「ザ・フォーリナー」は、アメリカ・ジョージア州にある古い釣り宿を舞台にしたラリー・シューのコメディ作品。極度の人見知りである主人公・チャーリー(江田)は、友人のフロギー(
稽古場には、物語の舞台であるベティの釣り宿が簡易的に立ち上げられ、そこで作品の冒頭部分が披露された。江田は瞳をキョロキョロさせ、臆病で頼りないチャーリーを愛らしく表現。徳山演じる飄々としたフロギーのせいで、外国人のふりをせざるを得なくなるチャーリーの必死で滑稽な姿に、会場は何度も笑いで包まれた。高田は感情的なキャサリンをなだめるデビットをどこか掴めない雰囲気で演じ、小島は気が強いが少し不安定なキャサリンを、緩急ある芝居で立ち上げた。武藤はチャーリーを外国人だと信じ込むベティをパワフルに熱演。オーエンを演じる清水は独特な存在感で場の空気を構築し、今回子役のエラードを演じる我は、短い登場シーンながら報道陣に強烈な印象を残した。
演出の
稽古後に行われた囲み取材には、全出演者と野坂が参加。まず江田は、今回初単独主演を務めることに「宇宙Sixを背負っている気持ち」とプレッシャーがあったことを告白しつつ、「でも(共演者が)座組が全員頼れる人たちばかりで、稽古中、皆さんの演技が面白くてずっと笑っています。1日が終わるのが早い(笑)」と充実した稽古の様子を垣間見せた。稽古場での江田の姿に話がおよぶと、清水は「セリフ覚えの変態」と断言。江田は慌てて「そんなことないですよ!(笑)」と返すが、清水は「江田くんは作品後半の2幕以降、セリフ量が非常に多いのですが、彼は稽古初日までに全部覚えてきた。僕にプレッシャーをかけまくるので、僕たち全然仲良くないです(笑)」と江田と笑顔で目を合わせながら冗談を言い、周囲の笑いを誘った。
自身の見どころを聞かれた高田が「2幕の最後ですかね……」と答えると、「一番最後かよ!」「全部じゃないの?(笑)」と周囲から野次が飛ぶ。「『ハニー』とか言い慣れてる感じがうさんくさい」と高田の芝居に言及した清水は、「彼、野坂さんから『軽薄すぎる』って演技のダメ出しもらってたんですよ(笑)」と明かす。高田は「僕、軽薄って言葉を知らなくて。清水さんに『軽薄ってなんですか?』って聞いたら、『高田くんみたいな人のことだよ』って言われたんですけど……あとで意味調べて、清水さんひどい!って思いました」と清水を見つめる。これを受け清水は「……『高田翔は軽薄じゃない』って記事に書いておいてください(笑)」と記者に呼びかけた。
キャサリンの役作りに苦労したと言う小島は、「感情の出し方がやっぱり日本人と違う。ずっとどう演じるか迷っていたのですが、やっと方向性を掴めてきました」と笑顔を見せる。野坂はそれに同意し、「日本人のテンションで演じてしまうと、役の感情が流れてしまう。だから『ヒステリックにならずに、(感情を)上げてくれ』って、稽古序盤から繰り返し言い続けました」とコメント。続いて野坂は、「本格的な稽古が始まったのは昨日からなのですが、一番最初の稽古は2カ月くらい前で。そのあいだに全員が役と向き合い、深めてくれていました。頼もしいメンバーです」と目を細めながら、座組に信頼を寄せた。
稽古で見せた演技を「可愛い」と司会に評された江田は、「……可愛いですか?」と怪訝な表情を浮かべる。すると周囲からは即座に「可愛いよ!」と声が上がり、息の合った掛け合いで報道陣を和ませた。江田が「でも僕だけじゃなくて、座組全員が可愛いと思いますよ。例えばエナードとか……」と我に視線をやると、我は「38歳にして子役に初挑戦……我善導です」と自己紹介し、会場を笑いで包む。そして「たまに稽古中、『今おっさん出たよ』って言われます。ずっと子供でいるのって難しいですね(笑)」と役どころの難しさを語った。
野坂は「今回江田くんは初座長なんですけど、役者全員のことを考えてくれて。しっかり集団を作ろうとしてくれるので、ものすごく信頼しています」と話し、さらに江田の“座長”エピソードとして、「この前、高田くんが誕生日だったんですけど、江田くんがすごく小さい声で高田くんに『今日暇? ご飯食べに行く?』って誘っていたのを目撃しました(笑)」と明かす。江田が「でも行けなかったんだよね」と残念そうに言うと、野坂は「断られた理由が、『帰りの電車がないから』(笑)」と続ける。恥ずかしそうに「いや、本当に帰りの電車がなくて……」と答えた高田に、清水が「今度は高田くんから誘ったほうがいいんじゃないの?」と促すと、高田は「……今度一回誘ってみたいと思います」と宣言。江田はうれしそうに微笑んだ。
公演は10月16日から23日まで東京・三越劇場、11月9・10日に愛知・東海市芸術劇場、20日から24日まで大阪・近鉄アート館で行われる。
「ザ・フォーリナー The Foreigner」
2019年10月16日(水)~23日(水)
東京都 三越劇場
2019年11月9日(土)・10日(日)
愛知県 東海市芸術劇場
2019年11月20日(水)~24日(日)
大阪府 近鉄アート館
脚本:ラリー・シュー
翻訳:小田島恒志
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