「おかしな二人」が、本日10月8日に東京・シアタークリエで開幕。これに先駆け昨日7日に、ゲネプロと囲み取材が実施された。
ニール・サイモンの作劇で1965年に初演された「おかしな二人」は、性格がまったく異なる2人の男性を描いた喜劇。今回は1985年に発表されたその“女性版”を、宝塚歌劇団の
劇中ではマンハッタンにあるオリーブ(大地)のアパートを舞台としたストーリーが展開。オリーブの無精な性格から荒れ放題のこの部屋には、女友達が毎日のように集まっていた。ある日、話題は最近夫から離婚を切り出されたフローレンス(花總)のことに。「傷心の彼女が自殺でもしかねない」などと好き勝手に話していると、フローレンスが部屋にやってくる。夫に未練たらたらのフローレンスに、オリーブは自分との同居を提案。フローレンスはアパートに転がり込んできたが、彼女は病的なほどのきれい好きで……。
舞台の幕が開くと観客の目にはまず、散らかり放題の部屋が飛び込んでくる。壁にかかった絵はほとんどが斜めに傾いており、あちこちに本や服が雑然と積み上げられ、ゴミが詰まった袋も散らばっていた。
テレビ番組のプロデューサーで離婚経験者のオリーブは、1970年代を思わせる鮮烈な色合いの衣装と厚底の靴で舞台をさっそうと歩く。しかし買い物袋やバッグを点々と床やソファに落としていく姿からは、その片付け下手な性格が垣間見える。一方、主婦のフローレンスはひざ下丈のスカートに細いヒールのパンプスといういでたち。猛烈な勢いでゴミを袋に突っ込んだり、丁寧にスカーフをたたんだりする様子は几帳面さをうかがわせるが、人の世話を焼きすぎてわずらわしがられていることに気付かないマイペースさも併せ持つ。
大地と花總は息の合ったやりとりを見せ、正反対の性格の2人が引き起こすドタバタで会場を沸かせた。大地は、ずぼらだが情の深いオリーブを自然な佇まいで演じる。オリーブが別れた夫からの金の無心を断れず、甘えた声で電話しながら援助額を言われるがままにつり上げていくシーンでは観る者を笑わせた。花總は、泣いたり笑ったりと忙しいフローレンスを表情豊かに好演。フリルのエプロンを着けたフローレンスが、おたまを振りかざしながらオリーブを追い回す場面では、ひと際大きな笑いが起きた。
シルビア、宮地、平田、山崎扮する友人たちによる、女子会さながらのにぎやかな会話や、渡辺と芋洗坂係長扮するスペイン人兄弟が唐突に始める歌やダンスも、ステージを盛り上げる。本編終了後には、キャストが華々しくドレスアップしてパフォーマンスするスペシャルカーテンコールも用意されているので、ファンは楽しみにしておこう。
ゲネプロ前に行われた囲み取材には、キャスト8人が登壇。大地は「私は出ずっぱりなので、見どころは全部(笑)」と話し、「ニューヨークに住む面白い人々が、それぞれの人生を一生懸命に生きているところを観てほしい」とアピールする。花總も「おたまを“相棒”にする場面があります(笑)。初めての経験なので、ぜひご覧ください」と呼びかけた。
オリーブとフローレンスの友人、ミッキー役のシルビアは「おすすめは、登場人物が勢ぞろいするところ。みんなが何をしでかすか注目を」、同じく友人レネー役の宮地は「女性ばかりの場面のあと、キュートな男性2人が登場します。オリーブ、フローレンスと彼らのやりとりをお楽しみに」とそれぞれ見どころを語る。
平田は「このご時世で人となかなか会えないので、稽古場での会話が楽しい」と共演者に目線を送る。さらに「オリーブたちの友達の、“シルヴィ”です」と役どころを紹介する平田が、隣に立つシルビアをじっと見つめると、シルビアは「私は“シルビア”です」とリアクションして報道陣を笑いで包んだ。続くヴェラ役の山崎は「真央さんは芸人じゃないのに、笑いへの貪欲さがすごい」と大地を称え、「キャラが強い人が集まってるので、負けないように“ジャブ”を打っていきたい」と目標を掲げた。
スペイン人兄弟の兄マノロを演じる芋洗坂係長は、兄弟がオリーブとフローレンスの暮らす部屋に、ディナーに招かれることを挙げて「合コンのような状況になりますが、まさか自分が大地真央さん、花總まりさんと合コンができるとは思っていませんでした(笑)」と冗談交じりに述べる。その弟ヘスース役の渡辺は「演出の原田さんに『真央さんのお付きの人に見える。もっと場を荒らして』と言われまして(笑)。試行錯誤してきました」と出来栄えに自信をのぞかせた。
大地と花總にとって、本作は久しぶりの演劇公演。大地はカンパニーの面々が何度もPCR検査を受けたことに触れて「全員“ヨウセイ”です。フェアリー(妖精)のほうよ? ……すみません(笑)」とジョークを飛ばす。また花總は「本番では顔がぐちゃぐちゃだと思いますが(笑)、もうどうでもいいや、当たって砕けろ!という気持ちで臨みます!」と、気合十分の表情を見せた。
上演時間は休憩30分を含む、約2時間50分。東京公演は10月25日まで行われ、11月5日から8日までは大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティでも上演される。
「おかしな二人」
2020年10月8日(木)~25日(日)
東京都 シアタークリエ
2020年11月5日(木)~8日(日)
大阪府 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
作:ニール・サイモン
潤色・演出:
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