「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」開幕に浦井健治「役者冥利に尽きる」

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ブロードウェイミュージカル「『HEDWIG AND THE ANGRY INCH』ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」が、本日8月31日に東京・EX THEATER ROPPONGIで開幕する。初日に先駆け昨日30日、ゲネプロと囲み取材が実施された。

ブロードウェイミュージカル「『HEDWIG AND THE ANGRY INCH』ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」より。

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ジョン・キャメロン・ミッチェルが手がけた「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」は、1997年にオフブロードウェイで初演されたミュージカル。約7年ぶりの日本語版公演となる今回は、翻訳と演出を福山桜子が手がける。

ブロードウェイミュージカル「『HEDWIG AND THE ANGRY INCH』ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」より。

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舞台上には楽器がセットされ、中央には真っ赤なクラシックカーが設置された。本編開演前から、ステージ上にはアヴちゃん(女王蜂)扮するイツァークや、バンド・THE ANGRY INCHの面々が姿を現し、音出しや背景のLEDパネルの映像のチェックを行っている。やがてイツァークの呼び込みに応え、浦井健治扮するヘドウィグが爆音と共にマントを広げて登場すると、会場からは大歓声が上がった。

ブロードウェイミュージカル「『HEDWIG AND THE ANGRY INCH』ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」より。

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本作は、ブロードウェイのとある劇場で開催されるライブという設定のもと展開。劇中ではロックシンガー・ヘドウィグの半生が、ヘドウィグの語りとロックナンバーでつづられる。ベルリンの壁が崩壊する前に東ドイツで生まれたヘドウィグは、愛と自由を手に入れるため性転換手術を受けたものの、手術の失敗によって股間に“アングリーインチ(怒りの1インチ)”が残ってしまい……。

ブロードウェイミュージカル「『HEDWIG AND THE ANGRY INCH』ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」より。

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浦井はエモーショナルな力強い歌唱とつぶやくような歌声を使い分け、最愛の人に裏切られたヘドウィグの感情のうねりを表現。膨大なセリフを操る浦井は、母や元夫、元恋人のトミー・ノーシスなどヘドウィグを取り巻く人物を巧みに演じ分け、ときに観客を巻き込みながらストーリーを紡いだ。寡黙なイツァークを演じるアヴちゃんは、表情や仕草でヘドウィグとの関係性を繊細に描く。さらに美しい高音を響かせてヘドウィグのバックコーラスを務める一方、アップテンポなソロパートではステージを激しく動き回りながらパワフルにパフォーマンスし、観客を惹きつけた。

ブロードウェイミュージカル「『HEDWIG AND THE ANGRY INCH』ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」より。

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男でも女でもなく、同時にどちらでもあるヘドウィグは、アイデンティティに悩みながらも愛を求めて叫び続ける。「The Origin of Love」が歌われる場面では、舞台の上手と下手からオレンジとブルーの照明がそれぞれヘドウィグを照らし、“カタワレ”を探して旅を続けるヘドウィグの哀愁を描き出した。

左からアヴちゃん(女王蜂)、浦井健治。

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ブロードウェイミュージカル「『HEDWIG AND THE ANGRY INCH』ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」より。

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ゲネプロ前には浦井とアヴちゃんの囲み取材が行われた。浦井は本作について「自分の殻を破る作品」「役者冥利に尽きる」と気合十分。ヘドウィグの役作りのため稽古場ではスカートを履いていたと言う浦井は、「男性はつい脚を開きがちですが、そんなときに周りから『お股!』って言われるので、脚を閉じる癖が付きました(笑)」と身振り手振りを交えながら話して記者たちを和ませる。また浦井はアヴちゃんからアドバイスを受けたことに言及し、「“女王蜂のアヴちゃん”としての歌唱法や、腰から歩くウォーキング、あと“ギャル語”とか、たくさん教わりました」とアヴちゃんに視線を送る。

仲むつまじい様子のアヴちゃん(左)、浦井健治(右)。

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ブロードウェイミュージカル「『HEDWIG AND THE ANGRY INCH』ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」より。

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アヴちゃんは「毎日稽古していて、『浦井さんでよかった』と感じることがたくさんあった」と浦井に厚い信頼を寄せ、「お互いのよさを交換できた。笑っちゃうくらい(イツァークが)浦井さんっぽくなる場面もあるので、楽しんで」と期待を煽る。自身の演じるイツァークについては「抑圧されている役」と紹介し、「私の本業はバンドですが、“解放”を生業にしてきたと初めて気付きました。稽古で、感情を解放せずある曲を歌ってみることになったんですが、そこで生まれて初めて嗚咽で歌えない経験をして」とエピソードを明かす。同役を演じるにあたっては「演技とは思っていません。毎回ガチだと思っています」と言葉に力を込めた。

ブロードウェイミュージカル「『HEDWIG AND THE ANGRY INCH』ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」より。

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取材では、2人がそれぞれ「ヘドウィグ」への思いを明かす場面も。浦井は「自分と向き合うことの大切さ、生身の人間の弱さや強さ、決して1人ではないということ、そういうものがぎっしり詰まった物語」と口にし、「舞台上で自分を全部出さなきゃいけない恐ろしさもありますが、それを楽しいと思えるまでもがきたい」と意気込む。一方アヴちゃんは「バンドでデビューした頃に『日本のヘドウィグが出てきた』と言われることがあって。今でこそうれしいですが、当時は嫌で」と明かす。しかしその後、折に触れて「ヘドウィグ」を観るうちに、自分も演じてみたいと思うようになったと言い、「観るたびに自分の変化に気付かせてくれる、偉大な作品だと思っています」と真摯に述べた。

最後に浦井は「この作品には、すごく心がえぐられる部分もあると思います。でも最後に『人生って少し希望が持てるんだな』と思ってもらえるようがんばります。ぜひノリノリで来てください」と挨拶。アヴちゃんも「フラッと来てください! ただじゃ帰しません!」と続け、取材は終了した。

上演時間は約2時間。EX THEATER ROPPONGI公演は9月8日まで行われ、その後、本作は9月11日・12日に福岡・Zepp Fukuoka、14日から16日まで愛知・Zepp Nagoya、20日から23日まで大阪・Zepp Namba、26日から29日まで東京・Zepp Tokyoで上演される。

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ブロードウェイミュージカル「『HEDWIG AND THE ANGRY INCH』ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」

2019年8月31日(土)~9月8日(日)
東京都 EX THEATER ROPPONGI

2019年9月11日(水)・12日(木)
福岡県 Zepp Fukuoka

2019年9月14日(土)~16日(月・祝)
愛知県 Zepp Nagoya

2019年9月20日(金)~23日(月・祝)
大阪府 Zepp Namba

2019年9月26日(木)~29日(日)
東京都 Zepp Tokyo

作:ジョン・キャメロン・ミッチェル
作詞・作曲:スティーヴン・トラスク
翻訳・演出:福山桜子
歌詞:及川眠子
音楽監督:大塚茜

キャスト

ヘドウィグ:浦井健治
イツァーク:アヴちゃん(女王蜂

Band(THE ANGRY INCH):DURAN(Gt)、YUTARO(Ba)、楠瀬タクヤ(Dr)、大橋英之(Gt)、大塚茜(Key)

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ヘドウィグ2019 @hedwig2019jp

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