「オトコ・フタリ」が、本日12月12日に東京・シアタークリエで開幕。これに先駆け昨日11日、囲み取材とゲネプロが行われた。なおこの記事では演出や作品の内容に触れているため、ネタバレを避けたい読者は注意してほしい。
本作は、NHK大河ドラマ「篤姫」「江~姫たちの戦国~」などで知られる田渕久美子が脚本を書き下ろした三人芝居。
ステージには絵の具で汚れた机と椅子やイーゼル、キャンバスなどが置かれ、舞台は回転盆によって禅定寺のアトリエ、ダイニング、寝室などに次々と様相を変えていく。しかしステージ中央には常に、人の背丈よりも大きな白いキャンバスが鎮座し、禅定寺が描けずにいる“愛”の絵画を想起させた。
キャストたちは軽妙なやりとりで物語をテンポよく進めながら、折に触れて“愛”とは何たるかについて激論を交わす。山口扮する禅定寺は、嫌みな物言いで冬馬の神経を逆なでしつつ、チャーミングさをにじませるひと幕も。冬馬役の浦井は、膨大な量のセリフと運動量をこなし、物語をにぎやかに牽引。禅定寺が冬馬の座っていたイスのほこりをハンカチで払って意地悪をするシーンでは、冬馬も負けじと禅定寺に飲み物をかけてやり返し、舞台を盛り上げた。保坂はテキパキとドリンクをサーブしたり、テーブルセッティングしたりする動きから、好子の家政婦としての有能さを表現しつつ、表情の変化や絶妙な間合いで、観客を何度も笑いで包んだ。
また本作では登場人物たちが歌うヒット曲が重要な役割を果たす。数々のミュージカル作品で活躍してきた出演者が熱唱する中島みゆき「糸」、米津玄師「Lemon」に期待しよう。
ゲネプロ前に行われた囲み取材には、山口、浦井、保坂に加え、声の出演で参加する
浦井は稽古場で、かつて劇団四季に所属していた山口と保坂からたくさんの思い出話を聞いたといい、「レジェンドのお二人からたくさん昔話を聞けて、そのままエッセイ本にしたいくらい勉強になりました」と充実の日々を振り返る。演出の山田から「3人の仲が良すぎて、(けんかの場面なのに)板の上に出ちゃってるよ!」と注意されたとエピソードを明かし、「『今日はしゃべらないようにしようね』と山口さんがおっしゃったのですが、その5秒後には山口さんがフレンドリーに皆さんとお話しされていて(笑)。そんな山口さんのおかげで士気が高まり、いいカンパニーになりました」と座組の仲むつまじさをのぞかせた。
会見では、山口を称賛した浦井を、山口が透明パネル越しに抱きしめようと両腕を広げ、報道陣を和ませる場面も。山口と浦井の様子に、保坂は「このお二人、親戚同士なのかな?と思うほど“異常に”仲が良いんですよ」と笑う。開幕に向け保坂は「軽いタッチのお話ですが、深いテーマが描かれていて、それぞれが人生で背負ってきたものが垣間見えるよう作ってきました」とコメントした。
声の出演を務める大塚は本読みに参加したほか、何度か稽古場を訪れたという。大塚は保坂の言葉を受け、「本当に親戚の集まりなのかな?と錯覚するような温かい現場で。居心地良く(稽古を)見学させていただきました」と目を細めた。
最後に出演者を代表し、山口が挨拶する。山口は「先日お客様から『ここのところ笑っていないんです』とお手紙をいただき、今は大変な状況なのだなとつくづく思います。非日常が日常となってしまった今、せめて劇場では温かい気持ちになっていただき、お客様に1度でいいから『あっ、今日笑えた』と思える瞬間をお届けできたら」と思いを述べた。
上演時間は休憩30分を含む2時間5分を予定。東京公演は12月30日までシアタークリエにて。その後1月15日から17日まで大阪の梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ、23・24日に愛知・刈谷市総合文化センター アイリスでも上演される。
「オトコ・フタリ」
2020年12月12日(土)~30日(水)
東京都 シアタークリエ
2021年1月15日(金)~17日(日)
大阪府 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
2021年1月23日(土)・24日(日)
愛知県 刈谷市総合文化センター アイリス
脚本:田渕久美子
演出:
出演:
声の出演:
関連記事
山口祐一郎のほかの記事
リンク
ステージナタリー @stage_natalie
【公演 / 会見レポート】山口祐一郎らが“愛”を追究「オトコ・フタリ」開幕、あのヒット曲も登場
https://t.co/8stqGXbSnD
#山口祐一郎 #浦井健治 #保坂知寿 #大塚千弘 https://t.co/erct3fUIG5