「ミュージカル『手紙』2022」が、本日3月12日に東京・東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)で開幕。初日に先駆け、昨日11日にゲネプロが行われた。
本作は東野圭吾の小説「手紙」を原作に、脚本・作詞を
兄・武島剛志(
劇中では1999年から2011年までの12年間が描かれ、年代が変わるごとにステージに西暦が投影されることで、兄弟が過ごした時の移ろいが示された。舞台上には2段組みのセットが組まれている。上段にはバンドメンバーが控え、下段にはグレーの枠で組まれた大きなボックスが8個から10個ほど置かれた。ボックスは可動式となっており、これらの箱はシーンによって刑務所の居室や登場人物の住居などに様相を変えていく。
劇中では直貴が、進学や恋愛、趣味の音楽活動など折に触れて、加害者家族への差別に直面する様が描かれる。ステージに吊られた兄の逮捕を報じる新聞や、新聞を手に直貴を囲んでアンサンブルたちがにじり寄ってくる演出が、彼の行く手を阻む“壁”の存在の大きさを感じさせた。
可動式のボックスが舞台前方で1列に並ぶシーンでは、刑務所内と外界との隔絶が強調される。ここではボックスの中で受刑者たちが掲げる手紙が白く輝き、それらが塀の中と外をつなぶ唯一の手段であることが示された。またポツンと1つだけライトアップされたボックスの中に剛志がたたずむ場面では、彼の孤独や閉塞感が描き出される。すべてのボックスが舞台上から取り払われた終盤、広々としたステージで兄弟がどのような結末を迎えるのか、ぜひ劇場で確かめよう。
村井は、剛志から「自分に代わって被害者に線香をあげて」と頼まれた直貴の複雑な感情を、凍りついたような笑顔で表現。兄が原因で直貴が恋や夢を諦めるたびに、大好きだった兄への気持ちを変化させていく様を、村井は表情や兄の手紙に対するリアクションで巧みに表した。spiは柔らかな笑顔と語り口から、親代わりとして弟の面倒を見てきた兄の優しさをにじませる。またspiは大きな体を小さく丸めながら一言一句をかみ締めるように歌い、「俺さえいなければ」という剛志の悔恨や自責の念を歌の中でも描き出した。
直貴の妻・由実子を演じるのは
開幕に際し、演出の藤田やキャストからのコメントも到着。藤田は本作について「『今』と向き合い、オリジナルミュージカルの太く大きな幹を、大切に育てて創った」と言い、「演劇を愛する皆様に観ていただきたい作品です」と語る。村井は「今だからこそ届く言葉がある作品です。是非、劇場でお会いしましょう」、spiは「この公演の初日をあけられるのは、ひとえに観劇にいらっしゃる皆様のおかげだと思っています! 是非楽しんでいって下さい!」と呼びかけた。
上演時間は休憩20分を含む約2時間45分を予定。公演は3月27日まで行われる。なお演出の藤田と、キャストたちからのメッセージ全文は下記の通り。
藤田俊太郎コメント
キャスト、ミュージシャン、スタッフ、カンパニーの仲間と、対話を重ねながら、充実した稽古ができました。
「今」と向き合い、オリジナルミュージカルの太く大きな幹を、
大切に育てて創った「ミュージカル『手紙』2022」。
演劇を愛する皆様に観ていただきたい作品です。
感染対策に努め、東京建物 Brillia HALLにて、お待ちしております。
村井良大コメント
「ミュージカル『手紙』2022」、いよいよ12日より初日の幕が開きます。稽古中に大切に育んで来たも
のを、あとは舞台上に乗せてお客様に観劇していただくのみとなりました。依然コロナ禍での厳しい公演状況ではありますが、一人でも多くの方にこの作品のメッセージを届ける為に一公演一公演、心を込めてまいります。
「『手紙』2022」というタイトルに相応しい、今だからこそ届く言葉がある作品です。
是非、劇場でお会いしましょう。
spiコメント
皆様こんにちは、spiです。今回このカンパニースタッフ一同新型コロナ対策を徹底しながら稽古に励みました! この文章を書いている現在も、初日に向かって頑張っているところです。「ミュージカル『手紙』2022」ということで、僕自身も出来る最大限の努力をしてきました! 演出家の藤田さん含むスタッフ、共演の皆様にも感謝しています。この公演の初日をあけられるのは、ひとえに観劇にいらっしゃる皆様のおかげだと思っています! 是非楽しんでいって下さい!
