桐生麻耶、1年越しのトップスターラストステージが東京へ「OSKは母であり父のような存在」

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OSK日本歌劇団「レビュー春のおどり」の東京公演が3月26日より東京・新橋演舞場で上演される。それに先駆け、本日12日に東京都内で製作発表記者会見が行われた。

桐生麻耶

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桐生麻耶

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本作は来年100周年を迎えるOSK日本歌劇団・桐生麻耶のトップスターとしての最後のステージ。桐生は3月31日をもって特別専科への移籍が決定しており、後任を楊琳が担う。なお、トップスターが特別専科に移籍するのは桐生が初めて。

会見には桐生、松竹の安孫子正代表取締役副社長が登壇。桐生は桜紋の黒い紋付と緑の袴姿で登場し、報道陣に深く一礼した。「レビュー春のおどり」は昨年5月に新橋演舞場で上演される予定だったが、新型コロナウイルスの影響で中止に。OSK日本歌劇団の作品が同劇場でかかるのは2年ぶりとなる。

安孫子正代表取締役副社長

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OSK日本歌劇団は2003年の解散後、劇団員23名よる“OSK存続の会”発足や署名活動を経て2004年に大阪・松竹座での「春のおどり」上演で復活。安孫子副社長は、苦境を乗り越えられたのも、当時、若手の1人として貢献した桐生のおかげであるとし、「(桐生は)OSK生き残りの精神。トップを去るにあたって桐生さんの魅力がふんだんに表現されている舞台でございます。また、桐生さんに特別専科として後進の指導をしていただけるのは本当にありがたいこと。(OSKの)技術面・精神面をぜひ若いメンバーに伝えていっていただければと思います」と挨拶した。

桐生麻耶

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桐生は「舞台ができることが当たり前だとは思っていませんが、このような状況になってあらためて、たくさんの方が動いてくださって成立するのだと感じることができました。来年は100周年を迎えるOSKが、もっと多くの方に知ってもらえるような歌劇団になれたら。まずは初日から千秋楽までしっかりと努めたいと思います」と語った。

今回の公演では、第1部に“月”をテーマに飛鳥時代から戦国時代、江戸時代までを巡る「ツクヨミ~the moon~」、第2部にローマ神話に登場する“勝利の女神ヴィクトリア”をもとに作られた彩り溢れる「Victoria!」が披露される。桐生は1月の大阪公演で「初日の緞帳が開いたときに、本当に大きな拍手をいただいて。“待ってました!”というエネルギーが飛んでくるのを感じました」と振り返る。「第1部『ツクヨミ』では蘇我入鹿、伊達政宗、堀部安兵衛という3役を演じさせていただきます。尾上菊之丞先生は短い時間の中に3人のピークを持ってくるようにしたいとおっしゃっていて、この作品では3つの味を楽しめる。テイストもミュージカル調、ロック調と、さまざまに楽しめると思います。第2部『Victoria!』はOSKの王道のレビュー。自分が所属する劇団ですが、私はOSKのラインダンスが大好きで。もしお許しがいただけるのであれば、いつでもラインダンスに出たいくらい(笑)。夢は捨てずにおります」と見どころを説明した。

桐生麻耶

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トップスターに就任したことで桐生は「この立場に立たせていただいたから見えた景色がありました」ときっぱり。「多くの方に支えられて公演が成り立っているというのは、自分が経験しなければわからなかったこと。また、好きだろうが嫌いだろうがまず真ん中を観られるので(笑)、そこからフォーカスを逃さないようにするという闘いが自分の中であって。でも、がんばっている仲間の劇団員も観てほしい、そういう(責任や葛藤の)中で、支えられてしか立てない場所なのではないかと思いました」とコメントする。特別専科に移るにあたり「『春のおどり』がなかったら、今ここにいられなかったかもしれません。恩返しという意味でも、OSKが100周年、それ以上続いて、もっとたくさんの方に知っていただきたい。“まず見てもらう”ことが大切ですので、その力になれたら」と決意を語る。加えて、「後輩たちは舞台が好きで、打たれ強いはずなので(笑)、自分は必要なときに必要とされる人間であれたらいいなと思います。私自身、どういう道を歩いて行けるのかわかりませんが、OSK歌劇団の舞台をまだやりたいという思いがある。それも、この立場になって知れた部分でもあります」と柔らかな笑顔を見せた。

ガッツポーズをする桐生麻耶。

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自身にとって舞台とは何かを問われると、「私にとっての舞台は生きる糧。生まれて初めて自分がしたいと選んだものなので、これがなかったらどう生きていけばいいかわからない。それはOSKも同じで、私にとって母であり父のような存在です」と答えた桐生。「もし退団をしていたら……何にも浮かばないんです。それが悲しいことなのか、わからないですけど(笑)。ありがたいことに特別専科というところで闘わせていただけるので、必要とされる舞台人でありたいなと思っています」と語った。

「今回の作品で、こういう振付がある」と手を波のように振る桐生麻耶。

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次期トップスターの楊について「息子のような存在ですね」と言うと、報道陣から笑いが。「彼女の心の変化も見てきました。(楊とは)1人ではできない、周りに支えてくれるスタッフの方がいて、劇団員がいて、自分が初めてそこに存在できる。立場に負けることなく、変わらずに立ち続けること(が大切)なんじゃないかという話はしました。気をつけないと何言っちゃうかわからない、危なっかしい人ではありますが(笑)、笑顔で務めるはずです」と信頼を寄せた。

「レビュー春のおどり」東京公演は3月26日から28日まで。

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OSK日本歌劇団「レビュー春のおどり」東京公演

2021年3月26日(金)~28日(日)
東京都 新橋演舞場

第1部「ツクヨミ~the moon~」

構成・演出・振付:尾上菊之丞

第2部「Victoria!」

作・演出:荻田浩一

出演:桐生麻耶、楊琳、虹架路万、舞美りら、愛瀬光、華月奏、翼和希、千咲えみ、白藤麗華、城月れい、遥花ここ、登堂結斗、麗羅リコ、実花もも、栞さな、朔矢しゅう、唯城ありす、由萌ななほ、りつき杏都、雅晴日、羽那舞、凜華あい、涼乃あゆ、紫咲心那、瀧登有真、空良玲澄、真織ひな、花うらら / 朝香櫻子(特別専科)

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読者の反応

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AsaCo @AsaCo_theater

桐生さんトップとしてのラストステージ直前のインタビュー記事。今読み返すと色々感慨深い。「周りに支えてくれる人がいて、初めて自分が存在できる」というのは、桐生さんから楊さんが継いだトップスターとしての居方なのかなと思う。

https://t.co/6bS54fU0OF

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