NODA・MAP「THE BEE」開幕、野田秀樹が自信「とにかく完成度の高い作品」

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NODA・MAP番外公演「THE BEE」が、昨日11月1日に東京・東京芸術劇場 シアターイーストで開幕した。

NODA・MAP番外公演「THE BEE」より。(撮影:篠山紀信)

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NODA・MAP番外公演「THE BEE」ビジュアル

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「THE BEE」は、2001年9月11日に起こったアメリカ同時多発テロ事件に触発された野田秀樹が、筒井康隆の小説「毟りあい」を題材に、イギリス・ロンドンで現地演劇人とワークショップを重ねながら書き下ろした英語戯曲。2006年にロンドンで初演され、2007年には日本語版が東京で上演された。

キャストを一新して送る今回の上演版では、井戸役を阿部サダヲ、小古呂の妻 / リポーター役を長澤まさみ、百百山警部 / シェフ / リポーター役を河内大和、安直 / 小古呂 / 小古呂の息子 / リポーター役を川平慈英が演じる。なお、「THE BEE」の過去公演すべてに出演してきた野田は、今回演出に専念する。

平凡なサラリーマン・井戸が我が家の前で遭遇したのは、警察とマスコミの喧騒だった。脱獄囚・小古呂が井戸の妻子を人質に取り、井戸宅に立てこもっていたのだ。井戸は妻子を救出しようと、どこか頼りない警察と共に行動を起こすが、事態は思わぬ展開を迎える。

NODA・MAP番外公演「THE BEE」より。(撮影:篠山紀信)

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過去公演でも用いられてきた巨大な白い紙が、舞台面に裾を引く形で吊るされ、その紙の上を4人の俳優たちが縦横無尽に駆け回る。物語が進み、“暴力の連鎖”が繰り返されるにつれて、初めはまっさらだった白い紙は破かれ、グシャグシャにされ、様相を変えていく。

左から阿部サダヲ、長澤まさみ、河内大和、川平慈英。

左から阿部サダヲ、長澤まさみ、河内大和、川平慈英。[拡大]

野田から井戸役を託された阿部は、生来の愛嬌と狂気を遺憾なく発揮。NODA・MAP初参加の長澤は、小古呂の妻が放つ官能的な美しさを表現しつつ、彼女が感じる“恐怖”を丁寧に描写した。また河内は、NODA・MAP作品に多数出演してきた経験を生かし、見事なアンサンブルワークを繰り広げる。今年上演された「フェイクスピア」にも出演した川平は、子供から大人まで、コミカルな役どころからシリアスなキャラクターまで、感情のスイッチを巧みに操り、それぞれの人物を演じ分けた。

昨日の初日公演では、俳優たちが舞台を去ったあとも拍手が鳴り止まず、6回にわたってカーテンコールが行われた。初日を終えた野田は「この作品がこれまで積み重ねて来たもの、それを的確にやれている役者さんとスタッフさんがいて、とにかく完成度の高い作品になりました。……で、ありながら! 毎日何かしらのハプニングが起きることも内包されている舞台です。今日はゴムが切れました(笑)。そうしたことも含むのが演劇というものです。決まりごとをやっていくものではない。完成度が高いのに、絶対に完成しない。やっぱり優れた、海外に通用するクオリティを持った作品だなとあらためて思いましたね。これは、観ておいたほうがいい。若い演劇人はとくに観ておいたほうがいいんじゃないかな……って上から目線で恐縮ですが、本当に観ておいたほうがいいと思います」とコメントした。

上演時間は約1時間15分。東京公演は12月12日まで行われ、その後、16日から26日まで大阪・ナレッジシアターで上演される。

阿部サダヲ コメント

今まで何回か通し稽古をやって来ましたけど、今日が一番良かったです。最初にゴムがパンッ!て切れて、それで皆が結束したように感じましたね。妙に燃えたと言いますか。「失敗するとすぐ顔に出る」ってずっと野田さんに言われていたので、絶対そうならないように皆頑張ろう!って高校生みたいな気持ちでやった、県大会初戦みたいな初日でした。通し稽古を多くやって来たおかげで、舞台上では何が起こるかわからないということを十分経験して、今は何が起きても大丈夫になりました。もはや客席で何が起きても大丈夫なようにそろそろなって来ていますので、客席で何か起こしてもいいです。嘘です。ぜひ集中してご覧いただけたらと思います。

