岩井秀人(WARE)プロデュース「第5回 いきなり本読み!」の配信が5月9日にスタートした。ステージナタリーでは、その収録の様子をレポートする。
「いきなり本読み!」は、出演者に演目を事前に告知せず、ステージ上で台本を渡し、演出家がその場で配役・演出する企画。今回は進行・演出を
第5回の収録は、東京・ユーロライブにて無観客で行われた。岩井が「今回は僕の作品に出たことがある人たちだけでやるので、任せます!」と出演者たちに笑顔を向けると、俳優たちは苦笑い。「何も事前準備ができないので、出演が決まった日から“生殺し”のような感じでした」と田村が心境を明かすと、共演者たちも大きくうなずいた。
そして岩井が作品タイトルを明かさず、配役だけを告げて読み合わせがスタート。初回は志賀役を岩男、森本とマチコ役を川上、佐々木役を田村、さおり役を藤谷が演じた。読み合わせの間、舞台奥のスクリーンに台本が映し出されるので、観客は彼らがどんなふうに書かれた文字を読んでいるかを知ることができる。例えば音引きの「ー」と「~」、「!」と「!!!」、「あ」と「ああ」と「あぁあ」など、書かれた文字の違いを俳優たちは絶妙に演じ分け、台本には明記されていない“間”や相槌なども適宜入れ込んで、“大学の同級生”というフランクな関係性を瞬時に作り出していった。
岩男はどのセリフにも丁寧にアプローチし、岩井の「それ、死ぬ可能性を上げて言ってみてもらえますか?」という演出にもすぐに応じるなど腕を見せた。川上は、「や」「うん」といった短い応答に細やかなニュアンスを含ませ、岩井が「ベスト・オブ・志賀ですね!」と志賀役に太鼓判を押した。また、ふざけていたかと思うと急にキレたような激しい口調になり、演技の幅を見せたのは田村。さらに藤谷は、“じゅん”とした潤いを声に乗せ、役人物に深みを持たせた。
途中で岩井が「実は志賀という役は、見た目は老人だけど年齢はほかの登場人物と同世代という設定です」と、作品について説明。そして同じ配役のまま、もう一度同じシーンを読むと、川上や田村はセリフに合わせて手振りがつくようになり、岩尾や藤谷は台本から時折目を上げ、セリフを語る相手に目線を向けるようになった。
その後、配役を変えながら読み合わせは進行。途中で岩井が「この台本は亡くなった志賀廣太郎さんに書いた本なんですよ」と明かし、ハイバイの活動初期に志賀が劇団を応援してくれたこと、その恩返しのつもりでこの脚本を書いたことを語ると、俳優たちは「確かにこれは恩返しですね」と感慨深げにうなずいた。作品のタイトルは、配信で確認しよう。岩井秀人(WARE)プロデュース「第5回 いきなり本読み!」の視聴チケットは、8月31日23:59まで販売されている。
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薙野信喜 @nonchan_hg
【公演レポート】岩井秀人が「志賀廣太郎さんに恩返しのつもりで書いた台本」を“いきなり本読み!” https://t.co/gHDPJFKQ5s