これはぺぺぺの会の新作長編。“世界を主体的に生き抜くため”に、行動を起こし続けることを選択した斗起夫だが、父が死んだ日に運命の人と巡り会い……。
上演に向けて作・演出を手がける
出演者には石塚晴日、佐藤鈴奈、熊野美幸、新堀隼弥のほか、いいへんじ / 山口綾子の居る砦の飯尾朋花、宇田奈々絵、いいへんじ / 山口綾子の居る砦の小澤南穂子、小池舞、小林彩、瀧口さくら、劇団夜鐘と錦鯉の中カイ啾仁、食む派のはぎわら水雨子、いいへんじ / 青年団の
宮澤大和コメント
斗起夫。彼のことを書こうと思ったきっかけのようなものをはっきり憶えているわけじゃない。彼が誰で、何者なのかもわからないまま私は筆を走らせた。彼は散漫としていて、思いついたことを思いついた順に、私に話して聞かせてくれた。主に時系列に関することで辻褄が合わないところが多くあった。私は、註釈を付けながら、彼の話をできるだけ整理して並び替えることを試みた。しかしうまくはいかなかった。
私がこの作品を演出するうえで達成したいことが3つある。その3つのワードをサブタイトルにこめた。1つ目は「東京、都市」の描き直しである。「東京、都市」には余白がない。空は狭く、右も左も広告で溢れかえっている。地面はかたいアスファルトで覆われている。 そこでますます希薄になっていく人間関係とコミュニケーションのぎこちなさを─2つ目のワード─「2031年」の視点から見つめてみる。9年後の未来。かといってSF的にはならない。彼が暮らす東京の景色は今とさほど変わらない。変わったことといえば、変わらないことを望む人々が社会を変えないために変えたしくみだけである。変わっていこうとするものを変えないために変えたしくみ。そのせいで社会はますま す歪になっていく。 彼はじつにさまざまなジャンルについて私に話をしてくれた。なかでも、真に迫っていたのが彼の性愛にまつわるいくつかのエピソードである。彼の話には首を縦に振りかねる箇所が多くあるが、私は彼の話を聞きながら、9年後、希薄になっていく人間関係とコミュニケーションのぎこちなさを土壌にして歪な性愛が形成されていく様子を想像することは可能だった。
彼は思いついたことを思いついた順に話すだけだった。私はそれを必死に書き留めるだけだった。演者はそれを声に出して、体を動かしてみるだけだった。それだけでは彼の話は「物語」にはならなかった。ぜひ劇場へ足を運んでみてほしい。「物語」が、「物語」になる前の─「物語」になる瞬間に立ち会っていただけると思うから。こんな感覚はきっと初めてだと思うから。
ぺぺぺの会 ぶいの「ぺ」公演「斗起夫-2031年、東京、都市についての物語-」
2022年12月28日(水)~30日(金)
東京都 BUoY
作・演出:
出 演:石塚晴日、佐藤鈴奈、熊野美幸、新堀隼弥 / 飯尾朋花、宇田奈々絵、小澤南穂子、小池舞、小林彩、瀧口さくら、中カイ啾仁、はぎわら水雨子、
※中カイ啾仁のカイはくさかんむりに亥が正式表記。
ぺぺぺの会 @pepepe_no_kai
ステージナタリーさまにご掲載いただきました。
#ぺぺぺの会 『斗起夫』12/28〜30
よろしくおねがいします。 https://t.co/H3Vbhewt1z