「新国立劇場 2023 / 2024シーズン ラインアップ説明会」が本日3月7日に東京・新国立劇場で行われ、オペラ芸術監督の
会見冒頭では、新国立劇場の銭谷眞美理事長より、世界情勢の影響による物価高から劇場の財政状況が悪化したため、来シーズンの一部演目が延期となり、さらにオペラとバレエのチケット料金を値上げすることが発表された。銭谷理事長は「厳しい状況の説明から始まってしまいましたが、来シーズンも各芸術監督のもとで質の高い公演を行い、舞台芸術の素晴らしさを発信し続けてまいりたい」と言葉に力を込めた。
まずは小川が演劇部門のラインナップを説明。10・11月には
大野は、オペラ部門のラインナップについて「僕が若い頃に触れてきた演目が多い」と笑みを浮かべる。ダブルビルシリーズの第3弾で新制作となる「修道女アンジェリカ」と「子どもと魔法」について「今回のダブルビルのテーマは、“母と子の愛”。『修道女アンジェリカ』では子を亡くしたアンジェリカの物語、『子どもと魔法』ではお母さんに怒られてばかりの子どもが、夢の中で経験する出来事が描かれます」と説明。さらに「『修道女アンジェリカ』は、プッチーニ作品の中で最も“聖なる音楽”だと考えています。音楽の高みを感じさせてくれます」と、劇中の音楽を身体いっぱいで表現しつつ、その魅力を語った。オペラ部門には2演目のほか、大野の指揮、ピエール・オーディの演出による新制作「シモン・ボッカネグラ」、「こうもり」「エウゲニ・オネーギン」「ドン・パスクワーレ」「トリスタンとイゾルデ」「椿姫」「コジ・ファン・トゥッテ」「トスカ」といった演目が並んだ。
続く吉田は、バレエ部門の来シーズンを「立て直しのシーズン」と表現しつつ「新国立劇場バレエ団は今とても充実していますが、それはひとえに、バレエ団を育ててくれた歴代の芸術監督のおかげ。来シーズンは、歴代監督へのオマージュを込めたラインナップにしました」とコメント。「まずは、初代芸術監督の島田(廣)先生がレパートリー化された『ドン・キホーテ』で華やかにシーズンをスタートさせます。また来年2月には、前芸術監督の大原(永子)先生が新制作された『ホフマン物語』、4月には
質疑応答では、記者から公共劇場としての役割を問う質問が寄せられた。これに小川は「“公演をするだけの場所”ではないと捉えています」と返しつつ「公益に貢献できるような視点での運営を考えています。アウトリーチやエデュケーション面、創作の場所の提供など、公演以外の部分でも劇場の役割というものを果たし、『ここに来れば文化がある』と思ってもらえる場所にしていければ」と思いを述べた。
新国立劇場 2023 / 2024シーズン 演劇ラインアップ
シェイクスピア、ダークコメディ交互上演「尺には尺を」「終わりよければすべてよし」
2023年10月18日(水)~11月19日(日)
東京都 新国立劇場 中劇場
作:
翻訳:小田島雄志
演出:
出演:
フルオーディション Vol.6「東京ローズ」
2023年12月7日(木)~24日(日)
東京都 新国立劇場 小劇場
台本・作詞:メリー・ユーン、キャラ・ボルドウィン
作曲:ウィリアム・パトリック・ハリソン
翻訳:
演出:
音楽監督:深沢桂子
出演:
「デカローグ I~X」
2024年4~7月
東京都 新国立劇場 小劇場
原作:
翻訳:久山宏一
上演台本:
演出:小川絵梨子、
「こつこつプロジェクト-ディベロップメント-」「こつこつプロジェクトStudio公演」
「ギャラリープロジェクト」
新国立劇場 2023 / 2024シーズン バレエ&ダンスラインアップ
新国立劇場バレエ団「ドン・キホーテ」
2023年10月20日(金)~29日(日)
新国立劇場 オペラパレス
振付:マリウス・プティパ、アレクサンドル・ゴルスキー
改訂振付:アレクセイ・ファジェーチェフ
音楽:レオン・ミンクス
新国立劇場バレエ団「DANCE to the Future: Young NBJ GALA」
2023年11月25日(土)・26日(日)
新国立劇場 中劇場
「ドゥエンデ」
振付:
音楽:クロード・ドビュッシー
新国立劇場バレエ団「くるみ割り人形」
2023年12月22日(金)~2024年1月8日(月・祝)
新国立劇場 オペラパレス
振付:ウェイン・イーグリング
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
新国立劇場バレエ団「ホフマン物語」
2024年2月23日(金・祝)~25日(日)
新国立劇場 オペラパレス
振付・台本:ピーター・ダレル
音楽:ジャック・オッフェンバック
編曲:ジョン・ランチベリー
新国立劇場バレエ団「ラ・バヤデール」
2024年4月27日(土)~5月5日(日・祝)
新国立劇場 オペラパレス
振付:マリウス・プティパ
演出・改訂振付:
音楽:レオン・ミンクス
編曲:ジョン・ランチベリー
新国立劇場バレエ団「アラジン」
2024年6月14日(金)~23日(日)
