舞台「室温~夜の音楽~」の取材会が、本日5月31日に東京都内で行われた。
「室温~夜の音楽~」は、ケラリーノ・サンドロヴィッチ(以下KERA)が2001年に発表したホラーコメディで、第5回鶴屋南北戯曲賞を受賞した作品。
取材会には、河原、古川、そして本作に俳優としても参加する在日ファンクの
本作が約3年ぶりの舞台出演となる古川は、かつて犯罪を犯した青年・間宮を演じる。古川は神妙な顔で「正直、どのような役なのか、まだお答えできない状態」と述べ、「稽古に入る前に『こうなんじゃないか』と自分で考えていたこともあったのですが、稽古が始まってみると、自分が戯曲を深く読めていなかったことがわかって。必死に役と向き合っています」と話す。そんな古川に河原は「彼は“できたふり”をしない。ぶつかっている壁に誠実に向き合ってくれるので、演出家としてはとても信頼できる。難しいのは当たり前ですよ、だってKERAさんの戯曲なので」とほほ笑みかけた。
また浜野も「たまに『言われたこと本当にわかっているのかな?』という雰囲気を出される俳優さんがいらっしゃいますけど、古川くんはわからないとき、完全にポカンとする(笑)。彼は軽々しく返答ができないんですね。そういうところが、まさに間宮だと思うし、もう(役作り)できてるじゃんって、僕なんかは思います。(古川のほうを見て)……嫌そうな顔してますけど(笑)、信頼できる俳優さん」とコメントした。
記者から、音楽に在日ファンクを起用した理由を問われた河原は「副題に“夜の音楽”とあるように、『室温』は音楽が共にある作品。KERAさんは、初演で音楽を手がけたたまさんありきでお話を作られたので、たまさんが解散後、もう(『室温』が)世に出ることはないだろうと思っていたようです。在日ファンクさんは、たまさんとは音楽性は全く違うけど、たまさんと同じように音楽に“土着感”がある。また想像力をかき立てられる観念的な歌詞が、お芝居と合うと思ったんですね。なので、誰よりも先にオファーしましたし、一緒に組めなかったら、上演自体やっていなかったと思います。オファーを引き受けていただいて幸せです」と笑顔を見せる。さらに河原は、在日ファンクの音楽について「(作品と)ハマっています! 良い芝居を作らないと、バンドに持っていかれちゃう(笑)。(在日ファンクの)既存曲だけも構成できそうだったのですが、作品に寄り添った新曲も提供してくださって。より作品と音楽が融合したものになったかと」と語る。
浜野が「創作の最初から関わらせていただいて、ある意味“共犯”である、という意識は強いです。ともすれば演出にも口を出しそうになる(笑)」と述べると、隣の河原は「……ともすると、黙って言うことを聞いてしまいそうになる(笑)」と続け、周囲を笑いで包む。浜野は「バンドメンバーは、最初『お芝居で演奏するの?』と疑心暗鬼な感じだったんですけど、説得しました(笑)。KERAさんの戯曲に触発されて、これまで書けなかったような新曲を書けたのもうれしかったですし、バンドの、ライブでは表現できなかったような部分も引き出していただけて。バンドにとっても、新しい一歩を踏み出させてもらっています」と河原に感謝の言葉を述べた。また、浜野はタクシー運転手・木村役も演じる。木村役について「昨日河原さんともディスカッションしたのですが、木村はいわゆる“ファンタジー”側の人間。彼のセリフに多く登場する、『え?』という一言の意味合いが全部違うので、難しい。現在、役を組み立てている最中で、僕の木村はこれから完成します」と述べた。
最後に河原は「僕はもともと、“面白い”とか“悲しい”とか、一言で言い表せられるような作品にはあまり興味がなくて。『室温』のように、多面的で、いろんな感情を持って帰れる作品が好きなんです。戯曲への大きなリスペクトを持ちつつ、我々なりの『室温』を作らないとKERAさんに申し訳ない。初演に負けてんなと思われたくないので、勝てるようにがんばります」と意気込みを述べた。公演は6月25日から7月10日まで東京・世田谷パブリックシアター、22日から24日まで兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールにて。
舞台「室温~夜の音楽~」
2022年6月25日(土)~7月10日(日)
東京都 世田谷パブリックシアター
2022年7月22日(金)~24日(日)
兵庫県 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
作:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
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ケラリーノ・サンドロヴィッチ @kerasand
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