三浦透子コメント
自分の思いを伝える、相手の考えを聞く。そういうシンプルなことがちゃんと大事にされていた稽古場で
した。それがどれだけ恵まれていることか、「ミュージカル『手紙』2022」という作品を通して強く実感しています。そんな時間を経て生まれた作品だからこそ、今を生きる皆様に届くものになると信じています。是非劇場で観ていただきたいです!
中村嶺亜コメント
僕らを観に来てくれる方、原作が好きで観に来てくれる方、とにかく全てのお客様が満足できる作品にな
るように切磋琢磨しました。毎回、自分自身の全力を出すつもりです。そして、その都度見つけた発見を取り入れて、日々進化すると思うので、それも楽しんで欲しいです。特にスペシウムのバンド演奏シーンは、この3人でバンドを組むことも初挑戦なので、注目して観て欲しいと思っています。
佐々木大光コメント
コータとして、音楽への希望に満ち溢れた 2000 年初頭の当時の勢いを伝えられるよう、熱いバンドマンを演じ切れるように頑張りたいと思います。加えて、与えられた役割として、衣装、特にカツラの替えも多いので、それぞれのキャラクターに個性を持たせるように心がけました。それも楽しんで頂きたいです。とにかく、無事に初日が開いて、千秋楽まで迎えられるように体調管理をしたいと思います。
今野大輝コメント
今回、7役を演じます。稽古始めは、配役ごとの人物像を作る事や、一連の流れで演じるときの気持ちの切り替えは苦労しました。ただ、1 カ月以上の稽古を通じて、多くのことを学び、吸収できたので、成長できたと思っています。そんな自分をお客様にお届けしますので、楽しんでもらえたらと思っています。そして、無事に全 21 公演を完走できるよう感染対策もしっかり取り組みたいと思います。
青野紗穂コメント
「ミュージカル『手紙』2022」の初日をこうして迎える事ができて本当に嬉しいです。
このミュージカルは、90 年代から 2000 年代にかけてのお話ですが、今の時代にもまだ存在する世の中の仕組みや人間関係、コロナや、世界情勢にも通ずるものがあると思います。
加害者と加害者家族そしてそれを取り巻く世の中をリアルに描き出している作品です。
「もし、自分が人殺しの家族になったら。」
「もし、周りに人殺しの家族がいたら。」
正解はありませんが、何か感じていただければとおもいます。
劇場でお待ちしています。
「ミュージカル『手紙』2022」
2022年3月12日(土)~27日(日)
東京都 東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)
原作:東野圭吾「手紙」(文春文庫刊)
脚本・作詞:
作曲・音楽監督・作詞:深沢桂子
演出:
出演:
ミュージシャン:村井一帆(pf)、えがわとぶを(Ba) 、萱谷亮一(Perc)、中村康彦(Gt)、古池孝浩(Gt)、土屋玲子(Vn)、日俣綾子(Vn)、三葛牧子(Vn)
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七瀬りりこ @nanaririchan080
観劇致しました!
役者さんお一人お一人の熱量が凄くて
必死に止めようとした涙が止まりませんでした。
内容は辛すぎて、思う事、感じる事は色々な人生がある様に人それぞれだと思う。書ききれないけれど、良い意味でとても苦しかった
最近、観たい!と自ら思い観劇する作品は全部心が締め付けられる🤣 https://t.co/eXzLipsDJH