本作は、毎年フランスで開催されるエクサン・プロバンス音楽祭にて上演されているオペラ。宮城は「イドメネオ」の物語に、第二次世界大戦終結時の日本の支配層とGHQの姿を重ねて作品を立ち上げた。
開幕に際し宮城は「エクサン・プロバンス音楽祭でオペラの演出を任されるというのは、アジアの演出家にとってどういう出来事かと考えてみると、例えば日本の大相撲に外国人力士が三役をとっている、そういう感じでしょうか」「僕らも、ヨーロッパにおける伝統的な文化であるオペラが、今まで同様に、今まで以上にクオリティを維持していく、あるいはクオリティを上げていくためには、アジアのアーティストの力が必要だ、日本の演出家の力が必要だ、そういう認識のもとで招聘されているんだろうなと思うんですね」と言い、「僕らの作品が、僕の力だけではありませんけれども、半分以上は音楽家たちの力ですけれども、その力を合わせて創った僕らの作品が観客の喝采を浴びたというのは、日本のアーティストが世界の芸術の一部を支えている、世界の人にとっての財産となるそういうものの一翼を担う、一つの辺を支えている、そういうことだろうと思うんですね。自分たちがそういう役割を果たせたということに、とても安心、あるいはその役割を任せてくれたことにきちんと応えられたということに、とても満足しています」と喜びを語った。
公演はこのあと、7月8日、11日、13日、15日、19日、22日に行われる。
宮城聰コメント
先ほど、無事、エクサン・プロバンス音楽祭でのモーツァルト「イドメネオ」の初日を終えることができました。
エクサン・プロバンス音楽祭でオペラの演出を任されるというのは、アジアの演出家にとってどういう出来事かと考えてみると、例えば日本の大相撲に外国人力士が三役をとっている、そういう感じでしょうか。ヨーロッパの文化の本流中の本流、そこにアジアのアーティストが必要とされて、招かれて、その一部を任されているわけですよね。外国人力士の例えで考えると、最初のうちは高見山さんとかごく少数の力士ががんばっていたわけですが、今となってみれば、相撲という日本の伝統的な文化のレベル、クオリティを維持するためになくてはならないのが外国人力士になっていますよね。
そういう意味では、僕らも、ヨーロッパにおける伝統的な文化であるオペラが、今まで同様に、今まで以上にクオリティを維持していく、あるいはクオリティを上げていくためには、アジアのアーティストの力が必要だ、日本の演出家の力が必要だ、そういう認識のもとで招聘されているんだろうなと思うんですね。
また、非常に伝統的なものでありつつ、しかもそれを維持するためには、オペラを“世界のもの”にしていかなければいけないという哲学のようなものを感じます。そしてその中で、僕らの作品が、僕の力だけではありませんけれども、半分以上は音楽家たちの力ですけれども、その力を合わせて創った僕らの作品が観客の喝采を浴びたというのは、日本のアーティストが世界の芸術の一部を支えている、世界の人にとっての財産となるそういうものの一翼を担う、一つの辺を支えている、そういうことだろうと思うんですね。
自分たちがそういう役割を果たせたということに、とても安心、あるいはその役割を任せてくれたことにきちんと応えられたということに、とても満足しています。
オペラ「クレタの王 イドメネオ」
2022年7月6日(水)、8日(金)、11日(月)、13日(水)、15日(金)、19日(火)・22日(金)
フランス アルシュヴェシェ劇場
作曲:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
台本:ジャンバッティスタ・ヴァレスコによるイタリア語のリブレット
音楽監督:ラファエル・ピション
演出:
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エクサン・プロバンス音楽祭でオペラ「イドメネオ」開幕、宮城聰「とても満足しています」(舞台写真 / コメントあり) - ステージナタリー https://t.co/i10K8hhEXs