荒井遼が演出を手がける「テンダーシング-ロミオとジュリエットより-」の上演が決定した。
2009年にロイヤル・シェイクスピア・カンパニーにより初演された「テンダーシング」は、イギリスの劇作家で、ナショナル・シアターに所属するベン・パワーが、
本作が日本で上演されるのは、これが初めてのこと。翻訳を松岡和子が行い、調整を荒井が担当。出演者には
上演は9月に行われる予定だったが、新型コロナウイルスの影響で公演日は未定に。このことについて荒井は「決して軽くはない空気の中、今後についてを出演者と話し合いました。そして、もはやいつ演劇が出来るのか、誰にもわからないのだから予定していた期間にゆっくりと稽古を始めることにしました。普段ならば初日に向けて全員で火力を上げていくわけですが、感染症予防をしながら、とろ火で煮込んで芝居を作っていくのも良いのではないか。いつか目に見えない敵と共存できる時代にまた、劇場で皆様とお会いできる時のために今できることを少しずつやっていこうと思います。これからの中長期的な稽古の様子をホームページ、ツイッターを通して発信してまいりますので、どうかこの試みを見守ってくだされば幸いです。せっかくなので、シェイクスピアの言葉を最後に。『必要なものは船に積み込んだ。さあ、お別れだ。』」とコメントしている。
また土居は自粛期間中、パートナーと多くの時間を共にしたことを明かしながら、「パートナーの最期を彩るものは、愛情ではないかと思います。苦楽を共にした長い時間が、死の別れを、不幸ではなく、どこか微かにでもhappyな気持ちを心に灯すことができるのではないかと。そんな理想を、TENDER THINGのシェイクスピアは、教えてくれているような気がします」と続けた。大森は「コロナによって遮られた僕達俳優と、観客のみなさんとの関係は、まさに逢瀬を禁じられたロミオとジュリエットのよう、そんな思いです。劇場で皆さんにお会い出来ることが何より嬉しいのですが今回、延期となってしまいました、兎に角僕たちは稽古を開始しました。この作品に向かって歩いていきます」と思いを述べた。
荒井遼コメント
シェイクスピアが書いた物語の中から星のような言葉が四方八方に飛び出して、全く別の星座を作り出してる。無惨な争いを続ける二つの家は姿を消し、代わりに海辺の一軒家で長年連れ添う老夫婦が現れる。シェイクスピアの時代のロンドンではぺストが蔓延して劇場は度々封鎖された。劇場再開の後「ロミオとジュリエット」は初演された。劇場封鎖の間に彼は静かに、この言葉を書いたのだろうか。400年前から届くダイナミックな言葉。その膨大な言葉の中から“a tender thing”というマキューシオが発するたった一言に作者のベン・パワーは別の角度から光を当て、愛情と絆についての物語を作った。そして僕は今だからこそ、この言葉と物語は“劇場”で輝くと思っています。
再びの感染者数の増加、演劇界への広がり。目に見えない敵との戦い、人間同士の疑心暗鬼の時代は、残念ながらまだ始まったばかりの様です。
私たちは、本作を9月中旬に上演する予定で準備をしておりましたが、悩んだ末に延期という決断を致しました。これから火をつける矢先のことです。決して軽くはない空気の中、今後についてを出演者と話し合いました。そして、もはやいつ演劇が出来るのか、誰にもわからないのだから予定していた期間にゆっくりと稽古を始めることにしました。普段ならば初日に向けて全員で火力を上げていくわけですが、感染症予防をしながら、とろ火で煮込んで芝居を作っていくのも良いのではないか。いつか目に見えない敵と共存できる時代にまた、劇場で皆様とお会いできる時のために今できることを少しずつやっていこうと思います。
これからの中長期的な稽古の様子をホームページ、ツイッターを通して発信してまいりますので、どうかこの試みを見守ってくだされば幸いです。せっかくなので、シェイクスピアの言葉を最後に。「必要なものは船に積み込んだ。さあ、お別れだ。」
土居裕子コメント
ロミオとジュリエット。シェイクスピアが400年以上も前に書いたこの作品が、今なお輝き続けているのは、誰もが経験する初めての恋愛の美しい憧れと、誰にでも起こり得る不幸が描かれているからなのではないでしょうか。でも、もしこのカップルが若くはなく、長い時間を共に過ごした二人だったら。
私事ですが、stay homeの間、こんなにも長くパートナーと一緒にいる時間を過ごしたのは、結婚以来初めてのことでした。まるで老後を体現しているような毎日。絶対に感染してはいけないのは、紛れもなく一緒に暮らす人のため。お互いがお互いの“いのち”の責任をしっかりと持っているのだということを再認識する機会にもなりました。
パートナーの最期を彩るものは、愛情ではないかと思います。苦楽を共にした長い時間が、死の別れを、不幸ではなく、どこか微かにでもhappyな気持ちを心に灯すことができるのではないかと。そんな理想を、TENDER THINGのシェイクスピアは、教えてくれているような気がします。
大森博史コメント
コロナによって遮られた僕達俳優と、観客のみなさんとの関係は、まさに逢瀬を禁じられたロミオとジュリエットのよう、そんな思いです。劇場で皆さんにお会い出来ることが何より嬉しいのですが今回、延期となってしまいました、兎に角僕たちは稽古を開始しました。この作品に向かって歩いていきます。
さてこのお芝居、恋のエキス、愛、人生と言うものを、シェークスピアのロミオとジュリエットの若い二人の熱いセリフを使って、作家ベンパワーが、老夫婦二人に語らせています。ある時は無邪気に可愛くエロティックにある時は支えあい、死を前にして震え立ち向かい、肩組あって歩いていきます。僕はお腹の中に暖かい血が流れて来るのを感じます。まるでいつか見た夢のようです。老いや別れと言う過酷なシチュエーションのなかにほんのりしたものが立ち上がって来る。まさにこれが奥の方に眠っているテンダーシングなのか。年老いた夫婦がひたすら愛を語り。ひたすら相手を思う。このシンプルさが本当に魅力です!
楽しみにしていてくださいね!
※動画は現在非公開です。
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よぴり @yopiri
ロミジュリ原作に老夫婦の“永遠の別れ”描く「テンダーシング」に土居裕子・大森博史(コメントあり) https://t.co/JEFvcOzGzE