ミュージカル「モーツァルト!」2021年公演のBlu-ray / DVDが、12月10日に発売される。ステージナタリーでは、東京・P's STUDIOで行われた試写会の様子をレポートする。
「モーツァルト!」は、「エリザベート」「レディ・ベス」などで知られるミヒャエル・クンツェとシルヴェスター・リーヴァイが、それぞれ脚本・歌詞、音楽・編曲を手がけた、オーストリア・ウィーン発の人気ミュージカル。1999年にウィーンで初演され、日本では小池修一郎の訳詞・演出で、2002年から上演を重ねている。2021年版では、2010年公演から出演してきた
今回のBlu-ray / DVDにはそれぞれ、“山崎育三郎バージョン”と“古川雄大バージョン”が用意されている。本編ディスクには今年5月に東京・帝国劇場で行われた無観客上演の様子を収録。Blu-ray版には、ドルビーアトモスで本編を楽しめるオプションも付属している。ドルビーアトモスとは、従来のサラウンドに加え、天井にも音を配置することで立体的な音響を体感できる音声技術。今回の「モーツァルト!」の音声はドルビーアトモス仕様で収録されており、ヘッドホンやサウンドバーなどの対応機器を使用することで、家庭でも“帝劇の音”を楽しめる。
試写は1・2幕で内容と場所を変えて実施され、記者は、第1幕は“古川雄大バージョン”をスクリーンの脇や壁、天井などに合計13機のスピーカーが設置されたスタジオ・P's STUDIO AR/ONEで、第2幕は“山崎育三郎バージョン”を家庭でのBlu-ray / DVD視聴環境をイメージした検証ルーム・P's STUDIO EMULATION Aでそれぞれ視聴した。
冒頭の墓場のシーンでまず耳に飛び込んでくるのは、風がうなる効果音だ。風の音が、舞台から客席へ流れ込み、それが劇場の壁に当たって空間全体を包み込む様が、複数のスピーカーを通して、体感となって迫ってくる。またデュエットや三重唱の場面では、それぞれ離れた場所に立つ俳優たちの歌声が多重的に感じられ、音に立体感が生まれる。ドルビーアトモスでは一般的なステレオの音声とは異なり、音に奥行きがあるので、まるで帝国劇場の客席にいるかのような臨場感が感じられるのだ。
古川演じるヴォルフガングの「僕こそ音楽」では、楽曲終盤の高音が美しく響き、映像越しながらも俳優と空間を共有しているかのようなライブ感を楽しめる。また本編では、視聴者自身がアンサンブルに取り囲まれたように、コーラスが四方八方から聴こえてくるシーンも。ここではヴォルフガングと聴覚を共有したかのような、映像版ならではの幻想的な音の演出を味わうことができる。
2幕は、大型テレビとソファを12機のスピーカーが取り囲む検証ルームにて披露された。舞台の映像版では、さまざまな角度からとらえた鮮明な映像で、俳優たちのパフォーマンスを余すところなく鑑賞できるのも魅力の1つだ。映像では、「何故愛せないの?」や「残酷な人生」といったドラマチックなナンバーを熱唱する山崎ヴォルフガングの潤んだ瞳や、涙が伝う横顔がアップで映し出され、視聴者は音と映像の深みで、よりたっぷりとストーリーに没入できる。また木下晴香演じるコンスタンツェの「ダンスはやめられない」では、絶唱するコンスタンツェにクローズアップすることで、彼女の抱える虚しさや深い悲しみがより強調された。グランドピアノを模した大きな舞台装置やきらめく星空の照明、アンサンブルがまとう音符柄の衣裳など、華やかなステージに説得力を与えるディテールも、ぜひ映像で堪能しよう。
ミュージカル「モーツァルト!」2021年公演のBlu-rayは税込13200円、DVDは税込12100円。いずれも本編ディスクに加えて特典映像ディスクと特製ブックレットが付属する。特典映像には本編と同時収録された定点カメラ映像とカーテンコール映像、そしてプロモーション映像を収録。またBlu-rayに同封されたシリアルコードを使用すると、動画配信サービスMIRAIL(ミレール)を通じて、スマートフォンやタブレット、パソコンなどで本編の映像を再生することが可能だ。
なお東宝では、ミュージカル「モーツァルト!」2014年版を収録したBlu-rayも販売中。こちらには“井上芳雄バージョン”と“山崎育三郎バージョン”が用意されており、2021年版と同じくドルビーアトモスをオプションで選べるほか、MIRAILを通じてスマホ、タブレット、パソコンで本編を観ることができる。
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【制作現場レポート】ドルビーアトモスで“帝劇の音”を疑似体験「モーツァルト!」Blu-ray鑑賞レポート
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