「秀山祭」開幕、松本白鸚・片岡仁左衛門・中村梅玉らが中村吉右衛門をしのぶ

「『秀山祭九月大歌舞伎』二世中村吉右衛門一周忌追善」が、昨日9月4日に東京・歌舞伎座で開幕した。

「秀山祭九月大歌舞伎」は、昨年死去した中村吉右衛門の一周忌追善として行われるもの。第1部は、1999年に吉右衛門が構成・演出を手がけ、姫路城で初演した舞踊劇「白鷺城異聞」で幕開け。初演で吉右衛門が演じた宮本武蔵を、今回は中村歌六が勤める。続く「菅原伝授手習鑑」より「寺子屋」では、偶数日では松王丸を松本幸四郎、武部源蔵を尾上松緑、奇数日では松王丸を松緑、武部源蔵を幸四郎が演じる。また、中村歌昇の長男・中村種太郎が菅秀才役、次男・中村秀乃介が小太郎役で初舞台を踏む。

第2部の「松浦の太鼓」では、吉右衛門が当たり役としていた松浦鎮信役を松本白鸚が初役で勤めるほか、宝井其角役を歌六、大高源吾役を中村梅玉が演じる。劇中では、白鸚、梅玉、歌六ら出演者による追善口上が披露された。白鸚が、弟・吉右衛門への思いを「兄として誠に誇りと思うことと同時に、たった一人の弟でございますゆえ、別れはいつも悲しい、侘しいものでございます。今回、弟の追善の意味を込めまして、兄として初役にて『松浦の太鼓』を上演させていただきます」と述べると、会場は大きな拍手で包まれた。「揚羽蝶繍姿」は、「籠釣瓶花街酔醒」「鈴ヶ森」といった吉右衛門の当り役の名場面をつづる公演。出演者には松本幸四郎、歌昇、市川染五郎、中村錦之助、中村福助らが名を連ねている。

第3部には「仮名手本忠臣蔵」より「祇園一力茶屋の場」と「藤戸」がラインナップされた。「仮名手本忠臣蔵」では大星由良之助役を片岡仁左衛門、寺岡平右衛門役を市川海老蔵、赤垣源蔵役を中村橋之助、富森助右衛門役を中村鷹之資、大星力弥役を片岡千之助、矢間重太郎役を中村吉之丞、鷺坂伴内役を片岡松之助、斧九太夫役を嵐橘三郎、遊女おかる役を中村雀右衛門が勤める。1998年に吉右衛門が広島・厳島神社の奉納歌舞伎で初演した「藤戸」は、能の「藤戸」を素材に、平和への祈りが込められた舞踊劇。本作には、尾上菊之助、中村種之助、中村米吉、尾上丑之助、中村吉兵衛、中村吉之丞、坂東亀蔵、坂東彦三郎、中村又五郎が登場する。公演は9月27日まで。