「《シネマ歌舞伎》女殺油地獄」の東京国際映画祭での特別上映が、昨日11月2日に東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズで行われ、舞台挨拶に
今回、シネマ歌舞伎作品として東京国際映画祭に初出品された「女殺油地獄」は、昨年7月に大阪松竹座で行われた十代目松本幸四郎襲名公演の演目。同作で主演を勤めた幸四郎は、映像化にあたり、「実際に舞台を観ていただくのとスクリーンで観ていただくとのはまったく違うと思います。スクリーンで観て楽しんでいただけるよう新たな演出を加えた作品となっております」とコメント。
放蕩三昧で借金を作り、両親から勘当を言い渡される油屋の次男・与兵衛を演じた幸四郎は、役どころについて「遊ぶとき、謝るとき、喜ぶときなど、いつでも本能のままに生きている部分が魅力的」と述べつつ、3幕の殺しの場に触れ、「演じていくうえでの精神状態は、殺しが快楽に変わっていく。最初は恐怖を感じているけれど、与兵衛はそれが、どんどん楽しくなっていくんです」と語った。
また幸四郎は「殺しの場面はカメラを舞台の上に上げ、観客のいない中で撮影をしました。息遣いや着物の擦れる音なども収録しています。ですので、最初はみんなで一緒の舞台を観ている感覚から、(物語が)進むにつれ、だんだん1人で観ているような感覚になり、最後には映画作品を観たような不思議な気持ちになる作品です」と続ける。
幸四郎は「映画館で観る映画というのは別世界に連れて行ってくれるものなので、本作もそういう作品になるようにがんばりました」と思いを口にし、自ら編集作業にも携わったことに触れ、「歌舞伎の可能性を監督と話し合って、今できることのすべてが詰め込まれた作品に仕上っています」と自信をのぞかせる。最後に「自分自身が昨年7月に上演しましたが、実際の舞台よりも面白い作品に仕上がっています(笑)」と会場の笑いを誘い、舞台挨拶を締めくくった。
「《シネマ歌舞伎》女殺油地獄」は、11月8日より東京・東劇ほかにて上映される。
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