青年団リンク
「芸劇eyes」の1作品にラインナップされた本作は、2017年に初演された作品の改訂版。劇中では、関東圏郊外に建つ、3人姉妹が住む一軒家を舞台にした物語が描かれる。長女は知的障害者で、姉妹の親はすでにいないため、その家は主に三女が仕切っていた。結婚し、家を出ることになった次女が引っ越し作業をしていると、そこに長女と結婚したいという男が現れ……。
作・演出を
伊藤毅コメント
病気や障害を抱える兄弟姉妹を持つ子どものことを「きょうだい児」と言います。
日本人口の5%がこの分類に該当すると推定されていて、僕自身も兄が知的障がいを持つきょうだい児でした。
子供時代の僕は、親の愛情が兄に向いているなあと感じたり、必要以上に「健常者の僕は良い子でいなきゃ」と思っていた気がします。
結局、大学進学で上京して演劇にのめり込み、良い子ではなくなってしまいましたが……。
今にして思うと、「自分の人生だけど、主人公じゃない」あの頃の感覚が、演劇に引き寄せられた要因だったのではないかと考えています。
良い子を捨て、兄の世話をすることから逃避した僕は、その罪悪感を右胸のポッケに突っ込んで、その胸の重みをたまに思い出しては無視をしながら、俳優をしていました。
当時の恋人達には、「兄が障がい者である」という事実を伝えることがどうしても出来ず、その罪悪感は左胸のポッケに突っ込みました。
30歳を過ぎておっさんになり、両胸ポッケの中身をやっと眼前にする勇気を得た僕は、神への告解の代わりに、目に見えないマイノリティ、「きょうだい児」を主軸に置く、一幕一場の戯曲「きゃんと、すたんどみー、なう。」を書きます。
2017年、やしゃごの前身、青年団若手自主企画「伊藤企画」時代の作品です。
2022年7月、東京芸術劇場シアターイーストで再演します。
初演から5年が経ち、世界は変化しました。僕達も。
戯曲の骨子を残しつつ、現在の僕が見えている世界を創出すべく、今、メンバーと新しい「きゃんと、すたんどみー、なう。」を作っています。
わかりやすく楽しくて、悲しくってちょと寂しい、感情カオスな作品にするべく絶賛稽古中です。初演を見て頂いた方も、楽しんで頂ける作品になります。
ぜひご来場ください。
芸劇eyes 青年団リンク やしゃご「きゃんと、すたんどみー、なう。」
2022年7月7日(木)~17日(日)
東京都 東京芸術劇場 シアターイースト
作・演出:
出演:
関連記事
佐藤滋 @18_shigeru
本日、当日券(たくさん)あります!お仕事お疲れさまです。
もしよかったら帰りに池袋へすこし寄り道、いかがでしょうか https://t.co/4thbeGqi15