「水深ゼロメートルから」が11月3日から7日まで、東京・「劇」小劇場で上演される。
本作は、2019年の「アルプススタンドのはしの方」に続く高校演劇舞台化プロジェクトの第2弾。今回は中田夢花の原作による「水深ゼロメートルから」を、虚構の劇団 / EPOCH MANの
劇中では補習のためにプールに呼び出された女子生徒2名と、水泳部員の女子生徒を中心に、先輩や先生たちの織りなす物語が紡がれる。
この作品は徳島市立高等学校演劇部によって発表され、第44回四国地区高等学校演劇研究大会で文部科学大臣賞(最優秀賞)に輝いた。高校演劇全国大会に推薦されていたが、新型コロナウイルスの影響で大会自体が中止に。その後、本作は映像配信され、映画化もされた。今回の上演では、中田が脚色を担うほか、女子高校生役が一般公募される。詳細は公式サイトで確認しよう。
小沢道成コメント
これはいわゆる青春映画ならぬ、青春演劇なのだと思います。しかし、夢を追いかけ、悩み、希望を抱え、苦しみ、そんな想いが溢れ混ざる時期のことを青春時代と呼ぶのなら、それは、ある年齢の時にしか起こらないものなのではなく、今、まさに僕(35歳)の中にも起こっている問題じゃないか、と本を読み終わり、感じるわけです。この劇に登場する4人の高校生と1人の先生は、それぞれに大きな悩みや葛藤を抱いています。まさに、青春時代と呼ばれるのでしょう。しかし、彼女たちの抱く想い・悩みは決して青くはないのです。悩み苦しむことが、こんなにも輝かしいものなんだと、この演劇を通して僕も見つけたいと思います。
一緒に楽しんでくれる出演者を募集いたします。年齢、性別に制限なく上演をしようかとも考えたのですが、まずはこの戯曲に描かれた言葉や想いに寄り添って作ってみようと思います。
中田夢花コメント
高校時代に書いた作品が、こうして高校演劇の枠組みを超えて、再び舞台上で芽吹かせていただけることを嬉しくも不思議に感じます。
私たちはいつだって、水深ゼロメートルの場所で足掻いてるんだと思います。皆自分の性別や立場など逃れられないものを抱えて、苦しんで、他を羨んで、でも自分は自分でしかなくて、このどうにも出来ない自分と世界の中で、どう足掻いていけばいいのか、足掻いてもいいのだろうか。確か、高校時代の私はそんなことを考えながら書いたような気がします。
また私も、ゼロメートルから手を伸ばしているんだろうなと感じる日々です。個人的な話になりますが、コロナ禍で、予定されていた高校の卒業公演や全国大会が中止となり意気消沈、それ以来めっきり演劇に関わる機会が減り、自分と表現の狭間でどうしようと頭を抱えていた時にこのお話を頂きました。この舞台を通して、またもう一度、お芝居に関われる楽しみを心の底から味わいたいなと思っております。徳島市立演劇部のかつての仲間にも想いを馳せながら、新しいメンバーで始動するこの作品がどんな舞台となっていくのか、ワクワクが止まりません。
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薙野信喜 @nonchan_hg
高校演劇舞台化プロジェクト第2弾「水深ゼロメートルから」小沢道成が演出(コメントあり) https://t.co/o5gAazMR21