“中身はのっぴきならない”夫婦の物語「リムジン」、向井理は「悩みながらやる」

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M&Oplaysプロデュース「リムジン」の合同取材会が2月初旬に実施された。

左から倉持裕、向井理。

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取材会に出席したのは、作・演出を手がける倉持裕と主演の向井理。向井と倉持は本作で初タッグを組む。向井が演じるのは、小さな田舎町で親から継いだ工場を経営する主人公の男。彼は町の実力者に気に入られ、自分の後継者にと推薦された。妻と共に喜ぶ男だったが、ある日、誤って昇進に尽力してくれた恩人にけがを負わせてしまう。つかみかけた未来が遠のくことを恐れた男は嘘をつくが、その嘘がまた次の嘘を呼び……。

左から倉持裕、向井理。

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向井は、過去に舞台・映像で共演経験のある片桐はいりの勧めで倉持作品を観始めるようになったと明かし、「コメディーからシリアスまで丁寧に作品を作る方。フィーリングが合うかどうかはこれからわかることですが(笑)、倉持さんの世界に入ってみたいと純粋に思いました」と心境を語る。また「優しそうで厳しそうな人。インタビュー記事などで結構“言う”なって(笑)」と倉持の印象を述べた。

左から倉持裕、向井理。

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作品について倉持は「夫婦で共謀する作品が昔から好きだったんですが、自分で書いたことはなかったんです。小さな嘘をついて、それを隠そうと雪だるま式に嘘や罪が膨らんでいっちゃう様を、夫婦でやりたいという思いがあって。今回、スマートで洗練された印象の人が、仮面を被って内心ハラハラしている様子を、向井君なら面白く見せられるのではと。今まで書いてきた種類のコメディーとは違う、ブラックなコメディーができそうだなと思っています」と語る。「『リムジン』というタイトルにもかかっていますが、向井君は優雅にスーッと真っすぐ人生を走っていそう(笑)」と倉持が言うと、向井は「ないですよ(笑)」とポツリ。倉持は、向井を「俳優としては派手も地味もできる、不思議な役者さんです。劇団☆新感線の妖艶な役から、はいりさんとのコミカルな役までを成立させられる。そんな彼が、劇中で“中身はのっぴきならない”ことになる。それも夫婦ともども。その姿がドラマチックに映るはず」と続けた。

出演するに当たり「歌いたくありません」とリクエストしたという向井。「『鎌塚氏、舞い散る』の楽屋で開口一番にそう言われて(笑)……この作品では歌わないと思います」とニヤリとする倉持に、向井は「まだ僕も気は抜いていないんです」と笑顔を返す。昨年上演された赤堀雅秋作の「美しく青く」をはじめ、映像のみならず舞台出演も続く向井は「舞台は難しい。“やらなきゃいけないもの”、修行という感覚が強いです」と述べつつ、倉持の「優雅」という発言に対して、「自分自身は余裕なんかなくて、舞台に関しては答えが出ないまま本番が始まり、不安の中やっていることが多い。でも実は “悩みながらやる”というのが大切なんじゃないかと最近は思っています。役者がつらくないと観ているほうは面白くないから」とコメントした。

M&Oplaysプロデュース「リムジン」ビジュアル

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主人公の妻に扮するのは水川あさみ。向井は水川について、「明るい方。今回自分が演じる気の小さい男を引っ張ってくれるような関係性なのかなと。水川さんは久しぶりに会っても距離を感じない人なので、良い戦友になれそうな気がします」と述べ、倉持は、かつて自身がテレビドラマで初脚本を手がけた作品に出演していた水川の印象について、「うまいなあと思っていた」と語った。

今回、向井に対して倉持は「周りから求められるものを一生懸命演じてほしい。取り繕うことを無意識にできたら良いですね」と期待しているといい、演出プランについては、「観客が自分ごととして考えられるように、(嘘や陰謀が)発覚する瞬間やピンチを視覚的に表現し、怖く見せたいと思っています」と話した。

また小松和重青木さやか宍戸美和公田村健太郎田口トモロヲという多彩な出演者の中で座長の立場を務める向井は、「座長であることを意識することはないですね。舞台はチームプレイですし、一人でも熱演されちゃうとバランスが変わるデリケートなもの。考えさせたり、観ている人にどこか引っかき傷を残せたらと毎回思っているので、それはどの立ち場でも変わらないです……唯一気を付けたいのは、2回公演がある最初の日は差し入れをするということですかね(笑)」と場を沸かせ、和やかな雰囲気の中で取材会は終了した。

公演は5月23日から6月14日まで東京・本多劇場で行われた、富山、大阪、愛知、島根、広島、福岡、愛媛、宮城、新潟を巡演する。東京公演のチケットは3月21日に一般販売スタート。

この記事の画像・動画(全5件)

M&Oplaysプロデュース「リムジン」

2020年5月23日(土)~6月14日(日)
東京都 本多劇場

2020年6月16日(火)
富山県 富山県民会館 ホール

2020年6月18日(木)・19日(金)
大阪府 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

2020年6月20日(土)・21 日(日)
愛知県 東海市芸術劇場 大ホール

2020年6月23日(火)
島根県 島根県民会館 大ホール

2020年6月25日(木)
広島県 JMSアステールプラザ 大ホール

2020年6月27日(土)・28日(日)
福岡県 ももちパレス 大ホール

2020年6月30日(火)
愛媛県 松山市民会館 大ホール

2020年7月3日(金)
宮城県 電力ホール

2020年7月5日(日)
新潟県 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 劇場

作・演出:倉持裕
出演:向井理水川あさみ小松和重青木さやか宍戸美和公田村健太郎田口トモロヲ

※2020年4月23日追記:本公演は新型コロナウイルスの影響で中止になりました。

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ヘアメイク:晋一朗(IKEDAYA TOKYO) / スタイリスト:外山由香里

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acoico(あこいこ) @acoico

【会見レポート】“中身はのっぴきならない”夫婦の物語「リムジン」、向井理は「悩みながらやる」 https://t.co/FxWcmcgNB6

2020年6月16日(火)
富山県 富山県民会館 ホール

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