「ネクスト・トゥ・ノーマル」が、昨日3月25日に東京・シアタークリエで開幕した。
音楽を
日本初演は海外のオリジナル演出で行われたが、今回は新たに
舞台は全体がグレーで統一されており、家屋の骨組みのような舞台美術がそびえ立つ。その中には手すり付きの階段やダイニングテーブル、イスなどが置かれており、盆が回転することで、ステージ上はダイアナの家や病院などに様相を変える。
灰色の空間では、登場人物の衣裳や小道具の色が効果的に使用される。薬漬けにされて取り乱すダイアナは真っ赤なワンピース、機能不全の家庭で満たされない思いを抱えるナタリーは赤いリュック、新しい治療で落ち着いたダイアナはブルーのシャツというように、登場人物の状態や心情が色によって表されるのだ。本作のテーマカラーである紫がどのように登場するか、ぜひ注目してほしい。
望海はささやき声や叫ぶような強い声を使い分けながら、現実と幻想の区別がつかずに苦しむダイアナの心を巧みに歌い上げる。甲斐は、恋人のようにダイアナに寄り添うゲイブを優しい声色や穏やかな表情で演じる一方で、ソロ曲「I'm alive」では思いを爆発させながら力強い歌声を聴かせた。
囲み取材には昨日3月25日に初日を迎えた安蘭、海宝、岡田、昆、橋本、新納と、本日26日が初日となる望海、甲斐が出席。日本初演にも出演した安蘭は再演を喜び、「私の心はダイアナで燃えたぎっています」と意欲を見せる。初演との違いを尋ねられると「時代が変わったこともありますし、日本版のオリジナル演出が付いたことで、作品の世界に入りやすくなりました」と手応えを語る。望海はオファーを受けた際の心境を「スタッフさんたちの熱意を受けてぜひチャレンジしたいと思い、お引き受けしました」と明かし、「やればやるほど、『ネクスト・トゥ・ノーマル』が大好きになっています」と笑顔を浮かべた。
海宝はダイジェスト版への出演を「とても大きな体験でした」と振り返る。続けて「音楽や芝居など、いろいろなピースがバチッとはまって胸をえぐる、すごい作品。とにかくパワフルにゲイブとして生きたい」と意気込みを述べた。甲斐は「トニー賞授賞式での『ネクスト・トゥ・ノーマル』のパフォーマンスが大好き」と言い、「ミュージカル好きの僕としては、海宝直人さんとWキャストで同じ役を演じられて、とても光栄です!」と出演を喜んだ。
2012年に韓国で「ネクスト・トゥ・ノーマル」を観劇したという昆は、自身の演じるナタリーについて「彼女は複雑で、抱きしめてあげたくなる人」と話し、「作品の1ピースとして役割をまっとうしたい」と意気込んだ。海宝と同じくダイジェスト版に出演した岡田は「『絶対にもう一度やらせて!』とプロデューサーにお願いしていました。出演をお許しいただきありがとうございます!」と笑いを誘い、「病気に悩む方や共に歩む方に寄り添い、1歩進むための光を届けてくれる物語です。エンディング曲の高揚感がすごいので、劇場で皆さんと一緒に味わいたい」とメッセージを送った。
ブロードウェイミュージカルに初挑戦する橋本は「事務所に入りたてのジャニーズJr.が『You、明日デビューだよ』と言われた、くらいの緊張感があります。昆ちゃん演じるナタリーを最後まで愛していきたい」と話す。さらにオフブロードウェイで本作を何度も観劇したという新納は「『ネクスト・トゥ・ノーマル』オタクです」と自己紹介。2013年に参加した初演を「この作品は、日本ではまだ早いのかなと思った」と回顧しつつ、「今はすぐ隣の人が何か問題を抱えていてもおかしくない、まさに“ネクスト・トゥ・ノーマル”の時代。センシティブなテーマの作品も堂々とできるようになり、時代が変わったのだなと」と感慨深げに述べた。
会見では、チームごとのカラーの違いについて尋ねられた安蘭が「“アダルト”と“ヤング”。ねっ、新納!」と冗談を飛ばし、座組の仲むつまじさをのぞかせる場面も。望海は、2チーム制での上演について「出演者が変わると違う世界になるんだなと。同じセリフと音楽でもこれほど違うのだなと思いました」と話した。
最後に出席者を代表し、ダイアナ役の2人が観客にメッセージを送った。望海は「繊細な題材を扱う物語ですが、最後には希望を持ってお帰りいただけるはず。一生懸命ダイアナを生き抜きたい」とコメント。安蘭は「私は舞台を観るときも演じるときも『なぜ今これをやるのか』と考えます。この作品には、この時期だからこそ届けられるメッセージが詰まっていますし、“生きている”とか“生かされている”という実感を得られると思います。そういったメッセージを大切にしながら演じたい」と思いを述べた。
上演時間は休憩25分を含む約2時間35分を予定。東京公演は4月17日まで行われ、本作はその後21日から24日まで兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール、29日に愛知・日本特殊陶業市民会館 ビレッジホールでも上演される。
「ネクスト・トゥ・ノーマル」
2022年3月25日(金)~4月17日(日)
東京都 シアタークリエ
2022年4月21日(木)~24日(日)
兵庫県 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
2022年4月29日(金・祝)
愛知県 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
音楽:
脚本・歌詞:ブライアン・ヨーキー
演出:
キャスト
ダイアナ:
ゲイブ:
ダン:
ナタリー:
ヘンリー:
ドクター・マッデン / ドクター・ファイン:
※2チーム制上演。
※初出時、本文に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
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