流山児★事務所ではこれまでにも「代代孫孫2016」「満州戦線」といった韓国の戯曲を上演してきた。
劇中では、2000年に韓国・ソウル近郊のベッドタウンで実際に起きた殺人事件を題材にした幻想劇が展開。両親を手にかけた少年は、亡くなった父母と共に過ごす家族の時間を作り出す。両親との関係を回復しようとその時間を繰り返す少年は、家に客を招き、うまく過ごすことができれば両親ともわかり合えるのではないかと考え……。出演者には少年役を務める
コ・ヨノクは「幸せを求めて、最後の瞬間まで最善を尽くそうとする少年の物語に、少しでも希望のメッセージが伝わればと思います」、シライは「今回もまた、激しく他者を求め、他者と関わろうとする物語と格闘している。憎きコロナめ。お前なんかに、演劇は負けない」とそれぞれコメント。さらに流山児は本作について「『閉じこもる時代』、それでも『他者=希望』を求め続けるしかないニンゲンの在り様(喜劇)を、寺十吾を主演に迎え、七人の魅力的な役者達がエネルギー全開で演じます」と語っている。
なお本作は、12月30日14:00から1月13日14:00まで観劇三昧LIVEで配信されるほか、DVD化も決定している。
コ・ヨノク コメント
昨年10月、「客たち」の日本上演のご提案を頂いた時、日本と韓国の関係は最悪でした。私自身、これまでの日本での公演は素晴らしい思い出ばかりだったので、ぜひやりたい気持ちと同時に、このような友情関係が、果たして本当に何かの役に立つのだろうかという葛藤を拭うことができませんでした。
今、私たちは共にコロナ禍で戦っています。
韓国でも多くの公演が中止や延期になり、オンライン配信が増えています。
劇場や舞台は観客を失い、演劇界の今後に絶望しながらも、それでも演劇の準備に取り組む姿は、まるで祭壇を整えているような悲壮感すら感じていました。
流山児事務所からの予定通り公演するという連絡に、私の葛藤は消え去り、感動と感謝が溢れました。大変な過程を経て決断されたことと思います。
私たちは、日本と韓国の関係を越え、演劇を通じてお互いの心を知る、貴重な仲間だったのだと改めて気づきました。
直接ご挨拶に駆けつけることができず残念ですが、劇場に足を運んで下さった観客の皆様にも心からお礼申し上げます。
幸せを求めて、最後の瞬間まで最善を尽くそうとする少年の物語に、少しでも希望のメッセージが伝わればと思います。
シライケイタ コメント
コロナと演劇
第三波が来ている。感染者が出て中止を余儀なくされた公演も少なくない。胸が痛む。感染症と演劇が、こんなに相性の悪いものだったとは。もはや、どこで、誰が罹患しても不思議ではない。一歩も外に出ないで自宅に引きこもらない限り、リスクはゼロにはならない。それなのに、カンパニーの中で一人でも感染者が出たら即公演中止という、演劇にとってあまりにも残酷なルールが定着してしまった。旅行は推奨され、満員電車は動き、繁華街は多くの人で賑わっているのに、何故演劇だけが、という割り切れない思いは甘んじて呑み込むとして、それでも何故我々は演劇をやるのか、こんなリスキーな状況の中で。この「何故」を考え続けた 2020年であった。「何故やるのか」。それはきっと、我々は常に他者と関わっていなければ生きられないからだ。常に他者を求める生き者だからだ。今回もまた、激しく他者を求め、他者と関わろうとする物語と格闘している。憎きコロナめ。お前なんかに、演劇は負けない。
流山児祥 コメント
今作は、韓国の現代劇です。
2000年、ソウル近郊のベッドタウンで実際に起きた両親バラバラ殺人事件を題材にしたコ・ヨノクの代表作です。
両親を殺害した少年が繰り返す父母との関係恢復の日々に、「客たち」が招かれ起こる狂騒のファンタジー。
シライケイタは、コロナ禍の現在「家族のドラマ」として、20年前の犯罪から苛烈に現在の社会の本質をえぐり出そうと稽古場で役者たちと悪戦苦闘し、2020年の「客たち」を創りあげました。
「閉じこもる時代」、それでも「他者=希望」を求め続けるしかないニンゲンの在り様(喜劇)を、寺十吾を主演に迎え、七人の魅力的な役者達がエネルギー全開で演じます。
流山児★事務所公演 韓国現代傑作戯曲上演「客たち」
2020年12月16日(水)~23日(水)
東京都 Theater新宿スターフィールド
作:コ・ヨノク
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流山児祥 @ryuzanji3
少年は亡き両親との時間を繰り返し…流山児★事務所「客たち」主演に寺十吾(コメントあり) https://t.co/h82MEtYG6C