来年上演されるミュージカル「バンズ・ヴィジット 迷子の警察音楽隊」の製作発表が、本日11月15日に行われた。
「バンズ・ヴィジット」は2007年に公開された映画「
劇中では、エジプトのアレクサンドリア警察音楽隊がイスラエルへ演奏旅行に行ったものの、乗るバスを間違えてしまい、たどり着いた辺境の街で一夜を過ごす様子が描かれる。製作発表には警察音楽隊の楽隊長・トゥフィーク役の
製作発表の冒頭では、ホリプログループの堀義貴会長があいさつ。本作がオフブロードウェイからオンブロードウェイに進出するタイミングで出資に参加したという堀は「イスラム国が席巻していた当時、対立が激しくなっているこの時代に、こういうほのぼのとした話が良いのではないかと。これは“近所”に入って来た異質なものが、実は自分たちとまったく変わらないとわかる、という物語です。アラブ語やヘブライ語のニュアンスの違いや中東ふうの音楽の表現などが、日本公演のハードルになるかと思いますが、『新しいミュージカルの楽しみ方がわかった』とお客様に言ってもらえるような作品にしたい」とコメントした。
作品への思いを聞かれた森は、“大したことではなかった”という字幕から物語が始まることを説明し、「音楽の力を媒介にして、互いの心の傷を分かち合う奇跡が起こる。それは第三者からしたらちっぽけなことでも、登場人物たちにはこれ以上ないくらいの“大したこと”なんです。そんなささやかな出来事こそ、我々が日常生活で求めていることなのではないかと。中東の歴史や情勢に詳しい方からしてみれば夢物語のような話ですが、原作者はそれを承知のうえで、静かな声で希望を届けている。その繊細さを舞台上にいかに乗せられるかということが、今回の僕の最大の課題だと思っています」と語る。
風間は「踊らなくて良い、歌わなくて良い、という言葉にだまされた」と、2018年に「リトル・ナイト・ミュージック」でミュージカルに初挑戦したことに触れ、「踊りも歌もないということで(今回、出演を)決意しました。確かに踊らなくて良いのですが、1曲だけ濱田さんとのデュエットがある。この1曲に魂を込めようと思っています」と宣言。なお、風間が濱田と歌うナンバー(原題「Something Different」)で風間は全編アラビア語の歌詞に挑戦する。稽古前の現段階では「間違えたってわかんないだろうと思っている」と明かした。
一方の濱田は、本作を彩る音楽について「乗っ取られるというか、夜寝るときまで頭の中でぐるぐる回って、心をつかんで離さない。先ほどのパフォーマンスでもパッと空気が変わるのがわかったので、劇場が不思議な世界観に包まれる感覚を味わうのが楽しみ」と言う。さらに、ディナを演じる際に「ギフトとして持って帰っていただけるのは何だろうとずっと考えていました。森さんがおっしゃった通り、何でもないことが実は大切で素敵なことで、それはほかの人は気付かない。私の世代ではあまり使わない言葉ですが『エモい』っていうのですかね?(笑) そういう素敵で、オリエンタルな風を吹かせられたら」と意気込む。
本作をブロードウェイで観劇していた新納は、「4年前にこの作品を観て、あまりの素晴らしさにプロデューサーに連絡をして『トランペッターの役で出させてください』と伝えたんです。でもオファーが来たのは別のプロデューサーから。日本にはこの役をできる俳優が僕しかいないんだと、よくわかりました(笑)」と述べ、周囲の笑いを誘った。さらに観劇後に思わずハドソン川沿いを10km弱歩いて帰ったというエピソードを語り、マスコミに向けて「“心にしみわたるとても良い作品”という、こんな平たい言葉でしか(自分には)表現できない。だから『つべこべ言わずに観に来て!』と書いておいてください」とリクエストした。
製作発表では、登壇予定だったものの急きょ欠席となった、電話男役の
最後に森が「砂漠のど真ん中にある街の物語なので、音楽にも全然違う雰囲気が漂うと思います。いろいろな情報がスピーディに入ってくる今、急ぎ足で街を歩かなきゃいけないような時代に、たまにはゆっくりした空間に身を委ねて、(この作品を観ている間は)静かに自分の人生を見つめ直せるような時間になれば」とアピールし、製作発表は終了した。
公演は来年2月7日から23日まで東京・日生劇場、3月6日から8日まで大阪の梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ、11・12日に愛知県 刈谷市総合文化センター アイリス 大ホールにて。
ミュージカル「バンズ・ヴィジット 迷子の警察音楽隊」
2023年2月7日(火)~23日(木・祝)
東京都 日生劇場
2023年3月6日(月)~8日(水)
大阪府 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
2023年3月11日(土)・12日(日)
愛知県 刈谷市総合文化センター アイリス 大ホール
原作:
音楽・作詞:デヴィッド・ヤズベック
台本:イタマール・モーゼス
翻訳:常田景子
訳詞:高橋亜子
演出:
キャスト
トゥフィーク(指揮者):
ディナ:
カーレド(トランペット):
イツィク:矢崎広
サミー:渡辺大輔
パピ:永田崇人
イリス:エリアンナ
ツェルゲル:青柳塁斗
シモン(クラリネット):中平良夫
電話男:
アヴラム:岸祐二
警備員:辰巳智秋
ジュリア:山崎薫
アナ:高田実那
サミーの妻:友部柚里
カマール(バイオリン):太田惠資
警察音楽隊(マルチリード):梅津和時
警察音楽隊(チェロ):星衛
警察音楽隊(ウード):常味裕司
警察音楽隊(ダルブッカ):立岩潤三
※山崎薫の「崎」は立つ崎(たつさき)、高田実那の「高」ははしご高が正式表記。
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ほのぼのと“大したことある”物語が展開、ミュージカル「バンズ・ヴィジット」出演者らが意気込み - ステージナタリー
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