尾上松也、浅草メンバーとの「岩戸の景清」に「若手が挑戦させていただくにはもってこいの演目」

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「壽 初春大歌舞伎」に出演する尾上松也の取材会が、本日12月22日に東京都内で行われた。

尾上松也

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松也は、第3部「岩戸の景清」で、悪七兵衛景清を勤める。1850年に“難有御江戸景清”の外題で初演された本作が上演されるのは、十七世市村羽左衛門が景清を演じ、1978年に東京・国立劇場で上演された以来のこととなる。1978年上演版を映像で観たという松也は「独特な世界観でしたね。歌舞伎のヒーローたちの格好をした人物たちが大集結するという、豪華な内容なので、お正月に若手が挑戦させていただくにはもってこいの演目かと」と述べる。

さらに「基本的には、羽左衛門のお兄さまが上演されていた形を踏襲しつつ、ほぼ新作という気持ちで作らせていただきます」と話し、「名乗りから始まり、だんまりや六方もあり、もしかしたら早替えのようなものも披露するかもしれない。稽古の中で、みんなでアイデアを出しながら作らせていただきます」と語る。「3部は『岩戸の景清』のあと、(市川)猿之助のお兄さんの四の切(『義経千本桜 川連法眼館の場』)が上演されます。両演目とも、歌舞伎のケレン味を存分に楽しんでいただけるのでは」と笑みを浮かべた。

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また役については「景清は、成田屋さんが十八番にされていますが、数多ある荒事の中でも特に人を選ぶ印象。僕が自分が景清を演じることになるとは想像もしていなかった」と述べ、「ダークヒーロー的な印象で、大きさもある。荒事というと、ただただ荒々しく、豪快なイメージのある役が多い中で、景清は陰と陽がある魅力的なキャラクターかなと。今回はお正月なので、陽の部分をきっちり感じていただけるように構成し作っていきたい」と気合十分な様子を見せる。

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今回の上演版の外題“難有浅草開景清”は、“ありがたや はながたつどう あけのかげきよ”と読む。「岩戸の景清」には、新型コロナウイルスの影響で2020年から中止になっている「新春浅草歌舞伎」のメンバーが名を連ねている。なお、今年1月に東京・歌舞伎座で行われた「壽 初春大歌舞伎」第1部「壽浅草柱建」にも、松也をはじめ「新春浅草歌舞伎」メンバーが出演した。

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「新春浅草歌舞伎」の中止を受けて、松也は「チーム浅草メンバーとしては、来年こそは、という思いがあったのですが……」と悔しさを声ににじませ、「浅草の公演はかないませんでしたが、今年と同様に、来年のお正月も若手チームで1つ演目をやらせていただきたいというご提案は早い段階からしていました。その思いがかない、このような機会をいただけたことは非常にありがたく、やりがいを感じております。我々にとっても良い1年になりそうだなという思いです」と言葉に力を込める。

「僕にとって『新春浅草歌舞伎』はいわゆる一座なのですが、トップとして一座を任せていただいたのは、『新春浅草歌舞伎』が初めてで。特にトップを任された初年度は、自分を取り巻く環境が目まぐるしく変化していた年だったということもあり、未知の世界に戸惑いながらやっていました」と当時の心境を明かしつつ、「心強く、非常にありがたかったのは、後輩の(坂東)巳之助くんと(中村)歌昇くんが、『盛り上げるためなら何でもしますから言ってください』と積極的に連絡をくれたこと。それまで、僕は自分が引っ張らないとと気負っていたのですが、これからの『新春浅草歌舞伎』は、チームで作っていこうと思うようになりました。(『新春浅草歌舞伎』では)先輩方にご指導いただき、大きな役を勤めることも大きな宝ですが、役だけではない部分も勉強することのできる、まれな公演です」とその魅力に触れた。

