「非欧米圏のフェスティバルとして」橋本裕介が「KEX2019」に込める思い

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10月5日に開幕する「KYOTO EXPERIMENT 2019」に向けて、今回がフェスティバルディレクターとして最後の仕事となる橋本裕介が思いを語った。

橋本裕介(c)Lucille Reyboz

橋本裕介(c)Lucille Reyboz

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10周年を迎えることについて橋本は「一番の感想としては『よく持ったな』と。それは『KYOTO EXPERIMENT』が、例えば基金や自治体のような資金的な基盤のあるところが始めたフェスティバルではなく、僕ら舞台関係者たちが草の根的に始めようとしたことに市が賛同したものなので、それが10年続いたことは感慨深い」と真摯に述べる。

「KYOTO EXPERIMENT」では毎年テーマを設け、プログラムを組んでいる。近年は、2017年は「内なる他者との出会い」、2018年は“女性”、そして今年は「世界の響き─エコロジカルな時代へ」と、年々テーマが明確、かつ強いメッセージ性を持つようになってきた。橋本は今年のテーマについて「いくつか意味がある」と前置きし、「環境というキーワードは一般の人たちからも関心を集めやすいフレーズであること。また地方都市で始めているフェスティバルとして、人や物や情報が大都市に集中していて、大都市を中心にした視点で物事や世界が捉えられていることがずっと気になっていた。そう言ったある種自己中心的な見方に対する疑問を、ようやく表立って言えるようになってきた、ということです」と語った。

「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2019」ロゴ

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この10年でのフェスティバルを取り巻く環境の変化については、「京都に限らず、日本の社会がこの10年でどんどん変わっていて、表現の場がどんどん狭まっているという実感があります」と述べ、「その中で表現の場を確保するには、目の行き届くできるだけ小さい範囲で場を立ち上げて、それぞれが外とつながっていく必要性が高まっているのでは。『KYOTO EXPERIMENT』も当初は京都独自なものを発信したいという競争意識がありましたが、それよりは中央を見るのではなく、どんな都市であってもちゃんと横で手をつなげるように連帯していかなきゃいけないと思うようになった。そういう意味で、個の力をより大事にしなければいけないと感じています」と語った。

国内外のアーティストによる11の公式プログラムで構成される今年のラインナップについては、「ある意味、チャレンジではあると思います」と言い、「いわゆる欧米のアーティストを入れてないんです。日本では欧米からくる文化に対して一般的に優れているという思い込みがありますから、欧米出身のアーティストを入れていないことはフェスティバルとしてリスクがあるなと。ただ、10年間続いた成果として、『KYOTO EXPERIMENT』は京都という街のフェスティバルであると共に非欧米圏でやられているフェスティバルとして、『非欧米圏のアーティストだけで十分求心力のあるプログラムにできるのだ』と示すことが、非欧米圏の芸術祭を勇気付けることになるんじゃないかと思ったんです」と話す。

「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2019」のミーティングポイント。

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また10年という“脂の乗った”タイミングでディレクターを退任することについては「脂が乗っているときにこそ、次に手渡しておかないと。自分なりに意味のあるものを立ち上げたという自覚があるので、それを信じるならば、私がいなくなってもこのフェスティバルが続いてほしい、であれば今、手渡すべきだろう」と今後への期待を語る。

最後に橋本は、「橋本裕介渾身のプログラムなので1つもお見逃しないように(笑)。1カ月間、京都に来てください」と観客にメッセージを送った。

「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2019」のミーティングポイント。

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「KYOTO EXPERIMENT 2019」は10月5日から27日まで、京都・ロームシアター京都、京都芸術センター、京都芸術劇場 春秋座、京都府立府民ホール“アルティ”、Theatre E9 Kyoto、元離宮二条城、平安神宮ほかで開催される。なお「KYOTO EXPERIMENT 2019」のチケットブース・ミーティングポイントが、10月3日まで京都芸術センター、10月5日からロームシアター京都でオープン。公式プログラムのチケットが購入できるほか、スタッフによるプログラムの紹介を聞くことができる。さらにロームシアター京都にて10月5日21:00からオープニングパーティ、27日18:30からクロージングパーティが開かれ、10月6日には障害のある人や子供や年配者を対象に、「消しゴム山」の舞台美術を触れる「タッチツアー」が行われる。

※初出時より本文を一部修正しました。

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「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2019」

2019年10月5日(土)~27日(日)
京都府 ロームシアター京都、京都芸術センター、京都芸術劇場 春秋座、京都府立府民ホール“アルティ”、Theatre E9 Kyoto ほか

チョイ・カファイ「存在の耐えられない暗黒」

2019年10月5日(土)・6日(日)
京都府 ロームシアター京都 ノースホール

チェルフィッチュ×金氏徹平「消しゴム山」

2019年10月5日(土)・6日(日)
京都府 ロームシアター京都 サウスホール

庭劇団ペニノ「蛸入道 忘却ノ儀」

2019年10月11日(金)~15日(火)
京都府 ロームシアター京都 ノースホール

ブシュラ・ウィーズゲン「Corbeaux(鴉)」

2019年10月13日(日)・14日(月・祝)
京都府 元離宮二条城(13日)、平安神宮(14日)

ウィリアム・ケントリッジ「冬の旅」

2019年10月18日(金)
京都府 京都芸術劇場 春秋座

ネリシウェ・ザバ「Bang Bang Wo / Plasticization」

2019年10月19日(土)・20日(日)
京都府 Theatre E9 Kyoto

久門剛史「らせんの練習」

2019年10月20日(日)
京都府 ロームシアター京都 サウスホール

アミール・レザ・コヘスタニ / メヘル・シアター・グループ「Hearing」

2019年10月24日(木)・25日(金)
京都府 京都府立府民ホール“アルティ”

神里雄大 / 岡崎藝術座「ニオノウミにて」

2019年10月25日(金)~27日(日)
京都府 京都芸術センター フリースペース

サイレン・チョン・ウニョン「変則のファンタジー_韓国版」

2019年10月26日(土)・27日(日)
京都府 京都芸術劇場 春秋座

グループ展「ケソン工業団地」

2019年10月5日(土)~27日(日)
京都府 京都芸術センター 講堂、ギャラリー 南 ほか
イ・ブロク「Robo Cafe」
出展アーティスト:イム・フンスン、イ・ブロク ほか

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