新国立劇場 オペラパレス
振付:デヴィッド・ビントレー
音楽:
森山開次「新版・NINJA」
2024年6月28日(金)~30日(日)
新国立劇場 中劇場
演出・振付・アートディレクション:
音楽:川瀬浩介
出演:森山開次 ほか
こどものためのバレエ劇場 2023「エデュケーショナル・プログラム『白鳥の湖』」
2023年7月28日(金)~30日(火)
新国立劇場 オペラパレス
オリジナル・プロダクション:バーミンガム・ロイヤル・バレエ
振付:マリウス・プティパ、レフ・イワーノフ、
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
新国立劇場 2023 / 2024シーズン オペララインアップ
「修道女アンジェリカ / 子どもと魔法」
2023年10月1日(日)~9日(月・祝)
新国立劇場 オペラパレス
作曲:「修道女アンジェリカ」ジャコモ・プッチーニ / 「子どもと魔法」モーリス・ラヴェル
台本:「修道女アンジェリカ」ジョヴァッキーノ・フォルツァーノ / 「子どもと魔法」シドニー=ガブリエル・コレット
指揮:沼尻竜典
演出:粟國淳
「シモン・ボッカネグラ」
2023年11月15日(水)~26日(日)
新国立劇場 オペラパレス
原作:アントニオ・ガルシア・グティエレス
作曲:ジュゼッペ・ヴェルディ
台本:フランチェスコ・マリア・ピアーヴェ、アッリーゴ・ボーイト(改訂版)
指揮:
演出:ピエール・オーディ
「こうもり」
2023年12月6日(水)~12日(火)
新国立劇場 オペラパレス
原作:アンリ・メイヤック、リュドヴィク・アレヴィ「大晦日の祝宴」ほか
作曲:ヨハン・シュトラウスII世
台本:カール・ハフナー、リヒャルト・ジュネー
指揮:パトリック・ハーン
演出:ハインツ・ツェドニク
「エウゲニ・オネーギン」
2024年1月24日(水)~2月3日(土)
新国立劇場 オペラパレス
原作:アレクサンドル・プーシキン
作曲:ピョートル・チャイコフスキー
台本:コンスタンチン・シロフスキー、ピョートル・チャイコフスキー
指揮:ヴァレンティン・ウリューピン
演出:ドミトリー・ベルトマン
「ドン・パスクワーレ」
2024年2月4日(日)~10日(土)
新国立劇場 オペラパレス
原作:ステファノ・パヴェージのオペラ「マルカントーニオ氏」のアンジェロ・アネッリの台本による
作曲:ガエターノ・ドニゼッティ
台本:ジョヴァンニ・ルッフィーニ、ガエターノ・ドニゼッティ
指揮:レナート・バルサドンナ
演出:ステファノ・ヴィツィオーリ
「トリスタンとイゾルデ」
2024年3月14日(木)~29日(金)
新国立劇場 オペラパレス
台本・作曲:リヒャルト・ワーグナー
指揮:大野和士
演出:デイヴィッド・マクヴィカー
「椿姫」
2024年5月16日(木)~29日(水)
新国立劇場 オペラパレス
原作:アレクサンドル・デュマ・フィス
作曲:ジュゼッペ・ヴェルディ
台本:フランチェスコ・マリア・ピアーヴェ
指揮:フランチェスコ・ランツィロッタ
演出・衣裳:ヴァンサン・プサール
「コジ・ファン・トゥッテ」
2024年5月30日(木)~6月4日(火)
新国立劇場 オペラパレス
作曲:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
台本:ロレンツォ・ダ・ポンテ
指揮:飯森範親
演出:ダミアーノ・ミキエレット
「トスカ」
2024年7月6日(土)~21日(日)
新国立劇場 オペラパレス
原作:ヴィクトリアン・サルドゥ
作曲:ジャコモ・プッチーニ
台本:ジュゼッペ・ジャコーザ、ルイージ・イッリカ
指揮:マウリツィオ・ペニーニ
演出:アントネッロ・マダウ=ディアツ
新国立劇場 高校生のためのオペラ鑑賞教室 2023「ラ・ボエーム」
2023年7月10日(月)~15日(土)
新国立劇場 オペラパレス
原作:アンリ・ミュルジェ
作曲:ジャコモ・プッチーニ
台本:ジュゼッペ・ジャコーザ、ルイージ・イッリカ
指揮:阪哲朗
演出:粟國淳
新国立劇場 高校生のためのオペラ鑑賞教室 2023「魔笛」
2023年10月26日(木)・27日(金)
京都府 ロームシアター京都 メインホール
作曲:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
台本:エマヌエル・シカネーダー
指揮:園田隆一郎
演出:ウィリアム・ケントリッジ
※初出時、見出しと本文に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
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上村由紀子🌹ライター(演劇・ミュージカル・劇場・ドラマ考察) @makigami_p
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