「壽 初春大歌舞伎」チラシ表

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また「新春浅草歌舞伎」で上演された演目を配信する企画「おうちで!新春浅草歌舞伎」、松也が所長となり、歌舞伎の面白さを掘り下げる企画「尾上松也の歌舞伎おもしろ研究所」が、それぞれ12月24日に歌舞伎オンデマンドでスタートする。「おうちで!新春浅草歌舞伎」については「『新春浅草歌舞伎』のお客様は、僕らの成長を楽しみにしてくださっている方が多い。なので『このときはこうだったな』とか、『今の方が良くなっているな』と思いをはせながら観ていただき、次の『新春浅草歌舞伎』では、僕らがどんなふうに成長しているかということを楽しみにしていただければ」と話しつつ、「浅草の街は、ほかのどの街よりも、お正月ムードが満載で。劇場を出てからも、日本らしいお正月の空気が味わえる。そのときの記憶と共に、『新春浅草歌舞伎』の醍醐味を思い出していただきながら、忘れないで、これからも応援していただきたい」とコメントする。

記者から、先日死去した中村吉右衛門への思いを問われると、「僕にとって、憧れの先輩のお一人。2018年の『新春浅草歌舞伎』で『双蝶々曲輪日記 引窓』の濡髪長五郎をご指導いただきました。常におっしゃっていたのは、演技には気持ちがこもっていないとだめだということ。芸を教えてくださるときは、普段の温厚なおじさまとはまったく違い、非常に熱がこもって荒々しく、そのギャップがすごく印象に残っています。偉大な先輩として、これからもいろいろなことを教わりたかったので、それがかなわないことが残念ですが、受け継いだ情熱や魂を後輩たちにつなげていきたい」と決意を新たにした。

最後に来場者へのメッセージを求められた松也は「とにかく希望を持って1年を始めていただけるような公演にしたい」と意気込みを述べつつ、「歌舞伎や演劇の良さは、日常を忘れられること。特に歌舞伎は“トリップ力”が強い。1部から3部まで、色の違った演目がそろってますし、それぞれにお正月らしい、華のある部分がふんだんに織り込まれています。ぜひ3部とも観に来ていただいて、お正月気分を盛り上げていただければ」と呼びかけた。公演は1月2日から27日まで歌舞伎座にて。

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「壽 初春大歌舞伎」

2022年1月2日(日)~27日(木)
東京都 歌舞伎座

第1部

一、「一條大蔵譚 檜垣 奥殿」

出演
一條大蔵長成:中村勘九郎
吉岡鬼次郎:中村獅童
鳴瀬:中村歌女之丞
お京:中村七之助
常盤御前:中村扇雀

二、「祝春元禄花見踊」

出演
真柴久吉:中村獅童
山三:中村勘九郎
阿国:中村七之助
若衆雪之丞:中村橋之助
若衆月之丞:中村福之助
若衆花之丞:中村虎之介
若衆松之丞:中村歌之助

奴喜蔵:小川陽喜

第2部

一、「春の寿 三番叟 萬歳」

三番叟
出演
翁:中村梅玉
三番叟:中村芝翫
千歳:中村魁春

萬歳
出演
萬歳:中村又五郎
才造:中村鴈治郎

二、「邯鄲枕物語 新玉の笑いで寿ぐ 艪清の夢」

作:三世桜田治助
演出:山田庄一

出演
艪屋清吉:松本幸四郎
横島伴蔵 / 盗賊唯九郎:中村錦之助
清吉女房おちょう / 傾城梅ヶ枝:片岡孝太郎
お臼:中村壱太郎
貸物屋六助 / 杵造:大谷廣太郎
下男太郎七 / 捨金番福六:中村吉之丞
八百屋女房おみね:澤村宗之助
米屋勘助:中村松江
安藝の内侍:市川高麗蔵
紺屋手代黒八 / 番頭作左衛門:大谷友右衛門
家主六右衛門 / 鶴の池善右衛門:中村歌六

第3部

一、「難有浅草開景清 岩戸の景清」

作:河竹黙阿弥

出演
悪七兵衛景清:尾上松也
北条時政:坂東巳之助
江間義時:中村種之助
和田義盛:中村隼人
千葉介常胤:中村莟玉
衣笠:中村米吉
朝日:坂東新悟
秩父重忠:中村歌昇

二、「三代猿之助四十八撰の内 義経千本桜 川連法眼館の場 市川猿之助宙乗り狐六法相勤め申し候」

出演
佐藤忠信 / 忠信実は源九郎狐:市川猿之助
静御前:中村雀右衛門
駿河次郎:市川猿弥
亀井六郎:市川弘太郎
局千寿:市川寿猿
飛鳥:市川笑也
源義経:市川門之助
川連法眼:中村東蔵

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ryugo hayano @hayano

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