鞘師里保が“永遠の旅路”さまよう少女を熱演、末満健一と6組の作家による「黒世界」

shared TRUMPシリーズ 音楽朗読劇「黒世界 ～リリーの永遠記憶探訪記、或いは、終わりなき繭期にまつわる寥々たる考察について～」が、去る9月20日に東京・サンシャイン劇場で開幕した。なお本記事には、一部本編の内容や舞台写真を掲載しているため、ネタバレを避けたい読者は注意してほしい。

末満健一のライフワーク的作品「TRUMP」の世界を拡張する「shared TRUMP」シリーズは、1つの世界観を複数の作家が共有して創作する“シェアードワールド”の手法を用いた新たな試み。本公演では、末満と6組の作家による短編アンソロジー「雨下の章」「日和の章」が同時上演される。「雨下の章」では、柿喰う客の中屋敷法仁、小説家・推理作家の降田天、作家集団GoRAの代表・宮沢龍生が、「日和の章」では、お笑いコンビ・ハライチの岩井勇気、クロムモリブデンの葛木英、GoRA所属の来楽零が脚本を担当。音楽を、同シリーズの楽曲を数多く手がけてきた和田俊輔が担った。

「雨下の章」「日和の章」共に、「TRUMP」シリーズ2作目「ミュージカル『LILIUM -リリウム 少女純潔歌劇-』」の主人公である少女・リリーのあてなき旅が描かれる。リリー役には「LILIUM」より鞘師里保が続投。リリーの旅に同行することになる“ある人物”を新良エツ子が演じる。

リリーと彼女を見守る男のストーリーが軸となる「雨下の章」には、末満作「イデアの闖入者」、宮沢作「ついでいくもの、こえていくこと」、中屋敷作「求めろ捧げろ待っていろ」、末満作「少女を映す鏡」、降田作「馬車の日」、末満作「枯れゆくウル」がラインナップされている。出演者には、鞘師、新良のほか、樹里咲穂、池岡亮介、大久保祥太郎、宮川浩、中尾ミエ、松岡充が名を連ねた。

また、とある家族のエピソードを中心とした「日和の章」では、末満作「家族ごっこ」、葛木作「青い薔薇の教会」、岩井作「静かな村の賑やかなふたり」、末満作「血と記憶」、来楽作「二本の鎖」、末満作「百年の孤独」の6編が披露される。出演は鞘師と新良に加え、上原理生、MIO、YAE、三好大貴、中山義紘、朴ろ美。

各章では、ミステリー、コメディ、ラブストーリーなど各作家の個性が光る物語が、バイオリンやチェロの生演奏、出演者の歌唱、ダンスと共に繰り広げられる。鞘師は、罪と孤独を背負いながら“永遠の旅路”をさまようリリーを熱演。旅先でリリーが出会うさまざまな人物に扮するキャストたちの演じ分けにも注目だ。

各章ともに上演時間は休憩なしの約2時間10分。東京公演は10月4日まで行われ、その後、10月14日から20日まで大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホールで上演される。9月26・27日、10月3・4日にはPIA LIVE STREAMにてライブ配信を実施。アーカイブ映像は各公演の開演時間より12時間後まで配信される。