“仮想劇場”で虚構の世界映し出す、大竹野正典×笠井友仁「ブカブカジョーシ～」

エイチエムピー・シアターカンパニー「ブカブカジョーシブカジョーシ」が、5月22日から24日までVimeoにて配信される。

本作は大竹野正典の戯曲「ブカブカジョーシブカジョーシ」を、笠井友仁の演出で立ち上げるもの。当初は大阪・ウイングフィールドで上演される予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止になったため、オンライン上で実施される。劇中では、中間管理職のモモチコウゾウと、その部下アメミヤの物語が展開。モモチはノイローゼを患い1年間休職していたアメミヤとの関係に悩んでいた。そんなモモチに対し、会社からは理不尽な命令が次々下され……。出演者には、高安美帆、森田祐利栄、水谷有希、ナカメキョウコ、原由恵が名を連ねている。

笠井は、公演について「この状況下でもなんとか『演劇』をつくることができないかを俳優やスタッフと共に考え、みなさんが居る場所を観客席として、『仮想劇場』で大竹野正典作『ブカブカジョーシブカジョーシ』を発表することになりました。仮想劇場に現れるのは、現実の劇場と同じように、わたしたちが暮らす社会を写した虚構の世界です。そして俳優たちはその世界のなかで生きる『影法師』です。今回の作品も大竹野さんが描いた美しく、悲しい物語を影法師たちが表現しています」と思いを述べた。

なお本作では2500円の一般チケットに加え、新型コロナウイルスの影響で経済的・精神的に困窮している人に向けた“お気持ちチケット”も用意されている。視聴方法ほかの詳細は公式サイトで確認を。

笠井友仁コメント

人が集まること、人と人が接することは、わたしたちが暮らす社会にとってとても大切です。感染を防止するためと理解していますが、それが一時でも失われていることが本当に悔しくてたまりません。

わたしは「演劇」を、俳優、スタッフ、観客が同じ時間、同じ場所に集まり、人の営みや社会を表現することだと考えています。集まることや接することの大切さをみなさんと一緒に再確認するため、そしてみなさんに楽しんで頂くため、この状況下でもなんとか「演劇」をつくることができないかを俳優やスタッフと共に考え、みなさんが居る場所を観客席として、「仮想劇場」で大竹野正典作「ブカブカジョーシブカジョーシ」を発表することになりました。

仮想劇場に現れるのは、現実の劇場と同じように、わたしたちが暮らす社会を写した虚構の世界です。そして俳優たちはその世界のなかで生きる「影法師」です。今回の作品も大竹野さんが描いた美しく、悲しい物語を影法師たちが表現しています。

最後になりますが、この作品は現実の劇場で上演することを前提につくりました。一日も早く、それが実現することを願っています。