「エレファント・マン THE ELEPHANT MAN」が昨日10月27日に東京・世田谷パブリックシアターで開幕した。ステージナタリーでは、26日に行われた公開ゲネプロと取材会の様子をレポートする。
「エレファント・マン」は、ヴィクトリア時代のイギリス・ロンドンを舞台に、異形の容姿を持ち、“エレファント・マン”と呼ばれたジョン・メリックを主人公にした物語。実在の人物を題材にバーナード・ポメランスが戯曲として立ち上げ、1977年にロンドンで初演、1980年にデヴィッド・リンチにより映画化された。過去にはデヴィッド・ボウイやブラッドリー・クーパーらがジョン・メリックを演じている。
舞台美術はシンプルな作りで、回転する盆の上に、くの字型の半透明な巨大パネルが設置されている。“エレファント・マン”として見世物小屋に立たされていたメリックの壮絶な過去を描く冒頭の場面では、不穏な音楽に乗せて盆が速いスピードで回転し、観客の不安をかき立てた。開演から数分後、上半身裸の小瀧が腰回りに布をまとって登場。初めは自然体でステージに立っていた小瀧だったが、近藤が“エレファント・マン”の身体的特徴を説明するにつれて、口元は歪み、体のバランスは崩れ、次第に“エレファント・マン”へと姿を変えていく。
異形の容姿を持つ一方で、メリックは熱心に聖書を読み、芸術を愛する青年でもあった。彼は主治医となったトリーヴズや、ケンダル夫人ら上流階級の人々との交流を通して、次第に心を開いていく。誰よりもピュアな心を持ったメリックが知識を得たときの喜びや、人と触れ合うことの楽しさを、小瀧はゆっくりとした語り口や穏やかな声色で表現した。
ゲネプロ後の取材会には、キャストの小瀧、近藤、高岡、木場に加え、演出の森が出席。小瀧は「自分にとってターニングポイントになる作品だと思います」と手応えを見せつつ、「初めに戯曲を読んだとき、『必ず医師やトレーナーに相談するように』と書いてあって驚いたのですが、森さんやトレーナーの方とお話ししながら“メリックの体”を作り上げていきました。歪んだ体勢で演技するので四肢への負担は大きいですが、この役でしか味わえないので苦ではありません」と真摯に語る。また、自身が所属するジャニーズWESTのメンバーについても触れ、「中でも濱田(崇裕)がすっごく楽しみにしてくれていて。『2回観に来る。最初と最後でどんな変化があるか楽しみにしてるから』って言ってました(笑)」と笑顔で答えた。
続く森は「9人共プロフェッショナルの俳優で、本当にいいチームになりました。今まで僕が演出した現場では感じたことがない“確かなもの”を感じて、演出家冥利に尽きる思いです」と出来栄えに自信をのぞかせる。記者から小瀧の演技について問われると、「まだ本番前なのであまり褒めても仕方ないんですけど……大したものですよ、小瀧は。よくここまで来たなって。ゲネプロもバッチリだったと思います」と照れくさそうな表情を浮かべながら小瀧に視線を送った。
トリーヴズ役の近藤は「メリックとの出会いのシーンを特に大事にしたい。お客さんもトリーヴズと一緒に、メリックのことを近くに感じていただけたら」とコメント。ケンダル夫人役の高岡は自身の役どころについて、「彼女はメリックが初めて触れ合う女性。メリックに影響を与えられるように、素敵な女性を演じられたらと思います」と意気込みを述べると共に、「小瀧くんは私の長男とほぼ同い年なので、お母さんに見られないように心がけてみたのですが……(笑)」と不安そうに小瀧に問いかける。すると小瀧は「お美しいですよ! この言い方が合ってるかわからないんですが、ちゃんと女性として見てます(笑)」と答え、会場の笑いを誘った。
最後に、ゴム理事長役の木場は「どんなお芝居も恋愛劇だと思って読むのですが、この『エレファント・マン』にも何組かの恋愛模様がちりばめられていて、私もその中に参加していると自分では思っております」とおどけつつ、「小瀧くんはナイーブでとっても良いメリックだと思います」と絶賛。さらに「……僕は小瀧くんが好きです」と爆弾発言し、会場の雰囲気を和ませた。
上演時間は20分の休憩を含む約2時間40分。公演は11月23日まで。
※濱田崇裕の「濱」は異体字が正式表記。
世田谷パブリックシアター×東京グローブ座「エレファント・マン THE ELEPHANT MAN」
2020年10月27日(火)~11月23日(月・祝) ※山崎薫の「崎」は立つ崎(たつさき)が正式表記。
東京都 世田谷パブリックシアター
作:バーナード・ポメランス
翻訳:徐賀世子
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※初出時、本文に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
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