PARCO Production「ボクの穴、彼の穴。The Enemy」が本日9月17日に東京・東京芸術劇場 プレイハウスで開幕。公演に先駆け、同日昼に公開ゲネプロと取材会が行われた。
「ボクの穴、彼の穴。The Enemy」はデビッド・カリの絵本を
舞台上には木箱やバケツ、生活用品が散らばり、出演者の頭上には“穴”が1つ開いた大きな布が張られた。布を上下させて塹壕の中と外を表すという演出だ。宮沢はクラスのまとめ役的存在だったボクBを、大鶴はいつも除け者にされていたボクAを演じる。劇中ではどちらも塹壕で空腹や恐怖、孤独に耐え続けるが、宮沢は迫り来る恐怖をある種達観した様子で静かに受け止め、対する大鶴は追い詰められた兵士の高揚と消沈を熱量高く表現し、それぞれの“闘い”を浮かび上がらせた。また、この物語にあるのは、張り詰めたシーンばかりではない。ギリギリの状況で妄想に走ったり、夢を見たりする場面では、ふとのぞく人間の愛らしさが観る者の笑いを誘う。戦争が作り上げる“敵”とは何か、疑心暗鬼が心に巣食う闇は、新型コロナウイルスの影響で目に見える“つながり”が減った今を生きる観客にもきっと響くはずだ。
公開ゲネプロのあとに行われた取材会には、宮沢と大鶴、演出のノゾエが登壇。宮沢はコロナ禍の現状に触れ、「個と個で始まるこの作品は相手のことを確かめる、人間として当たり前なことに向き合っている。出演できて光栄です」と思いを述べ、大鶴は「“目に見えないモンスター”をお客さんと共有できる今だからこそ、僕らがきちんと実態のある芝居をしないと納得してもらえない。ディスカッションして、稽古を重ねてきました」と告白。するとノゾエは「4年前は普遍的なテーマとして共有していただけるかなと思いましたが、戦争というのは物語上の設定で、中身は今の僕たちと合致するものになっている。どこか似たような感覚で登場人物たちを観ていただけるのでは」と語り、今回の公演を分析した。
稽古場でのエピソードを聞かれ、大鶴が「打ちのめされては立ち上がりを繰り返す、こんな氷魚ちゃんの姿を見たのは初めて」と振り返ると、宮沢は「いやあ、くやしくてね」とぽつり。そんな宮沢が3度目の共演となる大鶴の“目”について「実は佐助の目を見て芝居をしたことがあまりなくて。クライマックスのシーンでは心情の変化を目から感じるものがあって。佐助の目はいろいろな表情を持ってて面白いなって思いました」と言及すると、「すごい素直なんだよね、佐助くんって(笑)。目に全部出る」とノゾエが言葉を添えた。また、劇中で雨を浴びるシーンに話題がおよぶと、前出の2作品では半裸を披露しているとする宮沢が自身を「半裸俳優」だと言い、会場が笑いに包まれる場面も。
最後に大鶴と宮沢はそれぞれ、「毎回同じものがない、毎回役を2人で生きていくので、1回ずつの作品を大事にしたいです」「やっと佐助とノゾエさんとの作品作りが始動できてうれしく思います。万全の状態で楽しい公演をお送りしたいと思うので、気を引き締めて今日からやっていきたい」と意気込みを見せ、ノゾエが「こういう状況の中で、これだけ多くの大人たちが本気になって模索して演劇を立ち上げている。この2人がその期待を一身に背負って舞台上で生きる、その生き様を稽古のときから楽しみにしていました。彼らがどう息づいていくのか、千秋楽まで暇なので(笑)、毎回来て見届けたいと思います」と語り、和やかな雰囲気で会見を締めくくった。
上演時間は約1時間20分で、上演は9月23日まで。21日18:00開演回では公演の模様がWOWOWメンバーズオンデマンド、PIA LIVE STREAM、Streaming+でライブ配信される。アーカイブ配信は24日まで。また、劇場の入場制限緩和に伴い9月19日以降の公演よりチケットの追加販売が行われている。
PARCO Production「ボクの穴、彼の穴。The Enemy」
2020年9月17日(木)~23日(水)
東京都 東京芸術劇場 プレイハウス
原作:デビッド・カリ
イラスト:セルジュ・ブロック
訳:
翻案・脚本・演出:
出演:
PARCO Production「ボクの穴、彼の穴。The Enemy」ライブ配信
2020年9月21日(月・祝)18:00~
※初出時、本文に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
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確かに大鶴佐助くんは目に全て出るね。
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