ジャニーズWESTの
本公演では安部公房「幽霊はここにいる」を、文学座の
フォトコールではまず、深川と大庭の出会いのシーンが上演された。舞台上方のリングから下がったカーテンの向こうに明かりがつくと、傘を差した市民たちのシルエットが浮かび上がり、同時にハミングが聞こえてくる。カーテンが引かれると舞台の中央は大きな丸い砂場になっており、上からひと筋の砂が降り注いだ。歌う市民たちが立ち去ると、センターに神山演じる深川が現れ、黒い傘を差して砂を受け止める。やがて舞台が明るくなると幻想的な雰囲気から一転、深川と八嶋演じる大庭が軽妙なやり取りを繰り広げ、観客を物語の世界へ引き込んだ。
次に披露されたのは、深川が幽霊の身許調査を始めるシーン。神山は「戸籍の歌」に乗せてさわやかな歌声とキレのあるダンスを披露。空っぽの白い額縁を持った黒い衣裳のアンサンブルたちも息の合ったパフォーマンスを見せ、会場を盛り上げた。
フォトコール後に行われた取材会には、演出の稲葉、神山、
神山の印象について尋ねられた稲葉は「芯がめちゃくちゃ強い! 覚悟を持って舞台に立ってくれるので、すごく助けられました。戦友です」「正直で、舞台上にいてうそがない。だからセリフが素直にポンと響いて、聞いていてとても気持ちが良いですね。スペシャルなお声をお持ちだなと」と称賛。これを受けた八嶋が「(神山の声は)ファンの方から“化粧水ボイス”と呼ばれている」と言うと、神山は「声がスーッと染み渡るらしいです」と自らコメントして記者を笑わせた。
神山は稲葉の称賛を「まったくその通りだと思います(笑)」と茶目っ気たっぷりに受け止めつつ、「深川は唯一、幽霊が見える人物。共演者の方にもお客様にも幽霊の存在を認識してもらうために、幽霊がそこにいると常にイメージしながら演じています」と語る。さらに神山は「舞台に立つたびに思いますが、やっぱり演劇って面白い。僕自身を含め、戦争を知らない人たちにも、過去に日本でこういうことがあったんだ、過去にいた人たちの命の上に僕らが立たせてもらっているんだと感じてもらえる舞台だと思います」と言葉に力を込めた。
神山が「八嶋さんがムードメーカーになってくださる」と水を向けると、八嶋は「そうだと思います!」と大きくうなずいて会場を笑いで包む。八嶋は「この刺激的な作品を皆さんにバトンタッチできるのが楽しみ」と期待を口にし、「神ちゃんは20歳以上離れているけど、すごくしっかりしている。僕がどんな“悪球”を投げても、しっかり受け取って僕の胸元に投げ返してくれる。座長がこういう方だと安心ですね。頼りになります」と神山に信頼を寄せた。
続く木村は「60年以上前に書かれた戯曲ですが、古さを感じません。タイトルから『ホラーかな』と思う方もいるかもしれませんが、純粋に楽しめる作品になった」と話す。また座組の雰囲気について木村は「神ちゃんが落ち着いているし、八嶋さんは太陽のよう。とてもバランスの良い稽古場でした。そこに賀恵さんがいることで統率の取れた座組になったと思う」とカンパニーに厚い信頼を寄せた。
取材会ではタイトルにちなんで「もし幽霊が見えたら誰に会いたいか」という質問も。神山は「ジャニー(喜多川)さんです。僕にとって芸能界の父ですし、今いろいろお仕事ができているのはジャニーさんのおかげ。『がんばっているよ』と伝えたいですね」と感慨深げに述べた。
最後に神山が「キャスト、スタッフ、そして幽霊一同が皆さんをお待ちしています。ぜひこの作品の世界観に飛び込んでください」と観客に呼びかけ、取材会は終了した。
東京公演は明日12月8日から26日まで。その後は1月11日から16日まで大阪・森ノ宮ピロティホールでも上演される。
パルコ・プロデュース2022「幽霊はここにいる」
2022年12月8日(木)~26日(月)
東京都 PARCO劇場
2023年1月11日(水)~16日(月)
大阪府 森ノ宮ピロティホール
作:安部公房
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