来年2月25日から3月12日まで、神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 ホールで上演される、KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「蜘蛛巣城」の出演者が明らかになった。
今回のプロダクションでは、三船敏郎が演じた主人公・鷲津武時役を
赤堀とは2017年に上演された「世界」以来の顔合わせとなる早乙女は、「まだ随分先の舞台なのに、こんなにも前から緊張や不安や高揚感を感じるのは、今までで初めてです。それ程、自分にとってこの舞台に挑む事がどんな事なのか、日々実感しております」とコメント。また、初めて赤堀演出に挑む倉科は「私自身赤堀さんの演出を受けてどんな変化や気付きがあるのか、どの様に染まってゆくのか、怖くもありますが丁寧に向き合っていきたいと思います」と期待を語った。
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神奈川公演のチケットは12月に販売を予定。また、神奈川公演のあとには兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール、大阪・枚方市総合文化芸術センター 関西医大 大ホール、山形・やまぎんホール(山形県県民会館)大ホールでツアー上演が予定されている。
早乙女太一 コメント
赤堀さんが演出を手掛ける舞台に参加させて頂くのは、2017年に上演された「世界」以来、約6年ぶりになります。あの時、経験できた舞台作りの時間は、とても大きな経験になりました。
今作に参加出来ることが決まった日から、ほぼ毎日この舞台のことが頭をよぎり、その度に心臓が締め付けられては鼓動が高鳴ります。まだ随分先の舞台なのに、こんなにも前から緊張や不安や高揚感を感じるのは、今までで初めてです。それ程、自分にとってこの舞台に挑む事がどんな事なのか、日々実感しております。
そんな作品に参加出来ることを心から嬉しく思います。誠心誠意努めてまいりますので、宜しくお願い致します。
倉科カナ コメント
演出の赤堀さんとはずっと一緒にお仕事したいと切望していたので、今回お話しを頂いてとても嬉しいです。
私自身赤堀さんの演出を受けてどんな変化や気付きがあるのか、どの様に染まってゆくのか、怖くもありますが丁寧に向き合っていきたいと思います。
また「蜘蛛巣城」が舞台でどう蘇るのか、一演劇ファンとして今からとても楽しみです。
中島歩 コメント
「蜘蛛巣城」という荘厳なタイトルに皆さま尻込みしてしまうかもしれません。というか僕もしっかり尻込みしております。いつも駅から家までを歩いて運動した気になってるのに急にチョモランマに挑むような気分です。
でも演劇の大きな山をガンガン登ってるようなすごい方々と作るので大丈夫です。
そんなに尻込まずにぜひ劇場にいらしてください。
銀粉蝶 コメント
存在の耐えられないヤルセナサ。──赤堀さんの作品を思うとき、最初に浮かぶ言葉です。でも、今回はあの黒澤明監督の「蜘蛛巣城」の舞台化だときいて、驚きました。黒澤映画で思い出すのは三船敏郎のギラギラと野心に燃える眼。そんなものは赤堀作品とは無縁のものに感じて、それで驚いたのですが、いまはワクワクしています。わたしの知らない赤堀さんに出会える予感があるから。それに、「蜘蛛巣城」は「マクベス」の翻案ですけど、マクベスを苛む罪悪感はつきつめるとヤルセナサに至る。きっとそうなります。これは魔女の予言です。
赤堀雅秋 コメント
まずこの作品の演出の依頼を受けた時、「何故、今この作品を現在の観客に提示するのか」という事を考えました。もちろんエンターテインメントとして単純に喜んでいただくというのは大前提として。
「蜘蛛巣城」といえば、言わずもがなシェイクスピア「マクベス」を原案とした黒澤明監督の映画作品。その主人公は三船敏郎。今回の舞台版「蜘蛛巣城」はそれとはまったく印象の違う早乙女太一が主人公を演じます。そしてその妻は倉科カナ。若い夫婦が戦乱の世に翻弄される顛末。歴史に織田信長が登場する直前の混沌の世。下剋上の世。
それでも人間の心の在り方は何も変わりがありません。戦乱の世は、決して二次元の世界ではなく、我々と地続きにある現実的な世界。その生々しい痛み、愚かさ、そして愛しさを、舞台という生々しい空間で感じ取っていただけたら幸いです。
齋藤雅文 コメント
黒澤監督の「蜘蛛巣城」は、「マクベス」を日本の戦国時代に翻案し、能の手法、美意識を大胆に取り入れた映像美溢れる傑作です。大劇場の舞台用に脚色するにあたって私は、映画的スペクタクルではなく、日本人の精神性ということを強く意識しました。
たとえば神仏が混交し唯一絶対神のいない宗教観。主語を省き、曖昧さを武器にし、敬語を複雑に駆使して生まれる関係性。曖昧な「予言」に翻弄され、あらゆることが曖昧なまま、登場人物たちは「確かな何か」求めて必死に足掻き続けます。その湿度の高い主従関係、夫婦の愛情を描くには歌舞伎の科白など、いわゆる「時代劇の手法」が相応しく思われました。
この台本は、「マクベス」を「本歌取り」しつつ、普遍を求めながら独自性に固執する日本人の「業(ごう)」の物語だと思っております。赤堀さんの独自の視点から、KAAT発の新たなる「蜘蛛巣城」が生まれることを楽しみに致しております。
長塚圭史 コメント
本作に「若さ」という要素を加えると聞き非常に楽しみです。身の程を知らず、あるいは今ある幸福を幸福と信じられず、本懐を忘れて暴君と化してゆく鷲津武時=マクベスに「若さ」を注入する。ぬかるみをジタバタともがきながら滑っていく赤堀版が目に浮かびます。
赤堀さんの人間を見つめる目は、一見すると冷徹だけれど優しい。弱者や敗者への厳しくも穏やかな慈愛の目線がある。恵まれない者たちのことを笑っても、そのそばから離れることはありません。寧ろ無自覚に笑う者たちをジロリとやって冷や水を浴びせるのです。
さてこの赤堀さんの眼差しが、簡潔で勇壮且つ典雅な齋藤雅文脚本による「蜘蛛巣城」に加えられることで、登場人物がいかに生き物として蠢くのか。「普通」が推奨される現代で、「特別」を求める主人公は私たちに何を思い出させてくれるのか、「忘」シーズン最後のホール公演を飾る赤堀版「蜘蛛巣城」に大いに期待すると同時に、私も出演者として、若き鷲津夫妻に思い切り翻弄されたいと思います。
出演者として
KAATより演出をお願いした赤堀さんから出演依頼を頂いた時は驚きのあまりひっくり返りそうになりました。お引き受けした以上はご期待に添いたいと思います。ここ10年ほど自分自身が演出する舞台にしか立っていなかったので恐らく大変に苦労したり、楽しんだり、色々新鮮なことになるでしょう。「マクベス」でいうところのマクダフという大役ですが、そこはあまり気負わずに小田倉則保という忠臣の人物像に少しでも寄り添えればと思います。
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「蜘蛛巣城」
2023年2月25日(土)~3月12日(日)
神奈川県 KAAT神奈川芸術劇場 ホール
2023年3月~
兵庫県 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
大阪府 枚方市総合文化芸術センター 関西医大 大ホール
山形県 やまぎんホール(山形県県民会館) 大ホール
原脚本:
脚本:
上演台本:齋藤雅文、
演出:赤堀雅秋
出演:
※2023年2月22日追記:長田奈麻は病気療養のため降板し、佐藤直子が代役を務めます。
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