山崎哲が脚本、
出演者には
山崎哲コメント
ワイドショーなどで畠山鈴香の表情が流され始めたとき、私は一目で彼女が境界例にあることがわかった。実際のちに父親や学校などで凄まじい暴力を受けてきた事がわかった訳だが、その表情に境界例の表情が露出したのは、まだ容疑者として特定された訳でもないのに、レポーターらが押し寄せ彼女を崖っぷちに追い詰めようとしたからに違いなかった。その意味では彼らはまさに、鈴香にDVを振るい続けた父親や子供らと同じで、私の目から見れば彼らも鈴香同様、ボーダレス化している人間たちだった。
二年後、この事件を舞台化しておきたいと私は秋田県藤里町を訪れた。美しい自然を残した町だったが、工場はむろん田畑も思ったより少なかった。白神山地への登山口ではあるが、観光地としてやっていけるほどのものもなく、町の人たちはどうやって暮らしているのだろう、能代へ通うには遠すぎるし、という思いが過ぎった。町もまた消費社会と高齢化社会の到来によってすっかりボーダレス化しているように思えたのだ。
帰郷したあと秋田出身の教え子に藤里で感じたことを話すと、学生の彼は言った。「あれが秋田です。僕も帰りたくても帰れません」と。
椿組2021年春公演「『シャケと軍手』~秋田児童連続殺害事件~」
2021年3月17日(水)~28日(日)
東京都 ザ・スズナリ
脚本:山崎哲
構成・演出:
出演:
ステージナタリー @stage_natalie
秋田児童連続殺害事件をモチーフにした椿組の春公演「シャケと軍手」(コメントあり)
https://t.co/DUYte5cQ1U https://t.co/YvdDXzJTyc