「Being at home with Claude~クロードと一緒に~」が、本日7月3日に東京・東京芸術劇場 シアターウエストで開幕する。それに先駆けて昨日、ゲネプロが行われた。
本作は、カナダの俳優・脚本家ルネ=ダニエル・デュボワによる原作を、
舞台は1967年7月5日のカナダ・モントリオール。殺人事件を自首してきた“彼”(溝口)が、裁判長の執務室で刑事(原田)から取り調べを受けている。被害者は、男娼を生業とする“彼”と肉体関係があった大学生。36時間以上かけても十分な調書を作れないことに刑事が苛立つ一方で、“彼”は殺害の動機に言葉を濁し……。
ステージの中央には執務机が置かれており、その後ろには本棚と、ブラインドが付いた大きな窓がある。冒頭では、“彼”が執務室に駆け込んできて電話をかけたり、警察官たちが“彼”に拳銃を向けたりといったシーンが無言のまま、暗転を挟みながら断片的に演じられる。これによって観客は、一気に物語へと引き込まれた。
その後再び舞台が明るくなると、執務室にはモントリオールの地図が広げられた黒板や、机と椅子などが置かれており、当事者たちがうんざりしてしまうほど長時間に及ぶ取り調べのシーンがスタートする。劇中では、雨音の音響効果や、窓の外が明るくなり、そして暗くなる照明効果によって時間の経過が示された。
溝口演じる“彼”は、スーツや制服をきっちりと着込んだ警察官たちを前に、シックな内装の執務室をはだしでペタペタと歩き回り、異質性を際立たせる。重要な話題に近付くと、“彼”は夢の中を漂うようにとりとめのない話を続けたり、頭を抱えて壁際に座り込んだりして、刑事たちを煙に巻いた。
溝口は膨大な量のセリフを操り、“彼”がどのような経緯で自首したのかを少しずつ明らかにする。終盤、“彼”が被害者に対する切ない思いや、男娼の仕事に抱いている苦しみを語る場面では感情をあらわに独白し、観客を惹きつけた。
対する刑事役の原田は、タバコをくゆらせながら、“彼”を挑発し追い詰めるように問いかけることで、物語の緊張感を高める。また男娼である“彼”に軽蔑のまなざしを向けると同時に、根気よく質問を繰り返し、つらい記憶を語る“彼”を静かに見守った。彼らの心理戦の行方を、ぜひ確かめてみては。
上演時間は2時間10分を予定。なお本作はセクシュアルな表現を含むため、15歳未満は入場不可となっている。公演は7月11日まで。千秋楽となる11日13:30開演回では、Confetti Streaming Theaterにてライブ配信も行われる。
「Being at home with Claude~クロードと一緒に~」
2021年7月3日(土)~11日(日)
東京都 東京芸術劇場 シアターウエスト
原作:ルネ=ダニエル・デュボワ
翻訳:イザベル・ビロドー、三宅優
上演台本・演出:
キャスト:
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