東京・世田谷パブリックシアターの芸術監督である
萬斎は新型コロナウイルスへの感染が拡大している現状を受けて「あらゆる人々が、文化に携わるアーティスト、スタッフ、俳優、観客の皆様に至るまで多くの人々が、その価値観を覆される思いをしているのではないでしょうか。生きている人間が、その知力と体力と団結力という人力を注いで作り上げた無数の芸術作品を、世田谷パブリックシアターをはじめ各劇場で披露することもなく自粛したことには、まさに断腸の思いを致します」と語る。さらに萬斎は「我らが生きている限り、文化は存続するという思いを胸に、世田谷パブリックシアターは死なずに冬眠より覚醒し、生きているあなたと、生きていることを分かち合う舞台芸術の春を待っています。どうか皆さんお元気で! 生きていて下さい! “live(リブ) live(ライブ) live(リブ) for live!(ライブ)”」とメッセージを送った。
世田谷パブリックシアターと東京・シアタートラムは、5月31日まで臨時閉館中。なお世田谷パブリックシアターでは今後、萬斎が企画し過去に上演された「狂言劇場」の動画を配信する予定だ。
野村萬斎コメント
世田谷パブリックシアター芸術監督 野村萬斎から皆様へ
世田谷パブリックシアターを愛する皆様
人類が生死を彷徨い、その社会が迷走し、個人が無力を感じる今。
ひたすら医療に関わる方、生活を支えて下さる方への感謝と応援を思います。
あらゆる人々が、文化に携わるアーティスト、スタッフ、俳優、観客の皆様に至るまで多くの人々が、その価値観を覆される思いをしているのではないでしょうか。生きている人間が、その知力と体力と団結力という人力を注いで作り上げた無数の芸術作品を、世田谷パブリックシアターをはじめ各劇場で披露することもなく自粛したことには、まさに断腸の思いを致します。
一方、北半球は春を迎え、新緑が深緑へと生命力を謳歌しています。人類がどんなに困ろうと、地球という星は運行を続けます。天災が起ころうと、人災・戦争が起ころうと、いつも地球はそうでした。でも最近は、人類が地球にだいぶん迷惑をかけている気もします。これまで我々がどんなに地球を痛めつけていたかやっと認識出来た気もします。
とは言え、人類には文化という希望があります。世界が混乱しようとも、文化は時には形を変えながら存続します。
文学・音楽から美術・演劇・映像映画等々に至るまで、芸術はそれを証明してきました。我らにはこの苦難を乗り越えて来た歴史がある。伝統があります。
文化を生きる糧・栄養にするのは、今生きている人間です。こと舞台芸術は、生きている人間が生み出し、生きている人間が演じ、生きている人間が体感する、根源的なものです。
我らが生きている限り、文化は存続するという思いを胸に、世田谷パブリックシアターは死なずに冬眠より覚醒し、
生きているあなたと、生きていることを分かち合う舞台芸術の春を待っています。
どうか皆さんお元気で! 生きていて下さい!
“live(リブ) live(ライブ) live(リブ) for live!(ライブ)”
また再び世田谷パブリックシアターでお目にかかりましょう。
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石井孝明(Ishii Takaaki) @ishiitakaaki
見るからに賢そうな野村さんが、また適切なコメントを。こういう人をスポークスマンにすればいいのに。演劇界は愚かだ。苦笑 RT野村萬斎がコメント発表「生きている限り、文化は存続するという思いを胸に」(コメントあり) https://t.co/uFklMjA1Uf