長澤まさみ コメント

通し稽古を何回もやってきたこともあって、初日という感覚があまりなく、冷静に集中できてよかったなと思っています。稽古で積み上げて来たものを、いつも通りにやること。それを目指してやっていったらゴムが切れて、その瞬間に皆が一致団結した感じがしました(笑)。私、2012年に「THE BEE」が上演された時に「絶対に観たほうがいいよ!」と言われたのに、見逃してしまったんですね。まさか自分がやることになるとは思わず……。

その後悔を私は知っているので、ぜひたくさんの方に観に来てほしいなと思います。チケットが取れなくて大変だとは思いますが、当日券があります! なぜ観なかったんだろう……ってずっと悔いていた私が強くお勧めいたします。

河内大和 コメント

カーテンコールのお客様のエネルギーに圧倒されて、それに感動してしまいました。前回の2012年の「THE BEE」を観て「とんでもない作品だ!」と思った僕が、こうしてその舞台に立てている。本当に恐ろしいような、夢のような、震えっぱなしの初日でした。75分でこんなすごい体験ができることってほかにはないと思うので、これはとにかく観るしかないですよ(笑)。普段から演劇を観ていらっしゃるお客様もそうですが、演劇を観たことがない人がこれを観たら、ちょっと、もう、えらいことになっちゃうんじゃないかと。「演劇ってすごく想像力が豊かになって、カッコよくて、シビれる!」と思っていただけると確信しています。

川平慈英 コメント

今回のような負のスパイラルに嵌ったダークな役柄は初体験で、僕にとってはチャレンジングな芝居です。何か新しい引き出しを見つけられたんじゃないかなと思えて、本当に感謝ですね。初日はもっとナーバスになるかなと思っていたんですけど、劇場での通し稽古が充実していたので、今日、僕はとても楽しめました。俯瞰して見ていた自分が「慈英、お前は幸せだな~」って(笑)。最後まで丁寧にやっていきたいですね。非常に厳しいけれど、あえて今、必要なメッセージを出せている舞台だと思います。本当に10秒に1回、とんでもないことが起こるので、僕たちと一緒にとんでもないことを目撃しましょう。劇場でお待ちしています。

野田秀樹 コメント

この作品がこれまで積み重ねて来たもの、それを的確にやれている役者さんとスタッフさんがいて、とにかく完成度の高い作品になりました。……で、ありながら! 毎日何かしらのハプニングが起きることも内包されている舞台です。今日はゴムが切れました(笑)。そうしたことも含むのが演劇というものです。決まりごとをやっていくものではない。完成度が高いのに、絶対に完成しない。やっぱり優れた、海外に通用するクオリティを持った作品だなとあらためて思いましたね。これは、観ておいたほうがいい。若い演劇人はとくに観ておいたほうがいいんじゃないかな……って上から目線で恐縮ですが、本当に観ておいたほうがいいと思います。

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NODA・MAP番外公演「THE BEE」

2021年11月1日(月)~12月12日(日)
東京都 東京芸術劇場 シアターイースト

2021年12月16日(木)~26日(日)
大阪府 ナレッジシアター

原作:筒井康隆~「毟りあい」(新潮社)より~
英語脚本:野田秀樹&コリン・ティーバン
日本語脚本:野田秀樹
演出:野田秀樹

キャスト

井戸:阿部サダヲ
小古呂の妻 / リポーター:長澤まさみ
百百山警部 / シェフ / リポーター:河内大和
安直 / 小古呂 / 小古呂の息子 / リポーター:川平慈英

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【公演レポート】東京芸術劇場共催 NODA・MAP「THE BEE」開幕、野田秀樹が自信「とにかく完成度の高い作品」(コメントあり) https://t.co/uOqzrwGEyJ

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