市川團十郎白猿・市川新之助の襲名披露興行が開幕「努力し、精進したいという覚悟」

「市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台 『十一月吉例顔見世大歌舞伎』」が、昨日11月7日に東京・歌舞伎座で開幕した。

歌舞伎座では、2カ月にわたり市川團十郎白猿と市川新之助の襲名披露興行が開催される。その幕開けとなる本公演の昼の部は、中村梅玉、中村鴈治郎、中村錦之助といった面々が成田屋の襲名披露を祝う「祝成田櫓賑」でスタート。続く「外郎売」では、新之助が外郎売実は曽我五郎を勤める。「外郎売」の「劇中口上」では、尾上菊五郎が「『外郎売』は、十二代目團十郎さんが昭和55年5月歌舞伎座におきまして、古風に則り演じられた復活狂言にて、市川家の家の芸にございます。この度八代目新之助くんの初舞台を迎え、父十三代目の教えのもと、この大役を相勤めますれば、何卒鷹揚のご見物のほどをひとえにお願い申し上げ奉ります」と紹介。新之助が早口の言い立てを披露すると、観客から大きな拍手が送られた。

昼の部では「勧進帳」が最後を飾る。武蔵坊弁慶を團十郎、源義経を市川猿之助、弁慶と対峙する富樫左衛門を松本幸四郎が勤めるほか、四天王の亀井六郎を坂東巳之助、片岡八郎を市川染五郎、駿河次郎を尾上左近、常陸坊海尊を片岡市蔵が演じる。劇中では、團十郎扮する弁慶による白紙の勧進帳の読み上げ、富樫が弁慶を追求する「山伏問答」などが次々に展開。最後に團十郎が花道を飛び六方で引っ込むと、会場は万雷の拍手に包まれた。

夜の部ではまず、幸四郎、巳之助、中村吉之丞、大谷友右衛門による「矢の根」が披露される。続く襲名披露「口上」には、團十郎、新之助のほか、菊五郎、松本白鸚、片岡仁左衛門、梅玉、市川左團次が顔をそろえた。團十郎は先輩たちのあいさつに感謝しつつ、「初代より十二代、團十郎を大切にしてきた先祖を思い、その先祖の足元にも及びませんが、一生懸命努力をし、精進したいという覚悟でございます」と述べ、新之助も「そののちはひとかどの歌舞伎役者となれるよう一生懸命相勤めますれば、どうぞよろしくお願い申し上げ奉ります」と語った。

夜の部を締めくくるのは「助六由縁江戸桜」。團十郎は江戸一の伊達男・花川戸助六に扮し、花道で流麗な所作と形を披露して観客を魅了する。本作では約2時間にわたってにぎやかな場面が繰り広げられ、盛況の中で幕を閉じた。

「十一月吉例顔見世大歌舞伎」の公演は11月28日まで。襲名披露公演は同劇場で12月にも行われ、その後、2024年10月まで京都・南座や大阪・大阪松竹座ほか全国で実施される。

なお、ステージナタリーでは「市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台」の特集記事を展開中。團十郎が襲名への思いを語っている。