宮城聰、3年ぶりとなる海外劇団の招聘に感慨「ふじのくに→せかい演劇祭2022」開幕

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SPACが主催する舞台芸術の祭典「ふじのくに→せかい演劇祭2022」が、昨日4月29日に静岡で開幕した。

「カリギュラ」より。(撮影:平尾正志)

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「カリギュラ」より。(撮影:平尾正志)

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本演劇祭は、ブルガリア共和国の演出家ディアナ・ドブレヴァによる「カリギュラ」で幕開け。ドブレヴァは、昨日29日に行われたアーティスト・トークで「ここ静岡に来られたことを非常に光栄に思います。ほとんどのメンバーは初来日です。静岡しか見ていませんが、本当に日本人は素晴らしいと思いました。私たちは日本人のことが心の底から好きです」と述べ、「今回、様々なアクシデントがありました。静岡では“人間の心の強さ”を見せる場になったわけです。主役のカリギュラは来日後の自室待機でゲネの前日まで隔離されていて、今日爆発的なエネルギーが出ました(笑)」と明かす。

また新型コロナウイルスの影響で、舞台美術・衣裳がブルガリアから届かず、変更を余儀なくされた状況に触れ「物欲は人間を止めることはできないということも確信しました。しかし、主催者が全て(舞台美術・衣裳)をたった3日で作ってくださいました。確実に言えるのは、これは日本でなければできないということです。心から感謝をしてもしきれないくらいの感動でここに至っています」と話した。

SPAC「ふたりの女 平成版 ふたりの面妖があなたに絡む」より。(撮影:猪熊康夫)

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昨日29日には、SPAC「ふたりの女 平成版 ふたりの面妖があなたに絡む」も開幕した。本作の演出を担うSPACの宮城聰は、今回3年ぶりに海外の劇団を招聘し、演劇祭を行うことに「演劇は、自分たちとは違う人間たちと出会い、それを排除するのではなくそれを楽しむこと、またどうやって楽しむかという“知恵の蓄積”のようなもの。その意味でも、コロナ禍で、外部、自分たちと価値観が違う人たちと一緒にいるのは面倒、できることなら同質な人たちといたいという内向きな気分が広がってしまった中で、未知の国の人々がやって来て、知らないものと出会うことってこんなに楽しいんだと、未知のものと出会う喜びを発見してもらえる機会を作れたのではと、初日をあけて感慨深いです」とコメントした。「ふじのくに→せかい演劇祭2022」は、5月8日まで。

ステージナタリーでは、「ふじのくに→せかい演劇祭2022」の特集を展開中。海外招聘作を手がけた演出家たちに作品に込めた思いや日本公演への意気込みを聞いた。

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宮城聰コメント

今回、3年ぶりに海外の劇団を招聘し、初日をあけましたブルガリアのイヴァン・ヴァゾフ国立劇場の他にも、コロンビア出身のオマール・ポラスさんや、南アフリカのブレット・ベイリーさんが来日します(ブレット・ベイリーの作品「星座へ」は日本人アーティストが出演)。

ブルガリアにしても、コロンビア、南アフリカにしても、日本にいて国の名前こそ聞くけれど、文化についてはほとんどまだ触れたことがない。そういう未知のものとの出会い、世界にはもっともっと素晴らしいものがあるんじゃないかとお客様が感じてもらえるような出会いをSPACが実現できているということは本当に嬉しく思います。

演劇は、自分たちとは違う人間たちと出会い、それを排除するのではなくそれを楽しむこと、またどうやって楽しむかという“知恵の蓄積”のようなもの。その意味でも、コロナ禍で、外部、自分たちと価値観が違う人たちと一緒にいるのは面倒、できることなら同質な人たちといたいという内向きな気分が広がってしまった中で、未知の国の人々がやって来て、知らないものと出会うことってこんなに楽しいんだと、未知のものと出会う喜びを発見してもらえる機会を作れたのではと、初日をあけて感慨深いです。

さらにそこに混じってSPACの2演目。これは、同じ静岡にいる者としてどれほど自分たちを非日常的な存在にできるか、見慣れたものが見慣れないものに化ける、非日常的な時空間を作り出せるか、そのことが厳しく問われてくるので、そんな中でSPACの俳優たちも全力でがんばると思います。

