松井周×キム・ジョン「ファーム」がソウルで再演

1

81

この記事に関するナタリー公式アカウントの投稿が、SNS上でシェア / いいねされた数の合計です。

  • 9 13
  • 59 シェア

キム・ジョン演出「ファーム」が6月5日から14日まで韓国・大学路芸術劇場 小劇場にて上演される。

キム・ジョン演出「ファーム」より。

キム・ジョン演出「ファーム」より。

大きなサイズで見る(全5件)

「ファーム」ポスター

「ファーム」ポスター[拡大]

「ファーム」は、2014年に松井周率いるサンプルにより発表された、遺伝子操作によって産まれた青年を巡る家族の物語。2019年には「フェスティバル/トーキョー19」の1プログラムとして、韓国の劇団プロジェクト・ホワイルのキム・ジョン演出で上演され、評判を呼んだ。同作が韓国・ソウルで再演される。

キム・ジョン演出「ファーム」より。

キム・ジョン演出「ファーム」より。[拡大]

再演について松井は「現在、新コロナウイルスの影響で、一気に予想できない未来が押し寄せてきています。そんななかで『ファーム』が韓国で再演されることの意味はとても大きいです。どんな未来においても、人間は、『今、ここ』で、ジタバタと右往左往してしか前に進めないことを俳優たちが身を持って強く表現してくれるからです。また同時に、日本における全ての演劇公演が中止されている現在、厳重な態勢の中、公演が行われることは、日本の未来でもあり、希望です。ぜひ私たちも後に続かせてください」とコメント。

キム・ジョン演出「ファーム」より。

キム・ジョン演出「ファーム」より。[拡大]

演出のキム・ジョンは「初演から1年が経ち、『いま、ここ』でまた『ファーム』を準備しています。何もかもが強制的に停止された世界。元々の怖ろしい疾走を無理やりに止め、ストップがかかった今この世界で、再びこの作品と向き合います。生のエネルギーを思いっきり放ちます」と意気込みを述べている。チケットは明日5月11日に発売。

松井周コメント

FARMについて
僕は未来が怖いです。怖いから未来の話を書いているところがあります。「ファーム」もそのうちの一つです。バイオテクノロジーの進化に翻弄され、その事態に心が追いつかない、ちょっと特殊な家族の話です。
だから、去年のフェスティバル/トーキョーで観たキム・ジョンさんの演出には驚きました。特殊な家族の話というよりも、人が生きて死ぬまでの普遍的な話になっていたからです。俳優たちの肉体によって、人間はどんな環境にあっても、あらゆる欲望に動かされてくたくたになって生きていることに気付かされました。そこに未来は関係ありません。いつだって今と格闘しているのです。
現在、新コロナウイルスの影響で、一気に予想できない未来が押し寄せてきています。そんななかで「ファーム」が韓国で再演されることの意味はとても大きいです。どんな未来においても、人間は、「今、ここ」で、ジタバタと右往左往してしか前に進めないことを俳優たちが身を持って強く表現してくれるからです。
また同時に、日本における全ての演劇公演が中止されている現在、厳重な態勢の中、公演が行われることは、日本の未来でもあり、希望です。ぜひ私たちも後に続かせてください。
このような厳しい状況の中、「ファーム」を再演しようと決断したキム・ジョンさんとキャスト・スタッフの皆さん、そしてフェスティバル/トーキョーのスタッフの皆さまに感謝します。
ちょっと言葉が硬くなってしまいましたが、俳優にはのびのびと自由にやって欲しいです。全世界的に人間が限定された行動を強いられるなかで、せめて舞台上での俳優たちは自由で破天荒であって欲しい。それが何よりも観客の栄養になるのではないでしょうか。
観客の皆さんと「ファーム」という作品が幸福な出会いになることをのぞんで、公演の日を楽しみに待っています。

キム・ジョン コメント

1年前、F/Tのディレクター長島確さんがお話した「ボディー・スピード」という言葉は今でも強く印象に残っています。「まるで疾走しているようなこの世界で我々は……我々の肉体と心は、どんなスピードで流されているのだろうか」つまりそれは、この世界の怖ろしい疾走に流され、自分自身を失ったまま生きている我々のことを話したのだと思います。
「ファーム」はそんな世の中、疎外された一人の子供(もしくは一人の人間)の物語でした。人のために自分の老いのスピードまで上げてしまった、大人になるのが早すぎた、死ぬ直前にやっと一瞬の自由を味わった「オレンジ」の物語。
初演から1年が経ち、「いま、ここ」でまた「ファーム」を準備しています。
何もかもが強制的に停止された世界。元々の怖ろしい疾走を無理やりに止め、ストップがかかった今この世界で、再びこの作品と向き合います。生のエネルギーを思いっきり放ちます。それが、疎外され死んでゆく(もしくは消えていく)一人の人間が今、ここに存在している証拠になると思うからです。
離れてみると懐かしくなるものです。誰かと出会うこと、抱き合うこと、手をつなぐこと、小さな劇場へ足を運ぶこと。それから映像では絶対に伝えられない、言葉では説明できない何かが起こる場所「舞台」。
私たちの「舞台」をご覧いただくお客様に、いつもよりももっと深く感謝と尊敬を込めて、真心のこもった舞台をお届けします。

関連する特集・インタビュー

この記事の画像(全5件)

「ファーム」

2020年6月5日(金)~14日(日)
韓国 ソウル 大学路芸術劇場 小劇場

作:松井周
演出:キム・ジョン
出演:パク・ジョンテ、チェ・ヒジン、クォン・ジョンフン、ナム・ミジョン、イム・ヨンジュン、イ・ギョンウ

※初出時、会場名に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

全文を表示

読者の反応

  • 1

ステージナタリー @stage_natalie

松井周×キム・ジョン「ファーム」がソウルで再演(コメントあり)
https://t.co/7ULJuKvErp https://t.co/b1Hu6U553b

コメントを読む(1件)

関連記事

松井周のほかの記事

リンク

あなたにおすすめの記事

このページは株式会社ナターシャのステージナタリー編集部が作成・配信しています。 松井周 の最新情報はリンク先をご覧ください。

ステージナタリーでは演劇・ダンス・ミュージカルなどの舞台芸術のニュースを毎日配信!上演情報や公演レポート、記者会見など舞台に関する幅広い情報をお届けします