第57回 紀伊國屋演劇賞の会が、昨日1月24日に東京・紀伊国屋ホールで行われた。
これは、紀伊國屋書店が主催する賞・紀伊國屋演劇賞の授賞式。林あまり、大笹吉雄、長谷部浩、小田島恒志、高井昌史が審査委員を務めた第57回では、団体賞を名取事務所、個人賞を
授賞式には、名取事務所より代表の名取敏行、そして柴田、金、内藤、枝元が出席。名取事務所は、別役実メモリアル3部作上演「やってきたゴドー」「ああ、それなのに、それなのに」「病気」、現代韓国演劇上演「そんなに驚くな」の舞台成果が評価され本賞を受賞した。名取は「(別役実メモリアル3部作上演は)別役実さんと木山潔さんへの追悼の気持ちを込めて、『私がやらなければ誰がやる!』という意気込みで行いました。(賞は)別役さんと木山さんが獲らせてくれたのでは」「『そんなに驚くな』は、戯曲を読んだ次の日にはキャストとスタッフ全員決まっていた、思い入れの強い作品。現代韓国演劇を紹介する本シリーズは、日本にとって重要なのは隣国を知ることなのではと始めたもの。(受賞は)今までの上演が結実したのだと思っています」と言葉に力を込めた。
俳優座劇場プロデュース「夜の来訪者」、オフィス江原「北の大地、南の島。」の演技で受賞した柴田は「私のように、名もなく貧しく、あまり美しくない役者たちが日本中にいらっしゃると思います(笑)。そういう方々にとって『あいつが獲ったんだから、俺も』という存在になれれば。自分の番は、あと少しですよ!」とちゃめっ気たっぷりにコメントした。新宿梁山泊「下谷万年町物語」、Project Nyx公演「青ひげ公の城」の演出が評価された金は「紀伊國屋演劇賞と言えば、アングラの作品は獲れないイメージがありましたが、今回受賞した2作品ともアングラでございます。これを(アングラに)どんどん挑戦していけという叱咤激励だと思い(笑)、これからもアングラ街道まっしぐらで行きます! ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします!」とはつらつとした笑顔を見せた。
演劇集団 円「ソハ、福ノ倚ルトコロ」の作・演出により受賞した内藤は「劇団に入ってから23年、自分のあまりの仕事のできなさに何度も辞めようと思いましたが、励まし支えてくれた皆さんのおかげでここに立っています。円の芝居で、この賞をいただけたことが本当にうれしいですし、この賞に恥じないよう、必死に芝居を続けていきたい」と涙声で語った。枝元は、受賞に至ったこまつ座「貧乏物語」、iaku「あつい胸さわぎ」について「こまつ座さんもiakuさんも、自分にとって思い入れの強い劇団なので、この2団体の作品で賞を獲れたことが、言葉で言い表せないぐらいうれしく、感謝しております」と話し、「これからも演劇の力を信じ、舞台に立たせていただく喜びを感じながら、誠心誠意努めさせていただきます」と意気込みを述べた。
授賞式を欠席した成河は、ビデオメッセージで「(出席を)悩みましたが、今の僕は本番直前期の創作を優先したい気持ちが強く、そのわがままを聞いていただきました」と丁寧に経緯を説明。また、受賞理由となったミュージカル「EDGES ―エッジズ― 2022」、トラム、二人芝居「建築家とアッシリア皇帝」について「僕が一番うれしかったのは、まったく毛色の違う2作品で受賞させていただいたこと。『建築家』のほうは言わずとしれた不条理劇ですし、『EDGES』はソングサイクルというジャンルの、いわばミュージカルショー。芸術か娯楽かという2択で判断されてしまいがちな日本の演劇で、そのどちらもあるものを作りたいと考えながらやってきた、僕の思いが報われたような気がしています」と語った。
なお、贈呈式の模様は、紀伊國屋書店の公式YouTubeチャンネルにて後日アーカイブ配信される。
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新宿梁山泊(紫テント) @SRyozanpaku
24日に紀伊國屋演劇賞の授賞式が行われました🌈
金守珍が個人賞受賞です。
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