「ふじのくに→せかい演劇祭2022」

「カリギュラ」

2022年4月29日(金・祝)・30日(土)
静岡県 静岡芸術劇場

作:アルベール・カミュ
演出:ディアナ・ドブレヴァ
出演:デヤン・ドンコフ、ヴラディミル・ペネフ、ジョレタ・ニコロヴァ、アレクサンドラ・ヴァシレヴァ、コンスタンティン・エレンコフ、ビリャナ・ペトリンスカ、ヴィャラ・タバコヴァ、ザフィル・ラジャブ、ステファン・カシエフ、エレナ・ペトロヴァ、ツヴェタン・ペイチェフ、ヤヴォル・ヴァルカノフ、ディミタル・ディミトロフ、スラヴェナ・ザイコヴァ、エリツァ・ヨヴチェヴァ、ジャクリン・ダスカロヴァ、ステリャン・ラデフ、ディミタル・ニコロフ、ネンチョ・コストフ、ゲルガナ・ズミーチャロヴァ、ヤヴォル・カラギトレフ

SPAC「ふたりの女 平成版 ふたりの面妖があなたに絡む」

2022年4月29日(金・祝)・30日(土)
静岡県 舞台芸術公園 野外劇場「有度」

作:唐十郎
演出:宮城聰
出演:SPAC

ふじのくに野外芸術フェスタ2022静岡 SPAC「ギルガメシュ叙事詩」

2022年5月2日(月)~5日(木・祝)
静岡県 駿府城公園 紅葉山庭園前広場 特設会場

台本・演出:宮城聰
翻訳:月本昭男(ぷねうま舎「ラピス・ラズリ版 ギルガメシュ王の物語」)
音楽:棚川寛子
人形デザイン:沢則行
出演:阿部一徳、大高浩一、石井萠水、大内米治、片岡佐知子、榊原有美、桜内結う、佐藤ゆず、鈴木陽代、関根淳子、大道無門優也、舘野百代、本多麻紀、森山冬子、山本実幸、吉植荘一郎、吉見亮、渡辺敬彦 / 沢則行(操演)、桑原博之(操演)

「私のコロンビーヌ」

2022年5月3日(火・祝)・4日(水・祝)
静岡県 静岡芸術劇場

作:ファブリス・メルキオ
演出・舞台美術・衣裳・出演:オマール・ポラス

「星座へ」

2022年5月6日(金)~8日(日)
静岡県 日本平の森

コンセプト:ブレット・ベイリー
日本版キュレーション:大岡淳
出演(五十音順):国広和毅、黒谷都、こぐれみわぞう、里見のぞみ、辻康介、巻上公一、美加理、水沢なお、宮原由紀夫、山下残、渡辺玄英

「ストレンジシード静岡2022」

2022年5月3日(火・祝)~5日(木・祝)
静岡県 駿府城公園、静岡市役所、葵区役所 ほか

フェスティバルディレクター:ウォーリー木下
出演:少年王者舘、contact Gonzo、範宙遊泳、ままごと ソロ・ワークス、渡邉尚、壱劇屋×サファリ・P×SPACストレンジチーム、ホナガヨウコ、モモンガ・コンプレックス、sunday、コトリ会議、和太鼓+ダンスユニット<まだこばやし>、齊藤コン、山田裕幸 × 劇団渡辺、劇団かいぞく船、羊のクロニクルズ ほか

※「ふじのくに→せかい演劇祭」の「→」は相互矢印が正式表記。

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SPAC-静岡県舞台芸術センター @_SPAC_

🌐「ふじのくに⇄せかい演劇祭2022」2日目終了🌐
ステージナタリーに開幕ニュースを掲載いただきました!宮城のコメントのほか、本日無事に千穐楽を迎えた『カリギュラ』舞台写真・ブルガリア共和国から来日した演出家ディアナ・ドブレヴァさんのコメントもご覧いただけます✨
#ふじのくにせかい演劇祭 https://t.co/Fg5oXRowCL

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