「ゴースト」再演が本日開幕、浦井健治「人は1人じゃないと信じられる」

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ミュージカル「ゴースト」が、本日3月5日に東京・シアタークリエで開幕。ステージナタリーでは、昨日4日に行われた咲妃みゆ出演版のゲネプロの様子をレポートする。

ミュージカル「ゴースト」より。(撮影:桜井隆幸)

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脚本・歌詞をブルース・ジョエル・ルービン、音楽・歌詞をデイヴ・スチュワートとグレン・バラードが手がけた本作は、映画「ゴースト ニューヨークの幻」のミュージカル化作品。日本ではダレン・ヤップの演出で2018年に初演され、今回は再演となる。恋人同士のサムとモリーは幸せに過ごしていたが、モリーがサムにプロポーズした晩、2人は強盗に襲われサムが命を落としてしまう。サムは幽霊としてこの世に残り、彼女を危険から救おうとし……。

冒頭、ピアノの音色が流れ始めると、薄いグレーのパネルに覆われた舞台が神秘的な青い照明で照らし出され、観客を物語に引き込む。劇中には、グレーを基調とした衣装をまとう“ゴースト”役のアンサンブルたちが登場。青みがかった光に照らされたゴーストたちは、ステージを幻想的な雰囲気で満たしていく。また映像やパネルの仕掛けを用いた演出によって、幽霊たちが持つ超自然の能力が表現された。

ミュージカル「ゴースト」より。(撮影:桜井隆幸)

ミュージカル「ゴースト」より。(撮影:桜井隆幸)[拡大]

ミュージカル「ゴースト」より。(撮影:桜井隆幸)

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サム役の浦井健治は、硬軟自在の演技とパワフルな歌声で魅せ、予期せぬ死によってモリーと引き裂かれ、そばにいるのに彼女と触れ合えないサムの苦悩を演じる。咲妃は凛とした佇まいを見せつつ、モリーがろくろを回す場面では、表情の変化や粘土を扱う手の仕草で、サムを失った悲しみを振り払いきれない彼女の心境を繊細に表現した。

ミュージカル「ゴースト」より。(撮影:桜井隆幸)

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ミュージカル「ゴースト」より。(撮影:桜井隆幸)

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今作初参加の水田航生は、サムとモリーのよき友人としてのカールを爽やかな笑顔で演じながら、表情や声の調子から彼の隠された一面をのぞかせる。さらに霊媒師オダ・メイ役の森公美子は、ピンクのドレスに紫色の羽の髪飾りといういでたちで登場し、力強い歌と踊りで会場を盛り上げる。また浦井扮するサムと息のあった掛け合いを繰り広げ、観客を和ませた。

浦井健治

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ゲネプロ後に行われた囲み取材には、浦井、咲妃、桜井玲香、水田、森が出席。浦井が「振付の桜木涼介くんを中心に、演出のダレンがZoomで参加して稽古場を束ねてくれました。和やかで素敵なカンパニーをモリクミさんという大先輩がしっかりと支えてくれて、心地よいです」と笑顔を見せると、森が「100点!」と続けて記者たちを笑わせる。

水田航生

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「点数が付くんですね(笑)」とつぶやいた水田は「森さんが稽古場を盛り上げてくださって、僕たちはそれで笑わせていただいた」と振り返り、上演に向けては「僕は今回が初参加。2021年版の『ゴースト』を喜びと責任感を持って演じたい」と意気込みを語った。

咲妃みゆ

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咲妃は「2年半ぶりにこの作品に携われて幸せ。玲香と手を取り合い、2021年版のモリー像を構築してきました。お越しくださるお客様たちに、感謝の気持ちを込めてお届けしたいです」と開幕への喜びをにじませる。咲妃とWキャストでモリーを演じる桜井は今回が初参加。桜井はゲネプロを観た感想を「次に何が起きるのかわかっているのに、涙が止まらないくらい大感動です」と話し、「皆さんが自分の感情に正直に毎回演じているので、作品が日々変化していくと思います」と期待を口にした。

浦井に「2人のモリーがすごく仲よしで」と水を向けられると、咲妃が「この作品で初めてお会いしたんですが、一緒にいてすごく心地よくて。玲香は不思議なパワーを持っていて、彼女には相談事もたわいもない話も聞いてほしくなるんです」と桜井に笑顔を向ける。桜井も「本当に大好き! いただいたお言葉、そっくりそのまま(咲妃に)お返ししたいくらいです(笑)」と大きくうなずいた。

ミュージカル「ゴースト」より。(撮影:桜井隆幸)

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浦井は2人の仲むつまじい姿に目を細め、「2人が爆笑してて『どうしたの?』と聞いたら、『お弁当ひっくり返した』とかたわいもないことで盛り上がってて……」とエピソードを紹介。続けて「2人とも芯が強く、優しさと包容力を兼ね備えている。それでいて『ついてこいよ!』という勢いもあります」と厚い信頼を寄せた。

森公美子

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囲み取材では、本作の公演期間中の3月11日、東日本大震災から10年となることに、宮城県出身の森がコメントする場面も。森は「コロナ禍でなければ、被災地でこの作品を上演したかった」と述べる。そして、演出のダレンが本作のクリエーションをスタートするにあたり、岩手県大槌町にある“天国につながる”という電話ボックス・風の電話のことを挙げていたと言い、「『ゴースト』に取り組みながら、相手の姿が見えなくても思いを伝えることの大切さを実感しました」と語る。

浦井は「いなくなった人に会いたいという思いは絶対に消えないと、この作品を通して強く感じます」と話し、「会いたい人はきっとそばで守ってくれているし、だから人は1人じゃないと信じられる。そういうメッセージを伝えようと、ダレンと共に作品を作ってきました。大変な時期ですが、皆さんおのおののタイミングでぜひご来場ください」とメッセージを送った。

公演は3月23日まで東京・シアタークリエ、4月4日に愛知・愛知県芸術劇場 大ホール、9日から11日まで大阪・新歌舞伎座にて。

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ミュージカル「ゴースト」

2021年3月5日(金)~23日(火)
東京都 シアタークリエ

2021年4月4日(日)
愛知県 愛知県芸術劇場 大ホール

2021年4月9日(金)~11日(日)
大阪府 新歌舞伎座

脚本・歌詞:ブルース・ジョエル・ルービン
音楽・歌詞:デイヴ・スチュワート&グレン・バラード
演出:ダレン・ヤップ

キャスト

サム:浦井健治
モリー:咲妃みゆ / 桜井玲香
カール:水田航生
オダ・メイ:森公美子

ひのあらた松原凜子、栗山絵美、松田岳西川大貴 / 小川善太郎、染谷洸太、宮野怜雄奈、山野靖博、吉田要士上田亜希子、國分亜沙妃、華花、湊陽奈、元榮菜摘

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