オペラ「アルマゲドンの夢」が、11月15日から東京・新国立劇場 オペラパレスで上演されている。
本作は、ロンドンを拠点に活動し、映画「蜜蜂と遠雷」で第43回日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞した藤倉大が作曲を手がける新作オペラ。“SFの父”として知られるH.G.ウェルズの短編「アルマゲドンの夢」(邦題:世界最終戦争の夢)をオペラ化した本作では、「別時間から来た」という男の数奇な運命が描かれる。大都市へ向かう通勤電車の中で、若い税理士フォートナムは見知らぬ男に「その本は夢についての本か」と聞かれる。クーパーと名乗るその男は、「自分は夢の中で殺された、別の時間に生きていたのだ」と畳み掛け……。
なお本作は、昨年の「紫苑物語」に続く同劇場の日本人作曲家創作委嘱シリーズ第2弾。クリエイティブチームには、台本のハリー・ロス、演出のリディア・シュタイアーが名を連ね、同劇場のオペラ芸術監督・
作曲の藤倉は「2020年11月に初演されるために、今の世の中のために書かれたオペラになってしまった、このオペラに向かって世の中が近づいてきてしまったという感じですね。皆さんぜひこの11月、新国立劇場に来て観て下さい」と呼びかけ、演出のシュタイアーも「この作品のように、現在の混沌や無秩序にぴったり合致する芸術作品と巡り会うことは、稀なことです。『アルマゲドンの夢』は素晴らしいプロダクションです。壮大で興味深く、観て楽しく、聴いて楽しく、考えさせる作品です」と語っている。
本作は英語にて、日本語と英語の字幕付きで上演される。上演時間は1時間40分を予定。公演は11月21日、23日にも行われる。藤倉、シュタイアーのコメント全文と、指揮の大野からのメッセージは以下の通り。
藤倉大 コメント
このコロナの状況下で、夏くらいからずっと「上演できるのか」という話をしていたのですが、演出のリディア・シュタイアーが「このオペラは絶対に今やらなくては」「今の世の中を描いたかのようなオペラがここにある」とみんなに訴えていたのがすごく印象的です。僕もリハーサルを見ていると、本当にそのとおりだと思います。2020年11月に初演されるために、今の世の中のために書かれたオペラになってしまった、このオペラに向かって世の中が近づいてきてしまったという感じですね。皆さんぜひこの11月、新国立劇場に来て観て下さい。
リディア・シュタイアー コメント
今、芸術作品を創造することに集中することは少し奇妙なような状況にあります。世界では政治の混乱が重大局面を迎え、人々はパンデミックのことで頭がいっぱいです。今、東京のこの舞台で上演される新たなオペラを創造する機会が与えられました。この作品のように、現在の混沌や無秩序にぴったり合致する芸術作品と巡り会うことは、稀なことです。「アルマゲドンの夢」は素晴らしいプロダクションです。壮大で興味深く、観て楽しく、聴いて楽しく、考えさせる作品です。東京の皆さんにこの作品をお見せできることを嬉しく思っています。
大野和士 コメント
このオペラは新国立劇場にとっての新たな一里塚になるのではないかと思っています。歌手、オーケストラなどこの劇場に集まっているすべての人が、衛生上のことに気を配りながら万全の準備をし、皆さんを劇場にお迎えし、この新しいオペラと向き合ってほしいと心から願っています。
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オペラ「アルマゲドンの夢」
2020年11月15日(日)、18日(水)、21日(土)、23日(月・祝)
東京都 新国立劇場 オペラパレス
台本:ハリー・ロス(H.G.ウェルズの同名小説による)
作曲:藤倉大
演出:リディア・シュタイアー
指揮:
キャスト
クーパー・ヒードン:ピーター・タンジッツ
フォートナム・ロスコー / ジョンソン・イーヴシャム:セス・カリコ
ベラ・ロッジア:ジェシカ・アゾーディ
インスペクター:加納悦子
歌手 / 冷笑者:望月哲也
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
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【公演レポート】オペラ「アルマゲドンの夢」上演中、藤倉大「今の世の中のために書かれた作品に」(コメントあり)
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