「阿修羅のごとく」に向け、演出の木野花「期待していただいて大丈夫です!」

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9月から10月にかけて東京・兵庫で上演される、モチロンプロデュース「阿修羅のごとく」について、演出を手がける木野花の取材会が6月上旬に行われた。

木野花

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「阿修羅のごとく」は、脚本家・向田邦子の代表作として知られるテレビドラマ。脚色を倉持裕、演出を木野が手がける今回の上演版は、向田が執筆したセリフはほぼそのままに、シーンと登場人物を大幅にカットし、“四姉妹(を演じる女優)のバトル”に焦点を当てた作品となる。

モチロンプロデュース「阿修羅のごとく」ビジュアル(宣伝絵画:大宮エリー)

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1979年に放送されたドラマ版をリアルタイムで見ていたという木野は「すごいドラマを見てしまったなと、そんな記憶が残る、衝撃的な作品でした。脚本ももちろん素晴らしかったのですが、佐分利信さんや緒形拳さんなどキャスティングもベストでしたし、人気俳優たちが本気で闘おうとしていることが伝わってきて……。『あのドラマ版を超えるのは難しいだろう』と思って、最初は(自分が舞台を演出することは)ないだろうと思いました。でも台本を読み直して、向田さんのセリフの鋭さ、深さを改めて感じたのと、昭和のドラマである『阿修羅のごとく』を令和に持ってきたときに、この時代にはどういう阿修羅が住み着いているんだろう、阿修羅を令和に引きずり出すことは、やってみる意味があるんじゃないかと思って、お引き受けしました」と語った。

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特にキャスティングについてはかなりこだわって、「“自分に正直な人たち”ということを念頭に」選んだ結果、奔放に生きる長女・綱子役を小泉今日子、平和に堅実に生きる次女・巻子役を小林聡美、女らしさを秘めつつも不器用に生きる三女・滝子役を安藤玉恵、自由に、そして必死に生きる四女・咲子役を夏帆が演じるほか、岩井秀人山崎一がキャスティングされた。たった6人のキャストで本作を上演することについて、「向田さんのドラマは普通にやってもストーリーが面白いし、人間の描き方も半端じゃないですから、いろいろな冒険ができるのがぜいたくだなと思っています。完成度の高い作品だから普通にやっても面白いんだけど、それはもうほかの方がやってくださっているので、私は違う角度から取り組んでみたいなと。脚本を手がける倉持(裕)さんには、どのシーン、どのセリフを残してほしいかということをお伝えしつつ、それ以外のところは倉持さんに委ねました」と話した。

今回、昭和の物語である「阿修羅のごとく」を、令和に立ち上げることを大切に考えているという木野。昭和と令和の、女性の社会的な立場の変化は、どう捉えているのだろう。その点について木野は「台本を読んで一番気になったのはハラスメントに対する意識の違いです」と話しつつ、「夫の浮気の仕方や佇まいに“昭和の男らしさ”を感じますし、妻はいろいろと不満はありつつも、その場では何も言わずに耐えるんです。お母さんが、夫の浮気について『(文句を)言ったら負けよ』って娘に言うんですけど、その言葉が象徴的だなと。今はハラスメントに対して自分の声を表に出していきますが、昭和の女たちは言わずに闘うというか。でも飲み込んで耐えているだけではなく、そこに阿修羅を引き出してくるところが、向田邦子さんの描き方だと思いますね」と語った。

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さらに木野は、ドラマ版で四姉妹を演じた加藤治子・八千草薫・石田あゆみ・風吹ジュンが「皆さん女として成熟した女優さんでした」と言い、「昭和という時代は女に女を求めていたというか、昭和の女は男が求める女像を演じていたんじゃないかと思うんです」と分析。「今回の女優陣は女らしい”というよりは“自分らしく”生きている女性たちだと思うんです。自分に正直に、マイペースに我が道を歩いている。そういう4人が舞台に乗って、阿修羅とどう向き合うか楽しみ」と構想を明かした。

最後に木野は「満を持したキャストで作品に臨めることになり、企画のスタートからここまで幸運だったと思います。さらなる奇跡を目指して、あとは稽古・本番をがんばるしかないのですが、いやがうえにも力が湧くというか。今までになく皆さんの期待に応えたいと感じていますし、私も非常に期待していますので、皆さんも期待していただいて大丈夫です! 」と満面の笑みを見せ、取材会を締めくくった。モチロンプロデュース「阿修羅のごとく」東京公演分のチケット前売りは、7月23日10:00にスタートする。

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モチロンプロデュース「阿修羅のごとく」

2022年9月9日(金)~10月2日(日)
東京都 シアタートラム

2022年10月8日(土)~10日(月)
兵庫県 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール

作:向田邦子
脚色:倉持裕
演出:木野花
出演:小泉今日子小林聡美安藤玉恵夏帆 / 岩井秀人山崎一

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