京都芸術劇場 春秋座 芸術監督プログラム「市川猿之助 春秋座 特別舞踊公演」と「第三回 ひとつなぎの会」の取材会が、本日8月9日にオンラインで行われた。
「市川猿之助 春秋座 特別舞踊公演」は、京都芸術劇場 春秋座の芸術監督を務める
團子は「『独楽』は、澤瀉屋の大切な演目。恥のないように勤められるよう、しっかり稽古して臨みます」と真剣な面持ちで述べる。また役は猿之助から習うことを明かし、「子供の頃ははつらつと踊っていましたが、18歳になりましたので、(『独楽』では)大人の踊りとして抜くところは抜く、緩急のある踊りを目指したい」と意気込みを語る。記者から、祖父である市川猿翁からのアドバイスはあったかと問われると「粋な踊りではありますが、(猿翁からは)最初から逸れすぎても良くないので、しっかり基礎をやるようにと言われました」と話す。猿之助は「基礎を大事に、体操みたいに踊ってほしい。“味”は人生経験がないと出てこない。まずは面白みがなくたって良いので、きちっとお手本のようにやってほしい」と團子に温かい視線を送った。
「戻駕色相肩」では、猿之助が吾妻の与四郎、青虎が浪花の次郎作、壱太郎が禿たよりを勤める。青虎は、本公演が今年3月に襲名後、初の関西公演であることに触れつつ、「青虎は、(二代目市川)小太夫さんが俳名として名乗っていたお名前で、初代青虎さんは、関西に籍を置いていらっしゃった俳優さん。名前に縁のある関西で襲名披露ができることがうれしいですし、また小太夫さんは、俳名が春虎だった(二代目中村)鴈治郎さんと同年代で、春虎・青虎として切磋琢磨していた時代があったと聞いています。なので(二代目鴈治郎のひ孫である)壱太郎くんとの共演にも、ご縁を感じております」と思い入れを語る。青虎に対し、猿之助は「うちの猿翁さんには、(市川)猿弥さんという何でもできる人がいますが、猿弥さんも年を重ねましたので(笑)、世代交代ということで、青虎さんには猿弥さんの立場を引き継ぐぐらいの、良い意味での“便利屋”になっていただきたい」と冗談交じりに期待を語った。
猿之助は、二代目市川亀治郎を名乗った初舞台で禿たよりを演じた。今回与四郎を初役で演じることについて、「与四郎は、いつかはやるだろうなと思っていました。役については、初舞台のときにおじ(三代目猿之助)が演じていた印象しかしかないです」と述べつつ、「でも禿が紅一点で主役のようなものですから。また次郎作には数少ない“仲蔵振り”といって、初代中村仲蔵さんの独特な振りが入っていることで有名です」と見どころを話す。さらに「普通はラストにぶっ返りがありますが、澤瀉屋の『戻駕色相肩』はぶっ返らない。今回も、その型でやらせていただきます」と述べる。
「第三回 ひとつなぎの会」について、猿之助は「お弟子さんたちが勉強会をやりたいということで、僕は全面的に協力しつつ、応援という形で出演します。会の詳細は青虎から……(笑)」と青虎にバトンタッチ。青虎は会の説明をしたあと、「コロナ禍で若い人たちの発表の場が失われていたところ、猿之助さんが『特別舞踊公演の千秋楽が昼で終わるのなら、そのあとに『ひとつなぎの会』ができるのでは』と言ってくださり実現しました。若手たちの挑戦をぜひご覧いただきたい。私は『藤娘』で普段やらない女方に挑戦します!」と笑顔で述べた。猿之助は、本公演で「独楽」を素踊りで舞う。記者からどのように舞いたいか問われると、猿之助は「商人の踊りですから、力むものでもない。熱っぽいものを持っている人がさらりと踊る面白さがあるので、軽やかに舞いたいですね」と回答した。
「市川猿之助 春秋座 特別舞踊公演」は9月2日から4日まで、「第三回 ひとつなぎの会」は4日に京都・京都芸術劇場 春秋座にて。
※澤瀉屋の「瀉」のつくりは、わかんむりが正式表記。
京都芸術劇場 春秋座 芸術監督プログラム「市川猿之助 春秋座 特別舞踊公演」
2022年9月2日(金)~4日(日)
京都府 京都芸術劇場 春秋座
出演:
演目
「猿翁十種の内 独楽」
出演:市川團子
「御目見得 口上」
出演:市川猿之助、市川團子、市川青虎
「戻駕色相肩」
出演:市川猿之助、中村壱太郎、市川青虎
京都芸術劇場 春秋座 芸術監督プログラム 9月「市川猿之助春秋座特別舞踊公演」関連企画「第三回 ひとつなぎの会」
2022年9月4日(日)
京都府 京都芸術劇場 春秋座
出演:市川段一郎、市川喜太郎、市川郁治郎、市川右田六、市川瀧昇、市川三四助、市川笑猿、市川翔乃亮、市川翔三、市川卯瀧、市川喜介 / 下村青、市瀬秀和、石橋正高、花ノ本以津輝
特別出演:市川猿之助、市川青虎
演目
1.常磐津「松の名所」
出演:市川三四助、市川翔乃亮、市川翔三
2.長唄「供奴」
出演:市川喜介
3.義太夫「那須与一弓矢誉」
出演:市川卯瀧
4.長唄「静と知盛」
出演:市川笑猿
5.長唄「七福神」
出演:下村青、市瀬秀和、石橋正高
6.長唄「都風流」
出演:市川瀧昇
7.常磐津「山姥」
出演:市川喜太郎
8.長唄「藤娘」
出演:市川青虎
9.長唄「吉原雀」
出演:市川郁治郎、花ノ本以津輝
10.常磐津「独楽」
出演:市川猿之助
11.長唄「連獅子」
出演:市川段一郎、市川右田六
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「基礎を大事に、体操みたいに踊ってほしい。“味”は人生経験がないと出てこない。まずは面白みがなくたって良いので、きちっとお手本のようにやってほしい」
いいアドバイス。
超花形つかまえて「体操みたいだった」て感想書いてる人いるけど、いいんだよまだそれが正解のフェーズだよって思う。 https://t.co/UE1eqzFzAb