性について、タケットは「マクベスは、戦士として有能であるから地位を与えてもらっていますが、生まれついた階級ではマクベス夫人の方が上です。なので、2人の間には明らかなヒエラルキーが存在しているのです。また、同じシェイクスピアの作品でも、『ロミオとジュリエット』では14歳と16歳の若い2人の初恋を描いていますが、『マクベス』は『ロミオとジュリエット』の2人より年齢的にもっと上ですし、夫婦として肉体関係を持ったうえで惹かれ合っているわけです。マクベス夫人は、戦気の雰囲気をたたえたまま戻ってきたマクベスをセクシーで魅力的だと感じていて、そこから生じる緊張感をパワフルに描きたい」と熱く語る。

福岡雄大

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福岡は「『マクベス』という作品をバレエにするという挑戦自体がすごいこと。劇場にとっても、歴史の1ページに刻まれるような作品なので、参加できて光栄です」と微笑む。またリハーサルを「実は、昨日振付がかなり変更されたので、リハーサルでは振りのことしか考えていなかったですね(笑)」と振り返りつつ、「マクベスは、心の中でさまざまな葛藤を持ちながらも、夫婦関係ではどちらかというと従う側。ウィルさんの描こうとしている世界を、うまく表現できるように精進していきたい」と言葉に力を込めた。

米沢唯

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米沢は「最初のソロでは、マクベス夫人のキャラクターやその生き方を見せなければいけないと感じています。パ・ド・ドゥについては、試行錯誤している雄大さんとウィルさんに、私はただ振り回されているだけなので(笑)、雄大さんと対等に見えるよう演じつつ、シーンの最後で彼を“取って食べる”女性になれるようにがんばっていきたい」と話す。さらに「ウィルさんから『ロマンティックにならないように』と言われていますが、今回の私の課題はそこですね。恋する少女や夢見る女の子の役を多くやってきたので、マクベス夫人のようなセクシーな大人の女性を演じること自体、私にとって大きなチャレンジとなります。人生をかけて演じたいです」と意気込みを述べた。

最後に、記者から作品としての魅力を問われると、タケットは「『夏の夜の夢』とのダブルビルというのがとても良いですよね。『夏の夜の夢』は美しく爽やかさもあり、妖精の魔法のような作品。そして『マクベス』はその真反対なわけです。ただ、この『マクベス』が子供たちに見せられないような作品だと思われると困ります! もちろん人が死ぬシーンもありますし、マクベスもマクベス夫人も残酷な死に方をしますが、バレエというものに固定観念を持っている方のイメージを壊せる作品になると思っています。お客様には、バレエとしてだけではなく、演劇体験としても楽しんでいただければ」と自信に満ちた表情で答えた。「シェイクスピア・ダブルビル」は、4月29日から5月6日にかけて、東京・新国立劇場 オペラパレスにて。

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新国立劇場バレエ団「シェイクスピア・ダブルビル」

2023年4月29日(土・祝)~5月6日(土)
東京都 新国立劇場 オペラパレス

「マクベス」新国立劇場バレエ団委嘱作品・世界初演

振付:ウィル・タケット
音楽:ジェラルディン・ミュシャ
編曲:マーティン・イェーツ

キャスト

4月29日、5月2日、4日、6日公演
マクベス:福岡雄大
マクベス夫人:米沢唯
バンクォー:井澤駿
3人の魔女:奥田花純、五月女遥、廣川みくり

4月30日、5月3日、5日公演
マクベス:奥村康祐
マクベス夫人:小野絢子
バンクォー:井澤駿
3人の魔女:原田舞子、廣田奈々、根岸祐衣

「夏の夜の夢」新制作

振付:フレデリック・アシュトン
音楽:フェリックス・メンデルスゾーン

キャスト

4月29日、5月2日、4日、6日公演
ティターニア:柴山紗帆
オーベロン:渡邊峻郁
パック:山田悠貴
ボトム:木下嘉人

4月30日、5月3日、5日公演
ティターニア:池田理沙子
オーベロン:速水渉悟
パック:石山蓮
ボトム:福田圭吾

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かわひと @CirQzlx7UPgIN79

【この『マクベス』が子供達に見せられないような作品だと思われると困ります! 勿論、人が死ぬシーンもありますし、マクベスもマクベス夫人も残酷な死に方をしますが、バレエというものに固定観念を持っている方のイメージを壊せる作品になると思っています。演劇体験としても楽しんでいただければ】 https://t.co/95BzrqIl57

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