「+51 アビアシオン, サンボルハ」は、2015年に初演され、その後ヨーロッパツアーも行った
11月下旬、ツアーに先立ち、「+51 アビアシオン, サンボルハ」の関係者向けリハーサルが行われた。その翌日に稽古場を訪れると、キャストと神里はリラックスしたムードで話しながら、それぞれが気になっているシーンについて、あるときは台本を読み返し、またあるときは実際に演じながら、タイミングや動きの確認を行っていた。
ツアーに向けて捩子は、「僕らが知っている東京や沖縄の風景を、僕らが行ったことがないペルーの人たちに、演劇を通じて見せられたら」と意気込みを語り、福永は「僕が演じるのは、神里くんを投影した“わたし”の役。“わたし”の旅路を、僕も体験できるようにがんばります」と話す。稲継は本作の初演を観て「自分だったらどう演じるだろう」と考えていたと言い、「今回このような機会をいただけたこと、さらに作品にとって重要な、ペルーやメキシコの人たちに作品を観ていただけるということがうれしいです」と笑顔で語った。
神里は今回の上演では、ポイントが3つあると前置きし、「まず京都拠点の捩子さん、沖縄拠点の福永さん、東京の稲継さんと、国内のいろいろなところに活動拠点がある人たちが集まって、1つの作品ができる、ということが証明できてうれしいですね」と述べる。2つ目のポイントとして、「もともと、日本から遠いところまで行った人たちのことを身近に想像できるような作品にしたいと思っていたけれど、ペルーやメキシコの人にとっては東京や沖縄のほうが遠い場所。そんな遠い所から来た人が自分の社会に住んでいるということを、メキシコやペルーの人たちにも観て感じてもらえればいいなと思ってます」と話す。
最後に神里は「これは5年前に作った作品ですが、この5年で社会情勢は変わり、当時僕が危惧していたことより、もっと状況はよくなくなっていっていると思います」と述べ、「今、難民の受け入れを巡ってさまざまな反応がありますが、歴史をたどれば日本もかつては南北アメリカやハワイなどに移民として受け入れてもらっていたわけで、なぜ自分たちはそれができないのだろうと僕は思っていて。という意味で、5年前の作品ではありますが、世界的に非常に閉じた状況になっている今、この作品をやることの意義も感じています」と述べた。
岡崎藝術座「+51 アビアシオン, サンボルハ」は12月13・14日にメキシコのベニート・フアレス劇場、12月19・20日にペルーのアリアンス・フランセーズ・リマにて上演される。
岡崎藝術座「+51 アビアシオン, サンボルハ」
2019年12月13日(金)・14日(土)
メキシコ ベニート・フアレス劇場
2019年12月19日(木)・20日(金)
ペルー アリアンス・フランセーズ・リマ
作・演出:
出演:
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