「平成中村座公演」が、10・11月に東京・浅草寺境内で行われる。これに先駆け、本日6月22日に、浅草寺伝法院 大書院で製作発表記者会見が行われた。
平成中村座は、十八世中村勘三郎の「江戸時代の芝居小屋を現代に復活させ、多くの方々に歌舞伎を楽しんでいただきたい」という思いから、2000年に誕生。2カ月連続での公演となる今回は、
製作発表記者会見には、出演者である
七之助も「こんなにうれしいご報告ができることを幸せに思っております」と笑顔で述べ、宮藤の参加に「私も二十代前半に(宮藤が初めて長編映画監督を手がけた)『真夜中の弥次さん喜多さん』に出演してから、宮藤さんにお世話になっています。最近の宮藤さんの脚本には、神がかり的な面白さがあると感じているので、すごく楽しみ」と話す。また、新作歌舞伎の上演に向けた宮藤のコメント「誰が観ても楽しめる人情喜劇になるはず。ならないとマズい。賛否じゃなくて、好かれたいんです!」について触れ、「僕は『大江戸りびんぐでっど』が大好きなのですが、皆さんご存知の通り、あの作品は賛否分かれていましたので……(笑)。今回は、全部“賛”になるよう、役者も一生懸命努めます!」と意気込みを述べた。
記者から、平成中村座の小屋の魅力を問われた勘九郎は「平成中村座の空間で挑戦できないものはほとんどないと思っています。宙乗りもできますし、すっぽんもセリもあるし、廻り舞台も大道具さんたちがこしらえてくれますし。また、『唐茄子屋~不思議国之若旦那~』でも長屋が登場しますが、こうした庶民の生活を描くとき、例えば歌舞伎座だと間口が広いので、(長屋が)すごく立派な家に見えてしまう。ですが平成中村座の空間だと、間口にリアリティが生まれる。なので、世話物がやりやすい空間かと」と回答した。
なお10月公演、11月公演共に見取り狂言として、「唐茄子屋~不思議国之若旦那~」のほか複数の演目が上演される。勘九郎は「まだ演目は決まっていませんが、構想はあります。何より大事にしたいのは、自分たちがやりたいものではなく、お客様に楽しんでいただける作品を選ぶこと」と述べ、七之助は「父(勘三郎)は自身のこだわりとして、野田(秀樹)さんや宮藤さんの新作歌舞伎を、古典作品と併せて上演していました。本公演でも、先人の方々が築き上げてきた古典歌舞伎の魅力を、新作を観ているお客様にお伝えしたい」と話した。
勘三郎が死去してから今年で10年になることに、勘九郎は「平成中村座は、古典から新作までできる空間で、父の夢が詰まった、私達も大好きな小屋。今回、父も大好きだった宮藤さんの新作を上演することを、(勘三郎も)きっとものすごく喜んでくれていると思います。平成中村座を作ってくれた父に感謝しながら、父が笑ってくれるような作品を作っていきたい」とコメント。七之助は「コロナ禍で、多くの方々から『平成中村座を復活してほしい』というお言葉をたくさんちょうだいしました。四十代で夢をかなえた父が、様々な場所で平成中村座公演を行い、その背中で“一生懸命”というものを見せてくれました。そしてその背中に私たちもがむしゃらについていった結果が、お客様のお声につながったのだと思います」と微笑んだ。
チケットの販売は、10月公演が9月7日、11月公演が10月7日にスタート。上演に向けた宮藤のコメントは以下の通り。
宮藤官九郎コメント
2月のコクーン歌舞伎「天日坊」が好評だったので嬉しい反面モヤモヤしました。
「けど、あれは脚色ものだし」
「けど、オリジナルは賛否分かれちゃうし」
「けど、念願の平成中村座だし好きなことやりたいし」
「けど、好きなことやると賛否分かれちゃうし」
ぐるぐる考えた末、大好きな古典落語をベースに新作を書くことにしました。
「唐茄子屋政談」は吾妻橋から浅草寺あたりの狭いエリアを、若旦那が右往左往する人情噺。
吉原の傾城との恋もある。勘九郎さん七之助さんにピッタリです。
そこに「不思議の国のアリス」の要素をちりばめ、誰が観ても楽しめる人情喜劇になるはず。
ならないとマズい。賛否じゃなくて、好かれたいんです!
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