イッツフォーリーズ新人公演、ミュージカル「人間ども集まれ！」演出は万里紗

イッツフォーリーズによるミュージカル「人間ども集まれ！」が、3月11・12日に東京・浅草九劇で上演される。

「人間ども集まれ！」は、手塚治虫のマンガ。イッツフォーリーズの新人公演となる今回は、俳優でもある万里紗の演出、国広和毅の音楽で、同作をミュージカル化する。

物語は、東南アジアの独裁国家パイパニアでの戦争から始まる。昭和生まれの凡人・天下太平の特殊な精子から人工授精で生まれたのは、男でも女でもない新たな人類“無性人間”だった。大量生産され、世界各地に散らばった無性人間たちは、やがて優生医学の権威・大伴博士と、宣伝屋の木座神明、そして生物学上の父・太平を相手どって立ち上がり……。

出演者にはイッツフォーリーズ46期の青山悠世、平葉月、出口和慎、緋宮寿、身内ソラ、光由、森島美玖のほか、堀内俊哉、大川永、近藤萌音、石井菫が名を連ねた。

演出の万里紗は「あたたかいイッツフォーリーズの俳優たちと共に、原作以上にSF化した＜いま＞をキュートにビビッドにケーキのように、スライスしていきたいと思います。どうぞお見逃しなく」と語る。また音楽を手がける国広は「テーマがテーマですから音楽的趣向もステレオタイプに陥るのでなくそれをうまく利用してやるという姿勢が今回の創作としては正解なように感じます。真面目に真面目に作りましたが仕上がりとしては楽しい曲が盛り沢山です。思う存分お楽しみ下さい」と観客にメッセージを送った。チケットの前売は1月30日にスタートする。

万里紗コメント

手塚治虫さんは、1989年に亡くなりました。私は1990年に生まれ、イッツフォーリーズ46期の最年少俳優は、2001年に生まれています。

手塚治虫を全く知らない世代とは、第二次世界大戦も高度経済成長もバブルも冷戦も知らない世代であり、手塚さんの鳴らしていたはずの警鐘が、かき消された時代を生きてきた世代なのかもしれません。

それでも、「人間ども集まれ！」に初めて触れたとき、手塚さんがながーい手を伸ばして、砂漠を彷徨っていた私に水のあるところを教えてくれたような気がしました。ジェンダーも属性も全然ちがう手つかさんと通じ合えたような、そんな気がしました。

敬愛する音楽家、国広和毅さんに心ときめく愉快な音楽を数々生み出して頂いています。あたたかいイッツフォーリーズの俳優たちと共に、原作以上にSF化した＜いま＞をキュートにビビッドにケーキのように、スライスしていきたいと思います。どうぞお見逃しなく。

国広和毅コメント

いずみたくさんの劇団イッツフォーリーズで、それも演目が手塚治虫さんの「人間ども集まれ！」となれば作曲家としては胸が踊らずにはいられません。はりきって奇想天外SF漫画的歌謡曲のオンパレードミュージカルにしよう！と着手してみるとこれがなかなか難しい。名作にはありがちなことですが根底には時代を軽々と越えた重たいメッセージがひっそりしっかりと鎮座しているのです。ということで半分は外連味モードで、半分はしっかり物語に奉仕しながら作曲しました。テーマがテーマですから音楽的趣向もステレオタイプに陥るのでなくそれをうまく利用してやるという姿勢が今回の創作としては正解なように感じます。真面目に真面目に作りましたが仕上がりとしては楽しい曲が盛り沢山です。思う存分お楽しみ下さい。