KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「掃除機」が、来年3月4日から22日まで神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 中スタジオで上演される。
これは、
劇中では、長年引きこもりを続け中年になった子供と、それを支える高齢者の親を巡る社会問題・8050問題をテーマに、掃除機・デメの視点から、ある一家の日常ととある出来事が描かれる。引きこもりの五十代の娘・ホマレ役を
本谷、岡田、そしてKAAT神奈川芸術劇場の芸術監督・長塚圭史のコメントは以下の通り。
本谷有希子コメント
岡田さんと自分の共通点は何か、と考えてみても、パッとは思いつかない。でも“ない”とは思わない、流石に。あると思う。その部分に全力で重なってみることも、思い切り外れてみることもできると思う。岡田さんからもらったテキストの、五人の役名の下には、こんな説明書きがあった。「80代」。「娘。50代。引きこもり。」「息子。40代。無職。」「友人。」「掃除機。」――俳優達とミュージシャンと、自分のものではない言葉に触れながら、あるかないかもわからない共通点を、探り続けていきます。
岡田利規コメント
「掃除機」は、8050問題と呼ばれることもあるひきこもりの高齢化の問題を扱った、ある家族の情景を描いたぼくの戯曲です。このテキストを本谷有希子さんが演出するというプロダクションが今シーズンのKAATのプログラムに入ったことに興奮しているという意味でも緊張しているという意味でもどきどきしています。ぼく自身が演出するのでは決して生まれない本谷さんならではのテイストを持つものとしてお客さんに届けられる上演になるでしょう、その期待に興奮するのです。そしてその際に「掃除機」というテキストがどのような晒され方をするのか、ということに緊張するのです。
長塚圭史コメント
「掃除機」に寄せて
岡田利規さんの「The Vacuum Cleaner」(掃除機)は、ミュンヘンの公立劇場カンマーシュピーレで2019年の12月にレパートリー作品として初演されました。岡田さんが同劇場のレパートリー作品を手掛けたのは今作で実に4作品目であり、またさらなる新作のクリエイションが同国で準備されているということで、岡田さんの国際的な活躍が窺えます。ミュンヘンではもちろんドイツ語での上演でしたが、元々の戯曲は日本語で紡がれています。今回この原本とも言える日本語版「掃除機」を世界初演しようというわけです。
演出は文壇での活躍めざましい本谷有希子さん。本谷さんは演劇界で活動を始め、その後重心を小説に移しました。暫く演劇界と距離を置かれていましたが、2019年自身の小説を舞台化する試みを始め話題を呼びました。これまでのセオリーから離れ、改めて言葉を立体化することに関心を抱いた小説家であり劇作家でありそして演出家である本谷さんが、果たして岡田さんの台詞世界をどう立ち上げていくのか興味は尽きません。
本作は社会と折り合いのつかない家族を鋭い筆致とユーモアで描きます。無職の40代息子と引きこもりの50代娘を抱える父親はすでに80歳を過ぎています。そしてこの家族の停滞し続ける風景を長年見つめてきた掃除機の「デメ」。この奇抜な設定が思いがけない視界を広げていきます。社会問題としてはっきりとそこにあるのにも関わらず、その解消の困難さゆえに置き去りにし忘れ去られてしまう中高年層の引き篭りと、その世話から逃れることの出来ない高齢者の、所謂「8050問題」を圧倒的な筆致で描いた怪作。ミュンヘンでも高く評価された岡田利規さんの「掃除機」と、新たな視点で演劇を捉え始めた演出家・本谷有希子さんの競演にご期待ください。
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「掃除機」
2023年3月4日(土)~22日(水)
神奈川県 KAAT神奈川芸術劇場 中スタジオ
作:
演出:
音楽:
出演:
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𠮷中詩織 @shiiiiiko415
情報解禁されました!
来年ではありますが、震えるほど楽しみな作品のひとつです!!!
初めましての方、お久しぶりの方とのクリエイション、今からワクワクが止まりません!! https://t.co/f0NAtqtUQc