松本白鸚が文化勲章を受章「お客様に喜んでいただけるお芝居を、死ぬまで続けていく」

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松本白鸚が文化勲章を受章することが本日10月25日に発表され、これに先駆け昨日24日に東京都内で取材会が実施された。

松本白鸚

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松本白鸚

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白鸚は「身に余る栄誉で、びっくりしておりますし、大変うれしく思っております。私は満3歳で初舞台を踏んでから、かれこれ80年近く舞台俳優を続けてまいりました。そういうふうに言うとカッコいいのですが(笑)、私にはそれしかないのでございます」とはにかむ。さらに「この勲章は私1人でいただいたのではなく、皆様と一緒にいただいたものだと思っています。お礼の言葉しかありません」と、会社やスタッフ、共演者といった関係者に対し、次々に謝辞を述べていく。「何よりも、劇場に足をお運びくださるお客様方にお礼を申し上げます。そしてこの栄誉の場を借りて、家内に感謝の言葉を贈ります。よく高麗屋の女房になってくれました」と言葉に力を込めた。

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記者から、受章に対する家族の反応を問われると「(松本)幸四郎からは『それはめでたい。こうでなくてはいけません』と言われましたが、意味がわかりませんね(笑)。(松本)紀保からは、びっくりしたあとに『おめでとうございます』と型通りのあいさつをいただき(笑)、松たか子は『おお、それはそれはめでたい』だけ。一番男らしい(笑)。彼女は今、野田秀樹さんの『Q:A Night At The Kabuki Inspired by A Night At The Opera』に出演しているので、それどころではなかったのでしょうね」と、それぞれのリアクションを笑みをこぼしながら明かす。さらに「……これ以上家族の話をすると、文化勲章の取材会らしくない内容になってしまうので、このへんで(笑)」と茶目っ気たっぷりにほほ笑んだ。

2008年上演の東大寺奉納大歌舞伎「勧進帳」より、九代目松本幸四郎(現:松本白鸚)扮する武蔵坊弁慶(中央)。

2008年上演の東大寺奉納大歌舞伎「勧進帳」より、九代目松本幸四郎(現:松本白鸚)扮する武蔵坊弁慶(中央)。[拡大]

思い入れのある役を「歌舞伎では、やはり『勧進帳』の武蔵坊弁慶ですね。自分の人生そのものが入っているように感じるお役です。忘れもしないのが、東大寺の大仏様の前で『勧進帳』をやったときのこと。弁慶を演じていると『人を喜ばせること、涙を流させることは容易ではない。ましてや感動を与えることは容易ではない。それをお前は仕事にしている。心して励め』と、大仏様のお声が聞こえたんです。本日にふさわしいお言葉だと思います」と語った。

1966年上演の芸術座「心を繋ぐ6ペンス」より。(写真提供:東宝演劇部)

1966年上演の芸術座「心を繋ぐ6ペンス」より。(写真提供:東宝演劇部)[拡大]

これまで出演した現代劇で心に残っている作品を聞かれると「『ラ・マンチャの男』というお答えを期待されているかと思いますが(笑)、一番好きなのは、1966年上演の『心を繋ぐ6ペンス』という踊りまくって歌いまくるミュージカルです。上演当時、終演後に私は(二世)尾上松緑のおじから『素襖落』を習っておりまして。ある日、とうとう筋肉が悲鳴を上げて上演中に左足のヒラメ筋を切ってしまったんです。すると、切れた音に気がついたダンサーさんたちが僕を担ぎ上げて、『このあとのステップは僕らが踏みます。あなたは痛みだけを堪えていてください!』と運び出してくれて。そのあとは、テープがない時代ですから自転車のチューブを足に巻き、痛み止めの注射を打たれて『さあ、いってらっしゃい』とまた舞台に送り出されました(笑)。とうとう1日も休演しませんでしたね」と懐かしそうに振り返った。

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俳優として、さまざまな挑戦を続けてきたことに「僕は断ることが嫌いなんです。『アマデウス』への出演オファーがあったときも、『ラ・マンチャの男』をブロードウェイで、しかも英語でやってくれというお話をいただいたときも、断らなかったんですね。全部やっちゃったんです。そこから新しいものが生まれてくるということだけを信じていました」と話す。最後に今後の目標を聞かれた白鸚は「お客様に喜んでいただけるお芝居を、死ぬまで続けていくこと」と回答。「“お客様あっての芝居”ということは、舞台に立つときにいつも考えていることです。お客様が喜んでくださらなければ、独りよがりになってしまう。役者は一生修行です。これからも『今日こそは、明日こそは、もっと良い舞台を』という思いで舞台に立っていきたい」と言葉に思いをにじませた。

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北川理恵 Rie Kitagawa @riekitagawa

白鸚さん、おめでとうございます!✨
ひとこと一言、何回も読み返しています。 https://t.co/36VfSt28BK

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