仁左衛門＆玉三郎の約38年ぶり「東海道四谷怪談」、「九月大歌舞伎」第1部・第3部開幕

「九月大歌舞伎」の第1部と第3部が、昨日9月2日に東京・歌舞伎座で開幕した。

“六世中村歌右衛門 二十年祭 七世中村芝翫 十年祭”と冠された第1部には、「お江戸みやげ」と「須磨の写絵」がラインナップ。「お江戸みやげ」で、当代中村芝翫は、自身の父である七世芝翫が当たり役としたお辻役に初役で挑む。倹約家のお辻は、おゆう（中村勘九郎）に誘われて見物した宮地芝居で、人気役者の阪東栄紫（中村七之助）に心を奪われてしまう。お辻の一世一代の恋の行方は……。一方、「須磨の写絵」は六世中村歌右衛門が得意とした松風物の舞踊作品。中村梅玉が、父・六世歌右衛門をしのび、在原行平を勤めるほか、中村魁春が海女松風役、中村児太郎が海女村雨役を演じる。

第3部は、片岡仁左衛門と坂東玉三郎による「東海道四谷怪談」より、四谷町伊右衛門浪宅の場、伊藤喜兵衛内の場、元の浪宅の場、本所砂村隠亡堀の場が披露される。仁左衛門と玉三郎が本演目で共演するのは、約38年ぶりのこと。仁左衛門は民谷伊右衛門を、色悪の魅力を際立たせて演じる。お岩 / お花役の玉三郎は、毒薬を飲んだお岩の顔がだんだんと醜くなる“髪すき”の場面を、気迫に満ちた演技で魅せ、張り詰めた空気を生んだ。

なお、「近江源氏先陣館」と「女伊達」が上演される第2部の公演は、新型コロナウイルスの影響で初日が9月7日に延期となった。「九月大歌舞伎」は27日まで。